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趣味で27年間、ヨーロッパを中心に世界を旅してます。 数えてみたら約350日が旅の空の下でした。 2014年春、サラリーマンをやめて、 フリーランスの経営コンサルタントになり、 時間が自由になったのをいいことに、 半年で50日間、12か国を旅しました。 多くの人が自分だけのすてきな旅ができるように 情報をたくさん提供していきます。

メドックマラソン

メドックマラソン(Le marathon du Medoc)はワインを飲みながら42.195kmを走る大会です。フランスのワインの名産地に広がるブドウ畑とシャトーを駆け抜けます。

ここ数年増えているフルマラソンの大会では、数キロごとに給水所(エイドステーション)が設けられ、水とともに軽食がふるまわれるのですが、メドックマラソンでは、これが給ワイン所!なのです。
メドック給ワイン所

筆者が完走した2016年大会の様子をご紹介するとともに、今後、個人で参加される方のために、エントリー方法から当日の快適な過ごし方までご案内します。
メドックブドウ畑とシャトー

 ☆メドックってどこ?

メドックはフランス南西部ボルドー(Bordeaux)の北に広がる地区で、ぶどう畑が一面に広がる中に小さな街、村が点在します。

☆メドックマラソンって、どんな大会?

タイムを競う大会ではありません。毎年、主催者からお題が出されて、それに則った仮装をして走ります。2016年は「Tales and Legend」でした。必須ではありませんが、参加者のおよそ8割はなんらかの仮装をしているという印象です。%e3%83%a1%e3%83%89%e3%83%83%e3%82%af%e3%83%9e%e3%83%a9%e3%82%bd%e3%83%b3%e4%bb%ae%e8%a3%85

人目を引く、おもしろいかっこうをして、エイドステーションで出されるワイン、おいしい食物を味わいながら楽しく走ろうという大会です。

2016年は参加者8000人、うち3割が外国人。日本人もかなりいます。毎年9月の第2土曜に行われるので、年によっては最高気温30℃以上の厳しいコンディションになることもあります。

スタート地点で綱渡りの曲芸。既にお祭りムードが漂います。 %e3%83%a1%e3%83%89%e3%83%83%e3%82%af%e3%83%9e%e3%83%a9%e3%82%bd%e3%83%b3%e3%82%b9%e3%82%bf%e3%83%bc%e3%83%88%e5%89%8d

制限時間は6時間30分。気温が高い場合は延長されることもあります。
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☆ワインと、世界一の補給食!

エイドステーションはおおよそ2kmごとにあります。食物もかなり充実しています。たいていの大会でもあるクラッカー、バナナ、ポテトチップスだけでなく、チーズ、ハム、牡蠣、ステーキ、オレンジ、ローストビーフ、アイスクリームなどなど。 完走すればほとんどフレンチのフルコースです。

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コース途中のシャトーの門を入って、シャトーの中庭にエイドステーションがあるというパタンが多い。
メドックシャトーに向かって

 

沿道のバンド演奏も様々に趣向が凝らされています。%e3%83%a1%e3%83%89%e3%83%83%e3%82%af%e3%83%9e%e3%83%a9%e3%82%bd%e3%83%b3%e5%bf%9c%e6%8f%b4%e6%bc%94%e5%a5%8f

応援してくれる人、ハイタッチを求める人も多く、マラソンパーティという感じの大会です。

☆スタート&ゴール地点、ポーリヤック(Pauillac)

メドックマラソンのスタート&ゴール地点で、前日の受付も行われるのが、ボルドーから北へ約50キロの小さな街、ポーリヤック。ポーイヤックと表記されることもあります。
メドックマラソンバナー

この街の宿泊キャパは小さいので、多くの参加者はボルドーに泊って、バスでポーリヤックまで来ます。

ボルドー/ポーリヤック間は路線バス、列車もありますが、本数が少なく、夜はありませんので、大会事務局が用意するシャトルバスで移動したほうがいいです。

続いて、エントリーから大会当日までのガイドです。

☆メドックマラソン申し込み

毎年2月頃にネットでエントリーが始まります。
*大会エントリーのみ
*前日と当日の宿泊とのパック
の2通りで申し込めます。

ホテルは一覧から指定できますが、スタート地点のポーリヤックとその近くはすぐにいっぱいになってしまいます。前日夜のパーティ、当日のボルドーからの送迎もオプションで申し込めます。

