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ミルフォードトラック:その魅力と歩き方

「世界で最も美しい散歩道」と言われる
ミルフォードトラック。

ニュージーランド南島の南西部、ミルフォードサウンドとテ・アナウ湖を結ぶ約53kmのトレッキングコースは感動の連続です。まず、その魅力をご紹介します。

1. 手つかずでスケールの大きな自然

自然環境保護のため、ミルフォードトラックへの入山者数は制限されており、手つかずの大自然がそのまま残っています。

氷河によって削られた深いU字谷の中を歩きます。Milford U字谷

崖を流れ落ちる滝は数知れず。Milfordサザーランドの滝

山道と並行して流れる川。
大規模な地滑りが発生したところでは、堰き止められて池になっています。Milford川

ミルフォードトラックの鳥たちは人慣れしていて、近くまで寄ってきます。Milford鳥

風に揺れる花。 Milford花

2. 上級クライマーでない、ふつうのハイカーでも歩ける

ミルフォードトラックの山道は整備されて歩きやすく、脇道に迷い込みやすいところには標識が立てられています。Milford分岐の標識

1マイルごとに、どのあたりかわかる標識は、周囲の木々に溶け込む色合いです。Milford標識

行程中のハイライトであるマッキンノン峠を越える道は緩やかなジグザグ道。600m登って900m下りますが、よじ登り感は全くありません。Milford登り道

足を踏み外したら、谷底まっさかさまの危険な場所はミルフォードトラックにはほとんどありません。峠の上のここくらい。Milford崖の上

難所には木の階段が架けられているところもあります。Milford下りの階段道

ミルフォードトラックでは安全には十分に配慮されています。

3. 悪天候でも景色を楽しめる

ミルフォードトラックのある地域は世界屈指の多雨地帯です。雨に降られる確率はかなり高いのですが、峠を除いては標高が高くないので、雨の日でも霧で周囲がまっ白になることがなく、景色を楽しめます。

霧に煙る滝も風情があります。雨で水量を増して迫力満点です。Milford雨の滝

雨が強いと道が川のようになり、膝まで水に浸かって歩くこともあります。Milford水浸しの道

4. ミルフォードトラックを歩くには

ミルフォードトラックへは個人で好きな時に訪れることはできません。以下の2つのいずれかに事前予約する必要があります。

ひとつは個人ウオーク(Independent Walk)。

3泊4日の決められた行程を個人で歩きます。食糧や装備はすべて自分で持ち歩きます。ロッジは簡素ですが、洗い場、コンロ、トイレはあります。2段ベッドにはマットレスは用意されており、寝袋を持参します。Milford個人ウオークの小屋

もうひとつはガイド付きウオーク(Guided Walk)。

1日につき50人までで、参加費は高額ですが、その値段にふさわしい、すばらしい体験ができます。2019-20シーズンは1NZ$=68円として、相部屋で約16万円、個室だとその約2割増です。

歩くのは実質3日で、山中のロッジに3泊し、4泊目はミルフォードサウンドのホテルです。

相部屋の様子です↓Milfordロッジ相部屋

歩いている時は、ガイドが先頭と最後尾について、安全には万全を期しています。ミルフォードトラックの魅力、行程中の個別の見どころなどいろいろな話を聞けます。ランチを食べるところでは、暖かい飲み物を用意してくれます。

