登れなくなったエアーズロック

エアーズロック!
大自然の奇跡です。
オーストラリアのほぼ中央の荒野に忽然とそびえ立ち、地上からの高さが348m、岩のまわりを一周すると約10km。

☆ついに登れなくなった!

エアーズロックにはたくさんの魅力がありますが、なかでも鎖をつたって登った達成感、岩の上からの雄大な眺めは一生忘れられない思い出になります。地球の中心にいるような感覚です。

しかし、かねてからの予告通り、2019年10月26日から登山禁止になってしまい、エアーズロックに登るノウハウを紹介したこの記事の役割も終わってしまいました。大勢の人たちに読んでいただき感謝の至りです。

削除してしまうのはもったいないので、これからエアーズロックへの旅を計画する方たちが、登れたらどんな感じなんだろうと想像していただくために、若干の編集のうえ、この記事を残すことにします。

☆登山開始

登り始めると、いきなり鎖場の急斜面。高低差300m近くを一気に登ります。エアーズロック登山道見上げる

鎖場の半分くらいは、鎖から手を放しても立っていられますが、急なところは鎖につかまって体を引っぱり上げます。最大斜度は48度です。エアーズロック鎖場下から

高所恐怖症の方は足がすくむでしょう。エアーズロック鎖場上から2

☆エアーズロック頂上へ

鎖場が終わると斜度は緩やかになります。エアーズロックの上部は表面が波打っていて、白い点線が引かれた登山道を短い周期の登り降りを繰り返して頂上をめざします。エアーズロック上部

頂上にはドラム缶のようなものが置かれています。エアーズロック頂上

頂上から見える大パノラマの説明です。dav

遠くには、エアーズロックと並ぶ観光名所のカタジュタが見えます。エアーズロックからカタジュタ遠景

☆エアーズロックにはいつ登れるか

オーストラリア観光の象徴のようなエアーズロックに登ろうと、多くの観光客が訪れますが、いつも登れるわけではありません。登山道が開く日は、1年の3分の1くらいで、開いている日も終日開いているとは限りません。

基本的に閉まっていて、条件が整った時だけ、登山道が開放されると言ったほうがいいでしょう。エアーズロック登山口閉鎖

閉まった登山口の横に、なぜ閉鎖されているかの掲示がされます。エアーズロック登山道閉鎖の理由

閉鎖されている登山口を突破して登ると、高額の罰金が科されます。

・風速12.5ノット以上
・気温が36℃以上になると予想される
・雨で岩が濡れている
・数時間以内に雨が予想される
・アボリジニの宗教儀式がある時
などは開きません。

エアーズロックは、オーストラリアの原住民であるアボリジニの人たちにとっては聖地で、彼らは観光客に自分たちの聖地を土足で踏み荒らしてほしくないと思っています。

登山口近くにこんな看板がありました。エアーズロック登るな

この原住民の人たちの願いがかなえられて、この度、登山禁止になったわけです。であれば、静岡県民と山梨県民の一部が、富士山は自分たちの聖なる山だから登山禁止にすべきだ、と主張すれば認められるのでしょうか?

今回の措置は、白人たちが入植以来、二百数十年に原住民にしてきたことへの贖罪によるものだと思います。

☆いつ登山できるかは予測不能

エアーズロックのある「ウルル-カタジュタ国立公園」の管理担当者(パークレンジャー)が、毎日7/8/10/12/14時にその時点の気象条件を計測して、登山道を開けるかどうかを決めていました。エアーズロック風速計

登山道が閉鎖される原因の7~8割は風とのこと。ふもとではそよ風くらいでも、頂上ではほぼ倍速になります。

夏(12~2月)は高温のため、登れる確率は低くなっていました。

現地の観光案内所(日本語対応もあり)に、日付を指定して「この日は登れますか?」と尋ねても、「その日になってみなければわからない」と言われました。

☆エアーズロック登山の所要時間

ガイド本には1時間半から2時間との記載が多いですが、人により体力差があり、鎖場の混み具合にもよりますので、あてになりません。エアーズロックの上でどれくらい過ごしたいかにもよります。

滑り落ちたら命がない鎖場では無理して急ぐのは禁物です。慎重に昇り降りしなければなりませんから、自分の体力に合わせてマイペースで行かなければなりません。

帰りの時間が迫っている場合には、頂上にたどり着くのを諦める勇気も必要になります。

☆エアーズロックへの行き方

エアーズロックから約19km離れたエアーズロックリゾートに宿泊施設、レストラン、スーパーが集まっています。エアーズロック観光のベースとなる町はここだけで、登山道入り口までバスか車で20~40分です。

空港はエアーズロックリゾートからさらに5kmくらい離れており、送迎バスで約10分です。シドニー、ケアンズなどからフライトがあり、
空港到着⇒送迎バスでエアーズロックリゾートの宿泊施設にチェックイン⇒バスかレンタカーでエアーズロックをめざすことになります。