旅行会社に、大会エントリー、宿泊、ポーリヤックまでの送迎を一括して申し込むこともできます。大会前後のワイナリー巡りツアーなどもオプションで付けられます。ガイドさんが付いて至れり尽くせりですが、料金は割高です。

申し込みの後、所定の期日までに「Medical Certificate(健康診断書)」を取得して、大会事務局HPでアップロードします。

☆メドックマラソン前日

前日に受付(ゼッケン、Tシャツなどの受け取り)のためにポーリヤックに行く必要があります。参加者本人に限ります。6月頃に大会事務局から、ボルドー/ポーリヤック往復のバス予約のお薦めメールがきます。2016年はボルドー発12:00/14:00/16:00でした。

前夜祭のパーティを申し込んだ人は、パーティ後の帰りのバスもここで予約できます。

受付会場。英語は十分に通じます。%e3%83%a1%e3%83%89%e3%83%83%e3%82%af%e3%83%9e%e3%83%a9%e3%82%bd%e3%83%b3%e5%89%8d%e6%97%a5%e5%8f%97%e4%bb%98

周辺にはいろんなお店が出てにぎやかです。ワインテイスティングもありました。%e3%83%a1%e3%83%89%e3%83%83%e3%82%af%e3%83%9e%e3%83%a9%e3%82%bd%e3%83%b3%e5%89%8d%e6%97%a5%e5%b1%8b%e5%8f%b0

前夜祭のパーティは2か所で行われます。世界各国からの参加者と交流できるのはメドックマラソンの楽しみのひとつです。%e3%83%a1%e3%83%89%e3%83%83%e3%82%af%e5%89%8d%e5%a4%9c%e7%a5%ad

ポーリヤックの受付場所からは事務局の用意するバスでパーティ会場まで行くことになります。

ご注意ですが、パーティに出ると帰りがとても遅くなってしまいます。2か所の会場からボルドーに帰るバスは夜10:30~11:30発です。日付が変わってからボルドーのホテルに戻ることになり、翌朝、ポーリヤックに向かうバスは6:00か6:30発ですので、フルマラソン前夜の睡眠が十分とれないことになります。

☆メドックマラソン当日

まず、朝食です。自分のコンディション調整に合った食物を用意するのもいいですが、スタート地点の近くで朝食を提供する店がいくつかありました。メドックマラソン朝食

2016年は、走りだしてすぐのエイドステーションでクロワッサンやカヌレを出してくれるところもありました。エイドの食物は充実しているので、スタート前に無理に腹ごしらえする必要はないと思います。

水をペットボトルごと渡してくれるエイドステーションもあるので、スタート時は手ぶらでOKです。

スタート地点では、日本の大会のように、申込時の予想タイムに基づいてスタートエリアが指定されることはなく、早い者勝ちで前に行けます。

トイレが少ないのがこの大会の難点。ぶどう畑でするしかありません。%e3%83%a1%e3%83%89%e3%83%83%e3%82%af%e3%83%9e%e3%83%a9%e3%82%bd%e3%83%b3%e3%83%88%e3%82%a4%e3%83%ac%e4%b8%8d%e8%b6%b3

楽しい大会ですが、ぶどう畑の間のコースは凸凹の多い砂地で、乾いていると砂埃が舞います。シャトーに入ると玉じゃりの所が多く、意外な所で滑ったりしますので、ご注意を。

☆仕事の都合で参加できるか不確定な方へ

メドックマラソンは人気の大会なので、迷っているうちに締め切られてしまいます。「エントリーのみ」から先にうまっていきます。キャンセルの保険をつけることもできますが、かなり面倒で、全額は戻ってきません。

大会が土曜で、金曜午後に受付に行かなければならないので、遅くても金曜朝にはパリに到着する必要があります。日本発フライトのタイムリミットは木曜の夜行便です。

この時期に仕事を休めるか、エントリー開始の2月時点ではわからない方にお薦めなのは、エントリーが始まったらすぐに「エントリーのみ」を押さえてしまうことです。エントリーのみであれば、費用はおよそ1万円を少し越えるくらいで、行けなくなったとしても捨てるのはこれだけです。

当日と前日の送迎は、6,7月頃に事務局からの案内があって、その時点で付けることもできます。但し、年ごとに事情が違う可能性あり、確認が必要です。

ホテルは場所とグレードを選ばなければ直前でも確保できます。メドックマラソンはボルドー地区外から数千人が訪れる、この地方では大きなイベントですが、ボルドー市内の宿泊キャパは大きく、メッセなどの他のイベントと重ならない限り、問題ありません。