増水した濁流を渡る時にはアシストも。Milford濁流アシスト

電話もネットもつながらない山奥ですが、ロッジの設備、食事はホテル並みです。

到着すると、入口にジュース、水、軽食、フルーツが用意されています。ロビーに入るとさらにたくさん。コーヒー、紅茶もあります。Milfordロッジ軽食

ラウンジでゆったりできます。バーもあって、有料ながら、地元のワイン、ビールも飲めます。Milfordロッジのラウンジ

ディナーは地元の食材を使ったコース料理です。メインは3種類から選べます。

前菜。Milford前菜

メイン。Milfordメイン

デザートも。Milfordデザート

さらにテーブルごとに大皿のサラダが出されます。

朝食はビュッフェ。パン、シリアル、卵、ベーコン、フルーツ、ヨーグルトが並びます。エッグベネディクトが出される日もあります。

朝食前に、テーブルに並べられた豊富な食材でランチのサンドイッチを作って持っていきます。Milfordランチ

最終日はミルフォードサウンドのクルーズ。Milfordミルフォードサウンドクルーズ

さまざまな国のトレッキング仲間と交流でき、まさに至れり尽くせりの4泊5日です。

ミルフォードトラックのガイド付きツアーの全行程詳細レポートは⇒こちらへ

5. ミルフォードトラックを歩く詳細ノウハウ

ガイド付きツアーでミルフォードトラックを歩く時のノウハウをお伝えします。

☆ツアー予約

主催者のUltimate Hikesのサイトに、出発日ごとの空き状況が表示されています。日本語対応もされています。必要情報を入力し、クレジットカードで支払いすれば予約完了です。

予約完了すると、全行程の詳細、準備、注意点が書かれた資料がメールで送られてきます。

日本の旅行会社が主催する、ツアー申込も含めたパックツアーに申し込むこともできますが、料金は割高です。

☆ツアー参加のための所要日数

4泊5日の行程ですが、ツアーの前日、出発地クイーンズタウンで行われる説明会で、ツアー全般の予定、注意点の説明があり、貸与品の受け取りもあるので、出席したほうがいいです。したがって、
休暇1日目:日本出発
休暇2日目:クイーンズタウン着、説明会
休暇3~7日目:ミルフォードトラック・ツアー
休暇8日目:早朝にクイーンズタウン発、夕方、帰国。
と、最低8日が必要です。

ツアー最終日にクイーンズタウンの空港で降ろしてもらって、そのままフライトで帰国、または、ニュージーランド国内の他の都市に移動するのは、帰りのバスが遅れるリスクを考えるとお薦めできません。

☆言葉の心配

日本人参加者が多い時は、いつもとは限りませんが、ガイドの一人が日本人になります。クイーンズタウンのUltimate Hikesでの出発前日の説明も日本語でやってもらえることがあります。

前日にもらえる行程や注意書きを書いた資料も日本語対応しています。Milfordナビゲーター

☆持ち物

ザックをしょって歩くことになりますので、なるべく軽くすることが肝要です。

出発前日の説明会で、主催者Ultimate Hikesがくれるビニールのバッグに不要なものを入れて、初日に預けると、4日目に宿泊するロッジまで運んでもらえます。ただし、容量に限りあり、スーツケースなど大きなものは入れられませんので、自分で対応しなければなりません。

出発地のクイーンズタウンで荷物預けを探すか、出発前日と最終日に同じホテルに泊まって、トレッキングに必要ない荷物を保管してもらうのがいいでしょう。

☆持ち物:衣類

各ロッジには洗濯用のシンクがあり、乾燥室は(4日目を除いて)強力で、ディナー前に洗濯して干しておけば、夜10時に電気が切れる前には乾きますので、多くの着替えを持ち運ぶ必要はありません。

歩いて汗をかき、雨に濡れる可能性が高いので、乾きやすい化学素材を選びましょう。綿素材はNGです。重ね着できる工夫も必要です。これらは一般的な登山の心得と同様ですが、天候が急変しやすいミルフォードトラックでは特に重要です。

1,2月の真夏でも、峠越えでは気温が0℃近くまで下がることがあり、台風並みの強風が吹く日もあります。

☆持ち物:ブーツとスリッパ

登山用ブーツは履きなれたもの持ってきましょう。水浸しになる可能性が高く、乾かしていると、上部が裂けることがありますので、あまり古いものはよくないでしょう。

ガイドさんによると、毎回1人はブーツが裂ける人がいて、テーピングの応急処置が必要になるそうです。

Milfordブーツ裂けた←こんなふうになる!