☆ツアーでエアーズロック登山

登山をめざす日本人観光客の多くはエアーズロックリゾートに1泊の旅程を組んでいました。以下の旅程がほとんどで、ツアーには日本人ガイドが同行しました。

1日めの昼過ぎに到着し、
15:00頃にエアーズロックリゾートを出発するツアーで、カタジュタの谷を1時間くらい歩き、飲み物と軽食付きでエアーズロックの日の入りを鑑賞する。エアーズロック飲み物片手に

2日めは、日の出の1時間半くらい前にエアーズロックリゾートを出発するツアーで、飲み物と軽食付きでエアーズロックの日の出を観て、その後、登山道入り口まで移動する。開いていれば希望者は登り、閉まっているか、登山を希望しない人はエアーズロックのまわりを歩き、11時半にエアーズロックリゾートに帰ってくる。すぐに荷物を取って空港へ。

これは典型例ですが、どうしても登りたくて、2泊以上して複数回ツアーに参加している人もいました。

☆エアーズロックを訪れるツアー

①JTB、HISなどの日本の旅行会社が催行する、日本を出発してから帰るまでのすべてがパッケージになったツアー。

②現地旅行会社が催行するツアー。シドニー、ケアンズ、アリススプリングなどが発着地になります。

①②どちらにしても、エアーズロックリゾートからは、AAT kings社のツアーに接続されます。日本からの複数のツアー客と、個人でAAT kings社に申し込んだ客が同じAAT kings社のバスで出かけることになります。

AAT kings社はさまざまなツアーを用意していますが、エアーズロック登山が可能なのは日本語ツアーだけでした。

☆日帰りツアーはやめたほうがいい

日本発のパッケージツアーの中には、シドニーなどから日帰りでエアーズロックを訪れるものもありますが、滞在時間はわずかで、日ノ出、日の入りに時刻に色がうつろうエアーズロックの魅力を味わう時間もありません。

☆ツアーに入らずにエアーズロックを楽しむ

エアーズロックリゾートからエアーズロックの周りの複数の停留所をまわるバスが運行されています。

「Uluru Hop On Hop Off」というもので、1日120$、2日で160$で何度でも好きな時に乗り降りできます。ガイド付きでない分、ツアーよりはかなり安価です。公園入場料は別途必要です。季節により運行本数は変わり、日の出の1時間半前から日の入り前後まで運行されています。

パス購入と席の予約は、
・ネット
・ホテルのフロント
・エアーズロックリゾートのインフォメーションセンターの窓口
でできます。

自分の好きな時間に好きな場所を観光できるので便利です。

☆注意!(トイレ)

エアーズロックの周りのトイレは、登山口のあるマラ駐車場から、道路を挟んで約200mのところの1か所だけです。

☆注意!(水)

エアーズロックの周りには水を買うところはありません。

ツアーで行く場合は、ツアーバスの中に準備があるので、足りなくなっても補給できますが、個人で行く場合は、エアーズロックリゾートで十分な量を買って持っていく必要があります。

登山道近くに水道水を汲めるところはありますが、お腹を痛めやすい人は避けたほうがよさそうです

☆注意!(ハエ対策)

エアーズロックのまわりを歩くと、おびただしい数のハエが群がってきます。日本のハエは食物に寄ってきますが、エアーズロックのハエは人間にも群がります。とてもアグレッシブで口や鼻の孔にも入ってきます。

対策として、頭からネットの被り物をする人が多いですが、ネットを通すと視界が限られます。であれば、防虫スプレーを露出する肌も含めてかけておくと多少は効果があります。マスクも役に立ちます。

☆エアーズロックをぐるっと歩く

エアーズロックの周りを約10kmで一周する歩道が整備されており、変化に富んだエアーズロックの姿を楽しむことができます。道は平たんで迷うことはなく歩きやすくなっています。登れなくなった今となっては、エアーズロックを間近に楽しむにはこれしかありません。

一周はしたくない人には、登山口から時計回りに約500m続く「マラウォーク」がお薦めです。緑に囲まれた遊歩道で、アボリジニの壁画が残る洞窟があります。

この遊歩道の行き止まりは、三方を眼前にそそり立つ岩に囲まれた秘境っぽいところです。終日、日が当たらないので、暑い日でもひんやりします。エアーズロックマラウォーク終点

ハエも少なく、ベンチもあるので、ここで静かにのんびりと過ごせます。

☆コロナ後のエアーズロック

さて、いかがでしたでしょうか。

2021年12月時点で、オーストラリアへの入国には14日間の隔離などさまざまな制約がかかっています。観光以外にこれといった産業はない地域なので、エアーズロックあたりの人たちはたいへんでしょう。

この先、ワクチン接種や陰性の証明書を取得して旅行できるようになったら、オーストラリアのへそ、エアーズロックにも訪れたいものです。

登れなくなってしまいましたが、日の光で色合いを変えていく岩を眺めるのも楽しいものです。