さて、いかがでしたでしょうか。残念ながら、2020/2021年は続けて中止になり、大会HPには「2022年9月10日に会いましょう」のメッセージが出ています。この記事が、コロナ終息後、のどかな風景の中で、マラソンとグルメを同時に楽しむ一助になれば幸いです。

 

 

 

 

チンクエテッレを個人で観光するガイド

イタリアの北西部リグーリア海岸沿いに、海に迫る険しい崖にへばりつくような5つの集落が総称して「チンクエテッレ(Cinque Terre)」と呼ばれています。

北から
・モンテロッソ・アル・マーレ (Monterosso al Mare)
・ヴェルナッツァ (Vernazza)
・コルニリア (Corniglia)
・マナローラ (Manarola)
・リオマッジョーレ (Riomaggiore)

チンクエテッレの魅力とともに、ツアーに入らず個人でチンクエテッレへ行く方法、楽しみ方をご紹介します。

☆チンクエテッレの魅力

狭い土地に色とりどりの家屋が密集し、青い海、緑の山と絶妙のコントラストをなしています。ユネスコの世界遺産に登録されています。

リオマッジョーレ。こんな急斜面によくぞ家を建てたものだと驚くばかりです。Riomaggiore

時間がない時にチンクエテッレの5つの村の中でどれかひとつと言われたら、ヴェルナッツァがお薦め。

駅を降りて、多くのみやげ物屋やレストランが密集する通りを数分歩くと、海辺に出ます。テラス席のレストランがあって、潮風を感じながら、地元であがる新鮮な魚を使った料理などを楽しめます。 varnazza海辺

海辺の高台には、中世の時代、人さらいにやってくるイスラムの海賊の襲来を見張った塔が今も残っています。

☆チンクエテッレへの行き方

フィレンツェやローマからの日帰りツアーに参加してもいいですが、往復にかなりの時間がかかり、チンクエテッレで過ごせる時間はわずかです。

そこでチンクエテッレで泊って、列車や船でまわるのがお薦めです。

崖を縫うように鉄道路線が走っており、列車は、海岸沿いのトンネルをくぐっては顔を出し、再びくぐるを繰り返します。5つの集落それぞれに駅があります。 コルニリアだけは、駅から集落まで徒歩20~25分くらいの登り道または階段になりますが(路線バスあり)、その他の集落は駅の近くです。

最も近いIC(特急)停車駅はチンクエテッレの南にあるラ・スペツィアです。そこからリオマッジョーレまで8分です。ICのなかにはチンクエテッレの村のいくつかに停車するものもあります。

フィレンツェからは、直通またはピサ乗り換えで1時間10分~30分、ローマからは、直通で3時間20分~4時間でラ・スペツィアに到着します。 ミラノからは、直通で約3時間、ジェノバ乗り換えで3時間40分~4時間でラ・スペツィアに着きます。

ラ・スペツィアからチンクエテッレへの船もありますが、便数は少なくリオマッジョーレまで約1時間半かかります。海が荒れたら運休です。

☆チンクエテッレで泊まる

宿泊施設、土産屋、スーパー、レストラン、カフェ、金融機関などが最も整っているモンテロッソがお薦めです。モンテロッソ通り3

駅近くには観光案内所があって、地図、列車や船の時刻表などが無料でもらえます。お得な「チンクエテッレ・カード」も買っておきましょう。チンクエテッレ内の列車が乗り放題、トレッキングコースの入場料、博物館入場料が無料になるなどの特典があります。トレッキングコースの入り口の券売所などでも買えます。

モンテロッソには整備された海水浴場もあって、チンクエテッレのなかでは唯一リゾート地の雰囲気がしますが、いかにも観光地という喧噪はなく、落ち着いた佇まいの美しい街です。 モンテロッソの駅から街に続くビーチは気持ち良く歩けます。モンテロッソ海岸jpg

海岸線の景色を眺めながらのワインが美味しい。
チンクエテッレWine

 

宿泊は高級ホテルから民宿まで20軒くらいあります。

☆鉄道でまわる

朝4時台から夜11時すぎまで運行され、昼間は毎時2,3本です。 ラ・スペツィア→(8分)→リオマッジョーレ→(3分)→マナローラ→(4分)→コルニリア→(4分)→ヴェルナッツァ→(4分)→モンテロッソ というわずかな所要時間ですが、列車遅延が頻発し、なかなか思った通りにはいきません。イタリアですからね。