 

 

 

 

 

 

 

また、ブーツの底についた土はきれいに掃って持ってきましょう。ニュージーランド入国の際に税関でチェックされることがあります。

ロッジの中では登山ブーツは履けないルールになっていますので、上履きが必須です。床が濡れていることもありますので、布の薄いスリッパは不向きです。軽量かつ底が厚いものを選びましょう。

☆持ち物:雨具

ミルフォードトラックは世界屈指の多雨地帯ですので必須です。上半身に水が浸み込まないように、ザックと上半身を一体で覆える雨具がいいでしょう。

傘をさして歩けなくはありませんが、どしゃぶりになると役に立たなくなるのでお薦めできません。

ズボン、ブーツに上から雨が入らないようにする防水レッグカバーもあったほうがいいでしょう。

Ultimate Hikesで前日の説明会の時に無料で貸してもらえますが、自分に合うものを持って行ったほうがいいです。

☆持ち物:虫よけ

サンドフライという蚊のような小さな虫が、休憩時間で止まっていると、露出した肌に大量にくっついてきます。日本の蚊は振り払えば飛んでいきますが、サンドフライはくっついたまま離れようとしません。体質にもよりますが、さされるとかなりかゆい。しかも数日続くことが多い。

肌をなるべく露出させないことが肝要ですが、手などにはスプレーで手当てしておいたほうがいいでしょう。クイーンズタウンのUltimate Hikesの店でスプレーを売っていますが、自分に合ったものを持ってくるほうがいいでしょう。顔にもくっついてきますので、網のようなもので覆っている女性もいます。

☆持ち物:食べ物

山奥で売店もない、小腹がすいたらどうしよう、と考えてスナック菓子、バランス栄養食品などを持っていく必要はありません。

ロッジに到着すると軽食が用意されているので、ディナー前に空腹に悩むことはありません。夜、お腹がすきそうな人は、バナナやビスケットをキープしておけばいいでしょう。

☆持ち物:水筒

必須です。行程中、ミネラルウオーターは手に入りません。浄水器もありません。

初日はバスの中で飲む分を出発前に用意します。2日め以降は、朝、ロッジで適量を入れていきます。途中の休憩場所で、暖かい飲み物、ジュースも出してもらえますし、水の補給もできますので、たくさん入れていく必要はありません。

☆持ち物:懐中電灯

日が短くなる3~4月に参加する場合、暗くなってから歩くことに備えることを考える方もいらっしゃるでしょうが、朝早く出発する余裕のスケジュールで、アクシデントで他の参加者から遅れて一人で歩く場合でも、ガイドがフォローしてくれますから、基本的に不要でしょう。

ロッジでは22時~6時すぎまで電気がつきませんが、部屋に懐中電灯が常備されていますので不要です。スマホの電燈ソフトで十分です。

☆持ち物:トレッキングポール

Ultimate Hikesから有料(25NZ$)で借りられます。

☆持ち物:カメラ

雨に遭う可能性が高いので、カメラは防水機能があるものにしたほうがいいでしょう。メインのカメラの他に、軽めの防水カメラの2台持ちしている人もいます。

☆電話・ネットは使えない

初日にテ・アナウでランチを食べてから、5日目に同じ場所に戻るまで一切使えません。

☆保険

必ず日本出発前に入っておきましょう。

6. ミルフォードトラックへのアクセス

起点となるのが、ニュージーランド南島有数のリゾートタウン、クイーンズタウン(Queenstown)。Milford Queenstown

ガイド付きツアーの発着地です。

クイーンズタウンへは、日本からのフライトがあるオークランドから1日6~8便(夏季)のフライトがあり、所要1時間50分。クライストチャーチからは1日4~5便で、所要約1時間。オーストラリアからのフライトもあります。

空港から街の中心へは15分おきにバスが運行されており、所要30分くらいです。

クイーンズタウンのガイドは⇒こちらへ

さて、いかがでしたでしょうか。この記事が、これからミルフォードトラックを歩こうと計画されている方のお役に立てれば幸いです。

 

 

 