☆歩いてまわる

チンクエテッレの集落と集落の間には山道を歩きながら移動できる有料のトレッキングコースが複数ありますが、落石の危険ありとのことで閉鎖されていることがあります。

筆者が訪れた時(2014年5月)は、最も歩きやすい「愛の小道」も閉鎖中でした。2019年5月時点でも一部を除いて閉鎖が続いています。愛の小道

訪れる前に、現地観光案内のHPで確認しましょう。

筆者はモンテロッソからヴェルナッツァまでを歩きました。海に面した断崖絶壁や急斜面にひろがるぶどう畑など絶景の連続ですが、アップダウンが激しく、脚力に自慢の筆者でも2時間近くかかりました。ちょっとした登山なので、トレッキング用のシューズを用意したほうがいいです。チンクエテッレ崖の上のブドウ畑

汗びっしょりになったところで、眼下にヴェルナッツァの街が見えてきます 。ヴェルナッツァ全景

☆船でまわる

唯一、海に面していないコルニリア以外は定期船が運行されています。季節によって本数が違います。海が荒れる日は運休です。

☆おしまいに

チンクエテッレを訪れる観光客は増加の一途で、観光客数を規制しようという動きが始まりました。一定の条件でチンクエテッレに向かう道路が閉鎖されるとのことです。観光客の波に飲み込まれないように賢くプランニングする必要があります。

チンクエテッレには日帰する観光客が多いですが、主要都市からの移動時間を考えると、1泊することをお薦めします。

おいしそうなレストランが多数あります。 観光客の去った夕方や早朝の静寂を楽しむのもよし、暗くなってから、村から少し離れたビュースポットから薄明りのきらめく村の風景を眺めるのもロマンチックです。 チンクエテッレにはいろいろな楽しみがあります。

マントヴァ:湖のほとりの世界遺産

マントヴァ(Mantova)は北イタリアのロンバルディア平原の東端に位置するルネッサンスの街です。湖の対岸から見る印象から、「湖に浮かぶ中世の都」と言われています。

街の中心には広場が3つ連なり、その周りに教会、宮殿などの歴史的建造物が建ち並びます。

サンタンドレア教会(Sant’ Andrea)は15世紀のルネッサンス建築。前のマンテーニャ広場がさほど広くないせいか、隣の鐘楼とともに見上げます。Mantovaサンタンドレア教会

内部の巨大な空間はきらびやかではなく、質実剛健という印象です。 sdr

中世の建物の間にクーポラがそびえ立ちます。Mantovaサンタンドレア教会クーポラ

隣のエルベ広場(Piazza delle Erbe)に建つ
ラジョーネ宮(Palazzo della Ragione)と、
ずんぐりした円形のサン・ロレンツォ聖堂(Rotonda San Lorenzo)。Mantovaエルベ広場

サン・ロレンツォ聖堂は11世紀に建てられたロマネスク様式で、内部は中世の教会というより古代遺跡の雰囲気です。Mantovaロトンダ内部

もうひとつの広場、ソルデッロ広場(Piazza Sordello)の先にはドゥオーモ(Duomo)。右側にはドゥカーレ宮殿(Palazzo Ducale)。Mantovaソルデッロ広場

ドゥカーレ宮殿はこの地を支配したゴンザーガ家の居城でした。ヨーロッパ屈指の豪華な宮殿とのことで、内部を見学してまわることができますが、残念ながら筆者の訪れた月曜はクローズでした。

この広場のテラス席で食べたマントヴァ風リゾットが美味しく、赤ワインとベストマッチでした。スープで煮込んだリゾットと違い、パラパラと乾燥したリゾットです。サルシッチャ(生サラミ)が入っていて、仕上げにはおろしたチーズ(パルミジャーノ・レジャーノ)が使われています。Mantovaリゾット

古い歴史的建造物に囲まれたテラス席で地元の名物料理をワインとともに食するのがイタリア観光の最大の醍醐味だと思います。

ドゥカーレ宮殿に隣接してサンジョルジョ城(Castello di San Giorgio)があります。湖に面して、中世には街の防衛拠点だったのでしょう。Mantovaサンジョルジョ城外側

マントヴァを三方から囲む湖のほとりには遊歩道が整備され、地元の人たちがくつろいでいます。最高の散歩道、ランニングコースですね。Mantova湖畔の遊歩道

湖のクルージングもできます。Mantova湖畔の遊覧船

マントヴァは19世紀のオペラ作曲家ヴェルディの代表作リゴレットの舞台でもあります。3つ連なる広場から湖畔に出る途中に、マントヴァの宮廷付の道化師だったとされる「リゴレットの家」があります。15世紀に今日の姿になった建物で、中庭に像があります。Mantovaリゴレット

☆マントヴァへのアクセス

北イタリアの主要都市を結ぶ幹線からはずれているので、距離のわりに時間がかかりますが、ミラノから直通列車があります。所要1時間50分、2時間ごとにあります。

主要都市を移動する途中に立ち寄る場合、駅にはロッカー、荷物預かり所がありませんのでご注意を。筆者は「リゴレットの家」の隣のツーリストインフォメーションに短時間だけ置かせてもらいましたが、いつもOKとは限りません。

マントヴァ駅から、3つ連なる広場のうち駅に最も近いマンテーニャ広場まで約900mです。駅前は車の通りが多く騒々しいですが、しばらく歩くと中世の風情ある街並みが現れます。
マントヴァ小川2

湖から流れ込んで街を横切る小川のほとりに、古い石造りの家屋が建ち並びます。マントヴァは水辺の街なのです。観光都市として有名ではありませんので、静かにじっくり古いイタリアの風情を味わえます。

(訪問日:2017年10月16日)

 

 

 

 

ヨークでイングランドの中世を味わう

ヨークはイギリスで古き良き時代の雰囲気を味わえる街です。

城壁に囲まれたヨークの街並みからは、地元の人たちが大切にしてきた伝統を感じられ、歩いているだけでタイムスリップ感を楽しめます。ロンドンから北へスコットランド方面に向かう途中にあります。

ロンドンからの列車を降りて駅を出ると目の前に城壁。右手にまわりこんで城門のひとつから街に入ると、城門のすぐ側から古い街並みが広がります。York城門

石畳のシャンブルズ(Shambles)通り。両側に木造りのお店が並びます。上層階が通りに突き出ているのが特徴です。
Yorkシャンブルズ通り2

地元ヨークシャー地方の名産だそうです。ポークパイ。通りを歩きながら立ち食いしましたが、美味しい!

Yorkポークパイ

中世のヨークは北ヨーロッパの貿易の中心でした。ギルド商人たちが会合などに使ったマーチャント・アドベンチャラーズ・ホール(Merchant Adventurers’ Hall)

York-Merchant-Adventurers'-Hall-1

往時のヨーク商人たちの息吹が伝わってくるホール。York-Merchant-Adventurers'-Hall-2

ヨークの街の中心はヨーク・ミンスター。でかい! イギリスで最大だそうです。ロンドンのウェストミンスターを上回る大伽藍です。Yorkミンスター2

壮大なカテドラル内部。教会の一角がカフェになっているのはイギリスの特徴です。Yorkミンスター内部

街のはずれにあるクリフォーズ・タワー(Clifford’s Tower)。中世の城の一部でした。Yorkタワー

上からヨークの街の全景を見渡せます。York全景

街を取り巻く城壁は全長4.5キロ。遊歩道になっています。歩きながらヨークの街のさまざまな表情を楽しめます。York城壁遊歩道

城壁上から観るヨーク・ミンスター。York遊歩道からミ眺めるミンスター2

ビールのお好きな方はヨーク・ブリュワリーへ。クラフトビールのテイスティング、醸造所の見学ができます。
Yorkブリュワリ

ヨークへのアクセス

ロンドンから列車で1時間50分~2時間20分。1時間に1,2本あります。マンチェスターからは1時間15~30分。これも1時間に1,2本です。

ロンドンから日帰り旅行もできるのですが、ここはぜひ1泊して、朝夕の静かな街の風情を味わっていただきたいところです。ロンドンからスコットランド方面に向かう列車旅の途中にふらっと立ち寄るのもいいでしょう。

駅には荷物預けもあります。駅舎を出て右手に(街に入る城門の方向へ)100mくらい歩いたところにあります。駅舎とは別棟です。
見どころを駆け足で巡ると所要4時間くらいでしょうか。

(訪問日:2015年8月19日)

 

 