マールボロでニュージーランドワイン

最近、日本のコンビニやスーパーでも買えるようになったニュージーランドワイン。マールボロ地方(Marlborough)は、その最大の生産地です。ブドウ畑が広がるのどかな平原にワイナリーが点在します。

☆マールボロ地方の位置、特徴

ニュージーランドは南と北の2つの島から成りますが、マールボロ地方は南島の北東部にあります。

南北を低い山地に挟まれた平原は一面ブドウ畑。Marlboroughブドウ畑1

マールボロの中心都市ブレナム(Blenheim)とその9km西にあるレンウィック(Renwick)にかけて多くのワイナリーが点在しています。
Morlboroughブドウ畑2

ブドウの実がたわわに実ります。Marlboroughブドウの実

マールボロは日照時間が長く、海からの風で夏でも涼しく、 さらに昼夜の寒暖の差が大きく、ワイン造りに適した気候です。

特にソーヴィニヨン・ブランは最高においしい!

☆マールボロのワイナリーを巡るには

ワイナリーは東西約20km、南北約10kmのエリアにあります。起伏のない平坦な地形なので、レンタサイクリングでまわることはできますが、ワインを飲んで酔っぱらうことを考えるとお薦めできません。

公共交通機関はブレナムとケズウィックを結ぶ幹線道を走るバスが1日数本ありますが、道路から離れたワイナリーも多いですから使いづらい。

人数が集まればタクシーをチャーターすることもできますが、ブレナム発のワイナリー巡りツアーに参加するのがよいでしょう。

ブレナムだけでなく、北方約30kmにあるピクトン(Picton)でピックアップしてもらえるツアーもあります。ピクトンは南北島間を渡るフェリーが発着する港町です。

☆ワイナリーツアー

複数の会社が1日/半日/時間単位のツアーを用意しています。筆者が参加したのはMarlborough Wine Tours社の1日ツアーでした。

10:00頃、ブレナムの駅といくつかのホテルで客をピックアップし、5か所のワイナリーを巡り、1か所で4~5種類のテイスティングして、110NZ$。うち1か所で別料金のランチを食べ、16:00過ぎに客が指定する場所で降ろしてくれるというものでした。

ワイナリーに着くといきなりテイスティングワインが用意されています。おつまみ付き。Marlboroughテイスティング

説明を聴きながら、次々につがれるワインを味わいます。Marlbouroughワイン注ぐ

その場で買うこともできます。Marlbouroughワイン買う

日本でも最近みかけるSpy Valley Wines。Spy Valley Wines

4つめのワイナリーでランチ。世界各国の同好の人たちと話がはずみます。Marlboroughランチ2

☆泊るならブレナム

マールボロのワイナリーを巡る起点の街はブレナム。これといった見どころはありませんが、こじんまり落ち着いた感じの街です。Blenheim Street

鉄道駅とその前の観光案内所(i-SITE)から歩いて5分くらいで街の中心、シーモア・スクエア(Seymour Square)。Blenheim Park

この周辺にホテル、モーテルが数軒ありますが、街の中心には宿泊施設は少なく、郊外に向かう道路沿いにモーテルが点在しています。

☆マールボロへのアクセス

マールボロ空港はブレナムから西に約9km、ブドウ畑が広がる平原の真っただ中にあり、オークランド、ウェリントン、クライストチャーチなど各地から便があります。

空港とブレナムを結ぶバスは1日数便しかなく、フライトの発着時間に合わせてもいないので、タクシーを使わざるをえません。 到着後、荷物を引き取って、正面玄関を出たところに大型の乗合タクシーが数台待っています。同じ方向に向かう人たちが集まって相乗りになります。

鉄道駅には、クライストチャーチとピクトンを1日1往復する列車Coastal Pacific号が停まります。クライストチャーチからは所要約5時間。ピクトンからは27分。

長距離バス停留所は鉄道駅の前にあります。クライストチャーチ、ピクトン、ネルソンに向かう便が発着しています。
クライストチャーチから約5時間、ピクトンから30分、ネルソンから1時間45分。

便数は季節によって変わりますが、夏のピーク時期でもクライストチャーチが2便、ピクトンとネルソンが4便と、かなり不便です。
(⇒バスの時刻表

ニュージーランドを縦断する計画のある方は、ぜひマールボロに立ち寄って、のどかなブドウ畑を眺めながらワインを味わってみてはいかがでしょうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クイーンズタウン:滞在型リゾートのお手本

風光明媚なニュージーランド南島の中でも随一の観光地、クイーンズタウンに行ってきました。(2017年1月)

クイーンズタウン(Queenstown)は、最近、日本のインバウンド観光で求められている、滞在型リゾートのお手本のような街です。観光客が長期間のんびり滞在して、さまざまなレジャーを楽しむための多種多様な施設、イベントが整っています。

☆湖畔の美しい街、クイーンズタウン

クイーンズタウン(Queenstown)はサザンアルプスの麓、長さ約77kmの細長いワカティブ(Wakatipu)湖畔にあります。

滞在型リゾートの第一の条件は、長期間滞在しても見飽きない美しい風景と街並みです。

クイーンズタウンは緑に囲まれた小さな街で、木々の間に瀟洒な邸宅が点在しています。Queenstown緑の中の邸宅

クイーンズタウンのメインストリート、モールの両側にはカフェ、レストラン、みやげ物屋、ブティックなどが建ち並びます。Queenstown Mall

街のはずれにたたずむ小さな教会。Queenstown教会

ワカティプ湖畔の遊歩道を散歩しながら、湖と雄大な山々の風景を楽しめます。Queenstown湖畔

バーベキューしている人もいます。Queenstown遊歩道

☆豊富なアクティビティ

滞在型リゾートの第二の条件は、毎日、さまざまな種類のアクティビティが準備されていることです。

クイーンズタウンの中心「ザ・ステーション(The Station)」。Queenstownステーション
観光案内所アイサイト(i-Site)や多くの旅行会社がこのあたりに集まっており、滞在中のさまざまなアクティビティの予約ができます。
アイサイト

*湖上クルーズQueenstown船
*フィヨルドランドへのツアー
(ミルフォードサウンド、ダウトフルサウンドなど)Milfordミルフォードサウンドクルーズ
*遊覧飛行
*トレッキング
*バンジージャンプ
*乗馬
*ラフティング
*ゴルフ
*牧場訪問
*ワイナリー巡り
などなど。

6~9月の冬にはスキーリゾートになります。

一か所にこれだけ揃った観光地は日本にはないですよね。

☆ワインを楽しむ

滞在型リゾートの第三の条件はおいしい食べ物、飲み物です。クイーンズタウンにはローカル料理のみならず、さまざまな国の料理を提供するレストランが豊富にあります。そして、クイーンズタウンのなによりの魅力はおいしいワインに恵まれていることです。

クイーンズタウン近くのギブストンバレーは有数のワイン生産地です。のどかなぶどう畑が広がります。Queenstownブドウ畑

地下のワインカーブを見学できます。Queenstownワインカーブ

内部はひんやりしています。テイスティングもできます。Queenstownワインテイスティング

クイーンズタウンの街中でもワインを味わえます。
珍しいワイン自動テイスティング機。Queenstownワインテイスティング機

受付でクレジットカードなどのID証と引き換えにカードとグラスを受け取り、飲みたいワインのところにカードを差し込みます。量は3種類から選べます。帰る時にまとめて精算です。

移動できるのもあります。Queenstownワイン車

☆クイーンズタウンへの行き方

ニュージーランド各地からのフライトがあります。日本からの直行便があるオークランドからは2時間弱、南島の中心クライストチャーチからは約1時間。オーストラリアからのフライトもあります。

クイーンズタウンの空港は街から9km西にあります。15分ごとにバスがあって、街の中心まで30分弱です。

バスで来ることもできますが、かなり時間がかかります。クライストチャーチからは約8時間です。ダニーデンからはバスまたは鉄道とバスを乗り継いで来ることもできます。いずれも所要約6時間です。