 

 

海外旅行でクラシック音楽を楽しむ

クラシック音楽は日本でも聴けますが、旅先の歴史を感じさせる劇場でオペラを観たり、著名な楽団を本拠地で聴いたりするのは格別です。同じ楽団の来日公演よりチケット代がはるかに安いというのもあります。

日本で最も人気のあるオーケストラ、ウィーンフィルの本拠地は黄金色に輝きます。
Wienムジークフェライン

ヨーロッパには建物としても魅力的な劇場がたくさんあります。パリのオペラ座(ガルニエ)の豪華絢爛な内装には圧倒されます。

ガルニエの内装

オペラの殿堂、ミラノのスカラ座の天井桟敷席では安値で本場のイタリアオペラを楽しめます。最も高価な席の10分の1以下で、1000円台の時もあります。ミラノスカラ座桟敷席

たいていの劇場には、立ち上がらないと舞台全部は見えない安値の席があります。ふだんはクラシック音楽は聴かないけど、せっかく本場に来たんだから、劇場の雰囲気だけでも味わっておきたいという方にはお薦めです。

海外(特にヨーロッパ)では、劇場やコンサートホールに出かけてクラシック音楽を楽しむのが、地元の人たちにとって身近な日常の楽しみとして根付いていることが多いです。訪れた街の日々の営みに触れるのも旅の楽しみのひとつです。

☆劇場やコンサートホールだけではない

ヨーロッパの古い教会、宮殿ではときおりコンサートが催されます。豪華な内部装飾、厳粛な天井の宗教画などを眺めながらクラシック音楽を楽しむのは、旅の忘れがたい思い出になります。

これはイタリア、ベネチアの教会での室内楽コンサート。
ベネチア教会コンサート3

オーストリアのグラーツの宮殿でのコンサートでは、ウェルカムワインがふるまわれました。

Palais Attems内部

詳しくは ⇒こちらへ

☆チケットはどうやって買うか

主催者のHPで買うのが基本です。ほぼすべて英語対応しています。なるべく安く、上手に買う方法をご紹介します。
こちらへ

☆オペラで言葉がわからないでもだいじょうぶか?

最近は字幕が出る劇場が増えました。基本的に劇場がある国(または都市)の公用語が舞台上部のモニター、または、前の席の背面に表示されるのですが、英語が並んで表示されることもあります。
↓これはウィーン国立歌劇場。英語とドイツを選択できます。演目によっては日本語もあります。ウィーン国立歌劇場字幕

2018年に筆者が訪れたモスクワのボリショイ劇場では、ロシア語と並んで英語の字幕も出ました↓ボリショイ劇場の字幕

その場の雰囲気を味わうだけなら、言葉はわからなくてもだいじょうぶですが、ストーリー展開を理解しながら観たい場合は予習していったほうがいいでしょう。

☆ドレスコードは?

海外で音楽を聴くことを敷居高く感じる理由のひとつですが、結論から言うと、ドレスコードはあまり気にしなくていいです。

着飾ってくるのが暗黙の了解になっているところは例外的です。短パン、Tシャツ、汚い服でなければ基本的にOKと言ってよいでしょう。

欧米の劇場は、地元の人たちの社交場になっているところが多く、特にチケット価格が高いエリアほど、女性はドレス、男性は上着着用の比率が高くなる傾向にあります。そのようなエリアの席を買った時は、周囲から浮かないように気を使ったほうがいいでしょう。

夏の気温が高い時期は、無理してネクタイはしないほうがいい。地元の上着着用の男性でもネクタイはしてないことが多いです。

☆夏の音楽祭

ひとつの街、地域で一定期間まとまって音楽イベントが開催されることがあります。6~9月が多く、夏休みに開催都市に長期滞在して、音楽にどっぷり浸るのが、欧米の人たちのちょっと贅沢な楽しみになっています。

モーツァルトの生地、オーストリアのザルツブルクの夏の音楽祭、イタリアのヴェローナの古代円形劇場で野外オペラが上演される音楽祭などが有名です。

ここでは筆者が訪れた音楽祭をいくつかご紹介します。

イタリアのオペラ作曲家ヴェルディを堪能する音楽祭
こちらへブッセート Rocca Pallavicino

 

 

 

 

オーストリアのいなかの教会、宮殿でのんびり音楽に浸る。⇒こちらへOssiach修道院全景

 

 

 

 

ロンドンの夏はプロムス(Proms)。気軽に安価にクラシック音楽。
こちらへRoyalAlbertHall内部

ブルガリア個人旅行ガイド

ブルガリアと言えば日本ではヨーグルトの印象が強いですが、見て、歩いて、食べて、いろいろな魅力のある国です。日本ではあまり知られていないブルガリアの見どころと、個人で旅するコツをご紹介します。

☆ブルガリアはどこにある?

ブルガリアはヨーロッパの東南の端、バルカン半島にあります。トルコとギリシャの北に位置し、東は黒海に面しています。

☆バラの国、ブルガリア

ブルガリア中央部を走るバルカン山脈の南の谷は、バラの産地として有名で、バラの谷と呼ばれています。Kazanlakバラの花

バラ摘みの時期5,6月には、バラの谷ではバラの収穫を祝うバラ祭りが行われます。

その中でも大規模なのは、バラの谷の中心の街、カザンラク(Kazanlak)。郊外ではバラ摘みイベント、街の中心では。バラをたくさん積んだ車や、民族衣装を着た人々のパレードが行われます。Kazanlakばらふぶき

詳しくはこちらへ⇒ブルガリアのバラ祭り

☆ブルガリアの古代遺跡

今のブルガリア人の90%はロシアなどと同じスラブ系ですが、古代以来、様々な民族が往来し、支配体制も変遷してきました。

紀元前に今のブルガリアの地に住んでいたトラキア人が残したフレスコ画がカザンラクに残ります。世界遺産に登録されています。Kazanlakトラキア人

古都プロヴディフに残る古代ローマの劇場跡。 Plovdivローマ劇場

首都ソフィアでは、古代の遺跡が地下鉄工事の際に偶然見つかりました。駅の改札口と遺跡が隣り合ってます。Sofiaセルディカ遺跡

☆東方正教の宗教遺産

中世にはビザンチン帝国の支配下だった時代が長く、今もブルガリア人の宗教の9割は東方正教(ブルガリア正教)です。

ブルガリア1大きいソフィアの「アレクサンダー・ネフスキー寺院」は比較的新しい19世紀の建造です。 Sofiaアレクサンダー・ネフスキー

内部は荘厳な雰囲気で充ちています。Sofiaアレクサンダー・ネフスキー内部

ソフィアの南約65kmの山奥にひっそりたたずむ「リラの僧院」はブルガリアNo1の観光スポット です。Rila僧院

日本で言えば高野山みたいなところです。
修道院の外壁をうめつくすフレスコ画に目を奪われます。Rilaフレスコ画

ソフィアから日帰りで訪れる観光客がほとんどですが、朝夕の静けさの中で、ブルガリアの精神文化をじっくり味わうには、この中の僧院か近くに泊るのもいいでしょう。

リラの僧院については⇒こちらへ

東方正教は同じキリスト教でもカトリックやプロテスタントとはいろいろな点で異なります。ミサをのぞいてみるだけでも、同じ宗教とは思えないくらいです。

教会の内部装飾では、東方教会の特徴はイコンです。イコンはキリスト、聖母、聖者たちを描いた絵画です。

教会内部の正面の祭壇前に置かれ、信者が集う場所と聖職者だけが立ち入れる場所を分け隔てています。ほとんどの教会の内部は撮影禁止なので、プロヴディフの聖コンスタンティン・エレナ教会に併設のギャラリーにあるものをご紹介します。Plovdiv聖コンスタンティン・エレナのイコン

☆イスラムの宗教遺産

ブルガリアはオスマントルコの支配下にあった時代も長かったので、イスラム文化も色濃く残ります。

ソフィアのモスク、バーニャ・バシ・ジャーミア。Sofiaバーニャ・バシ・ジャーミ

☆古い街並みを歩く

ブルガリア第2の街、プロヴディフ(Plovdiv)の旧市街には、19世紀の民族復興期に建てられた邸宅がたくさん残ります。Plovdiv旧市街通り1

その多くはハウスミュージアムとして公開されています。 Plovdiv地域民族博物館

アートギャラリーになっていたり、建築当時の生活ぶりを再現していたりします。Plovdivハウスミュージアム

プロヴディフについては⇒こちらへ

蛇行する川の断崖の上に築かれた要塞都市、ヴェリコ・タルノヴォは12~14世紀の第2次ブルガリア帝国の首都だった街。Velikoツァレヴェッツの丘

崖の斜面にへばりつくように建てられた旧市街の散策を楽しめます。Veliko街

ヴェリコ・タルノヴォについては⇒こちらへ

古い街並みのあちこちが、夜になるとライトアップされて、昼間とは違った風情を見せるのも街歩きの楽しみです。
これはヴェリコ・タルノヴォの大聖堂。Veliko大聖堂夜