☆クイーンズタウンで泊る

滞在型リゾートの条件として、長期間滞在できる設備の整った宿泊施設があります。

クイーンズタウンには高級ホテルから安いドミトリーまで、いろいろなタイプの宿泊施設が整っています。

カフェ、レストラン、様々なショップは街の中心にぎゅっと集中していますので、歩いて行けるところがよいでしょう。但し、車で移動できる方には、郊外のモーテルが割安です。

そして、予約する時には部屋の向きを確認しましょう。部屋から湖と、その向こうに、夕暮れ/朝焼けに輝く山々が見れたら最高ですね。Queenstown夕焼け

日々の喧騒から離れ、しばし命の洗濯ができる街、それがクイーンズタウンです。

最近、日本でインバウンドによる地方創生が言われていて、多くの自治体が試行錯誤で、外国人観光客誘致に知恵を絞っています。クイーンズタウンは滞在型リゾートのすべての条件を満たす街です。実例として学んでみるのはいかがでしょうか。

ミルフォードトラックを歩いてきた(1,2日目)

「世界一美しい散歩道」と呼ばれるミルフォードトラック。

自然保護のため入山は厳しく管理制限されています。ここを歩く方法のひとつは、Ultimate Hikes社が運営するガイド付きのツアーに参加すること。筆者が2017年1月に参加したツアーの5日間をお伝えします。

なお、ミルフォードトラックを歩くノウハウは⇒こちらへ

出発前日

ツアーの出発は湖畔の美しい街、クイーンズタウン(Queenstown)。ニュージーランド南東随一のリゾートタウンです。Milford Queenstown

出発前日の夕方、街の中心にある「The Station」のUltimate Hikesで説明会が開かれます。(⇒地図

必要な人は、バックパック、雨具、シーツ(相部屋の場合)などを借りられます。山グッズの販売店も併設されています。

1日目

朝8:30に「The Station」に集合し、9:00にバスで出発。

テ・アナウ(Te Anau)まで約2時間半、山と湖の美しい景色の中を走ります。途中、ディナーのメインのチョイスを記入するシートがまわってきます。Milfordディナーメイン希望

テ・アナウのドライブインみたいなところで約40分、ビュッフェのランチ。Milford Te Anau

けっこう種類豊富です。Milford TeAnau Lunch

さらに30分ほど走り、テ・アナウ・ダウンズ(Te Anau Downs)へ。そこから船で約1時間、グレイド・ワーフ(Glade Warf)へ渡ります。Milfordテアナダウンズ乗船

これから歩くミルフォードの山々が迫ってきて、期待がふくらみます。Milford テ・アナウ湖

上陸時にはブーツの消毒です。自然環境を護るための管理は徹底しています。Milford消毒

トレッキング開始。Milfordウオーキング開始

1.6kmの平坦な道を20分くらいで歩くだけで、15時前にこの日の宿、グレード・ハウス(Glade House)に着きます。Milford Glade House

部屋に荷物を置いて、約1時間半、ガイドの案内で周囲の森の中をネイチャーウオークに出かけます。Milford Nature Walk

ガイドが、ミルフォードの地理、気候、植生、野鳥たちの生態などの話をしてくれます。このあたりの野鳥は人に慣れていて、近くに寄ってくることもあります。Milford鳥

1,2,3,4日目は、ディナーの前に、ガイドがスライド映写で、宿泊施設の設備、翌朝までのスケジュール、翌日歩くコースの説明をしてくれます。さらに、初日はディナーの後に、参加者の自己紹介タイムが設けられています。筆者が参加したツアーは参加者49人にガイドが4人でした。

2日目

朝はビュッフェのランチ。その前に、当日のランチの準備をします。テーブルに置かれた豊富な食材を使って、サンドイッチを作って持って行きます。この後の日も同様です。Milfordランチ

朝8時半、クリントン川にかかる吊り橋を渡って、トレッキングスタート。Milford Clinton River

この日は、多少の登りはあるものの、平坦な道を約16km歩きます。大部分は森の中。右手のクリントン川に近づいたり、離れたりがしばらく続きます。Milford2日目川沿いの道

木々の間から、切り立った崖と流れ落ちる滝が見えます。 Milford Hirere Fall

時折、開けた場所に出ます。 Milford開けた場所

ツアー参加者全員が一団となって歩くのではなく、各自のペースで歩きます。速い人と遅い人では開きがでますが、ガイドは先頭に一人、最後尾に一人ついて、はぐれる参加者がでないようにフォローします。悪天候の日は、なるべくかたまって歩くように言われます。

ランチ休憩はヒレレ(Hirere)滝近くのシェルターで13時頃になります。三々五々到着し、食事を終えた人から出発していきます。ガイドが暖かい飲み物を用意してくれます。この後の3,4日目も1日1回、同様の飲み物サービスがあります。Milford Hirere Shelter

16時頃に、2日目の宿、ポンポローナ・ロッジ(Pompolona Logde)に到着です。

ここだけでなく他のロッジでも同様ですが、入口にジュース、水、フルーツが置かれており、さらに、ラウンジにはコーヒー、紅茶、軽食が用意されており、自由に食べることができます。Milfordロッジ軽食

バーもあって、有料ながら、地元のワイン、ビールを飲めます。Milfordロッジのラウンジ

ラウンジはゆったりしていて、ロッジとは言うものの、設備はホテル並みです。共同ながら、シャワー室ではお湯がふんだんに出ますし、トイレは水洗です。

当日から翌朝出発までのスケジュールが掲示されています。 Milfordロッジのスケジュール

洗濯用のシンク、乾燥室もあり、かなり早く乾きますので、持ち歩く衣類は最小限で済ますことができます。

1,2,3日目のロッジは10時に電気が切れます。電気が切れたら、否応なく寝るしかありません。 筆者の場合、洗濯したり、ラウンジで同行の皆さんとおしゃべりしていると、あっという間に10時になり、独りで時間を持て余すことは全くありませんでした。

ロッジからは、明日登るマッキンノン峠(Mackinnon Pass)が見えます。筆者が訪れた1月下旬は、夜の8時半でこの明るさです。Milfordマッキノン峠遠景

続く

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ミルフォードトラックを歩いてきた(3,4,5日目)

ミルフォードトラック全行程のハイライトは、マッキンノン峠(Mackinnom Pass)越え。距離は前日と同じくらいの16kmですが、600m登って、900m降ります。

3日目

出発は前日より早めの7時30~45分。電気がつくのが6時15分で、それから身づくろい、ランチ作り、朝食で、けっこう忙しい。

ミルフォードの谷間の遅い朝。山の上部から徐々に日がさしてきます。Milford谷間の朝

断崖絶壁に囲まれて、ひっそりたたずむミンタロ(Mintaro)湖。鳥のさえずりがこだまします。Milfordミンタロ湖

出発してから約5km、2時間半ほど歩いたところから、ジグザグの登り道が始まります。よく整備されており、危ないところはありません。峠まで約3km登ります。Milford登り道

峠が近づいてきます。Milford峠近く

11時半から12時過ぎに、峠に立つマッキンノン記念碑に到着します。ここからの絶景は一生忘れられません。Milford峠の記念碑

このあたりは野鳥や高山植物の生息地になってます。Milford峠の池

断崖絶壁の上の展望台。Milford崖の上

当日泊るクインティンロッジ(Quintin Lodge)が谷底深くに見えます。Milfordクインティン・ロッジ

これまで歩いてきたクリントン渓谷は、氷河に削られたU字谷であることがわかります。Milford U字谷

しばらく歩いたところのパスハット(Pass Hut)でランチ&飲み物休憩。Milfordパスハット

下り道も傾斜はさほどきつくありません。Milford下り道

荒々しい絶壁、滝などを眺めながらの楽しい下り道です。Milford下り道の滝

この滝付近は、ミルフォードトラック最大の難所と言われていますが、木の階段が架けられ、滝を振り返りながら下ります。Milford下りの階段道

16時頃にクインティンロッジに到着します。Milfordクインティンロッジと崖

ここから往復1時間半で、ミルフォードトラック随一と言われる、サザーランド滝を観に行きます。夕食に間に合うように、16時半までに出発するルールになっています。Milfordサザーランド滝の表示

サザーランド滝は、那智の滝や華厳の滝より落差の大きい滝が縦に3つ連なって、すごい迫力です。Milfordサザーランドの滝

滝壺近くまで行くと、全身びしょ濡れになりますので、雨具の準備が必要です。

4日目

この日も7時30~45分出発です。21kmと距離は長いですが、道は平たんです。

最初は森の中を進みます。木々の切れ目から滝が見えます。頭上から落ちてくる感じです。Milford頭上から滝

濁流に架かる吊り橋を渡ります。Milford濁流を渡る

ミルフォード地方は世界でも屈指の多雨地帯。雨が降ると道は浸水して、ときには、膝まで水に浸かって歩きます。筆者が歩いた日は終日どしゃぶりでした。Milford水浸しの道
約8km歩いてボートシェッド(Boatshed)で休憩。この日はここで暖かい飲み物です。雨の日には助かります。

この日のランチは朝から約16km歩いたところ、14時くらいになります。その近くで、ジャイアンツゲート滝が轟音を響かせています。Milfordジャイアンツゲート滝

さらに平坦な道を5km歩いて終点サンドフライポイント(Sandfly Point)に到着します。ここはフィヨルドの最奥地。

ここから船に乗って、約15分でミルフォードサウンド(Milford Sound)の船着き場へ。さらにバスに乗って5分で、最後の宿、マイターピークロッジ(Mitre Peak Lodge)に到着です。ロッジとは言うもののホテルです。部屋も2段ベッドではなくツインルームです。

ラウンジからの景色。フィヨルド真っただ中。Milfordマイタ―ピーク・ロッジ

玄関前からは、海面からいきなり1600mそそり立つマイターピーク(Mitre Peak)も見えます。Milfordマイターピーク

この日はディナーの後、完歩証授与式が行われます。ひとりひとりの名前が呼ばれて、ガイドから証書が渡されます。Milford完歩証授与式

ここだけは夜10時に電気が切れることはなく、遅くまでラウンジでお酒を飲みながら、くつろぐこともできます。

5日目

最終日は8:30にバスで出発し、9:00から1時間半のミルフォードサウンドのクルーズです。ミルフォードサウンドには、宿泊施設が少なく、宿泊できる街から距離があるため、一般客は少なく、船内は半分以上ツアーの仲間たちです。

船はフィヨルドの中を進みます。途中、いくつかの滝も目にします。前日までの3日間で、大小たくさんの滝を観てきましたが、断崖絶壁から海に直接流れ落ちるのは、新鮮な気がします。Milford Soundフィヨルド

太平洋への出口まで行ってUターン。山奥を歩いた後、大海原まで達する、ミルフォードトレッキングはドラマティックな旅です。Milford Sound太平洋

ミルフォードサウンドを11時頃に出発し、車窓から変化に富んだ景色が眺められるミルフォード・ロードを通って、テ・アナウへ。観光客を乗せたバスとたくさんすれ違います。このツアーの初日のバスとも。これからミルフォードトラックを歩く人たちがうらやましくなります。

初日と同じ場所で、朝、準備したランチを食べて、クイーンズタウンへ戻ります。途中、クイーンズタウンの空港で降りることもできます。The Stationに着くのは16:00頃になります。

気象条件の悪くない日には、ミルフォードサウンドから、ヘリコプター遊覧飛行でクイーンズタウンへ戻ることもできます。追加料金はかなり高価です。

5日間の感動的な旅をできる限りヴィヴィッドに書いてみましたが、いかがでしたでしょうか。予約からトレッキング当日までの注意点、持ち物についても書きました。⇒こちらへ

この記事がこれからミルフォードトラックにお出かけになる皆さんのお役に立てるとうれしいです。