☆おいしいブルガリア

「タラトール」:冷製のヨーグルトスープ。きゅうりなどの野菜が入っています。Bulgariaタラトール

「ショプスカ・サラダ」:チーズがかかったサラダ。どこのレストランでもメニューにあります。Bulgariaショプスカサラダ

「カヴァルマ」:豚肉や野菜などを土鍋で煮込んだもの。Bulgariaカヴァルマ

「バルレンカ」:味の付いたパン。主菜の付け合せで、日本のごはんのような食べられ方をする。インドのナンに似ています。Bulgariaパルレンカ

「ケバブチェ」:ブルガリア料理と言うよりバルカン料理。トルコのケバブと同系統で、中世オスマン帝国支配下にあった地域の庶民的な肉料理。
丸いのは「キュフテ」:ブルガリア風のハンバーグで、味はケバブチェとほぼ同じです。Bulgariaケバプチェ&キュフテ

ローズジャムとバラのリキュール。Kazanlakローズジャム

☆安いブルガリア

国内の移動、食事、宿泊など、物価が安いのがブルガリア旅行の魅力のひとつです。いくつか例を挙げます。
(レートは2017年6月)

ソフィアからプロウディフまでバス(144km、所要2時間)が14Lv(≒940円) *ほぼ同じ距離の名古屋-京都のJRバスは2500円

ソフィアの街の中心に位置する3つ星ホテルのシングルルームが65Lv(≒4,200円)

カザンラクのバラ祭りで売られていたローズ石鹸が2Lv(≒130円)

街のスタンドなどで売られているペットボトルの水500mlが30~60円

☆言葉はどうする

首都ソフィアや観光地では英語がよく通じます。レストラン、ショップ、ホテルはまず問題なし。街で道を尋ねても、2人に1人は英語で会話できる人に当たります。心配の種のキリル文字ですが、ほとんどの場合、アルファベット表記も併記されています。

ソフィアの地下鉄の案内標識。Sofia地下鉄表記

プロウディフの修道院の案内。Plovdiv修道院の表示

美術館、博物館の展示品の説明書きも英語併記が多いので助かります。

唯一苦労するのはバスです。バスに表示されている行先も、チケットの印字もキリル文字だけなので、ちょっと苦労します。

これは2017年6月2日17:15ソフィア発プロウディフ行きの6番線から出発するバスのチケットです。買う時に窓口係員が丸で囲って説明してくれたので迷わず乗車できましたが、説明がわかりにくい時は、行先だけでもガイド本のキリル文字と照らし合わせる必要があります。Bulgariaバスチケット

☆お金はどうする

ブルガリアの通貨は「レフ」です。ユーロとの交換比率は政策が変わらない限り固定されています。ホテルなど値段をきくと、ユーロ建てで答えてくれるところも多いです。支払もユーロでできることもあります。

クレジットカードも広く普及しており、国際カードで現金を引き出せるATMも数多くあります。旅行での支払いは西ヨーロッパ諸国と同様と言えます。

☆ブルガリアへのアクセス

ブルガリアと言うとヨーロッパの僻地のような印象はありますが、日本からの直行便が飛んでいる西ヨーロッパ主要都市(パリ、フランクフルト、ロンドンなど)からソフィアへのフライトは1日複数便あり、所要2~3時間ですので、乗継がうまくいけば、片道最短14時間半くらいで行けます。中東(ドーハ、イスタンブール)経由で行くこともできます。

西ヨーロッパからバスや鉄道を乗り継いでも行けますが、長時間かかります。

☆ブルガリアの国内移動

ソフィア⇔ヴァルナ(黒海沿岸のビーチリゾート)にフライトがある以外は鉄道かバスです。同じ区間では鉄道よりバスのほうが所要時間は短く、本数は多い。

バスの乗り心地は路線により便によって異なりますが、最近の日本の高速バスのような快適さは期待できません。マイクロバスみたいなのもあります。

プロヴディフからカザンラクへの所要2時間半のバス。かなり狭苦しかったです。Bulgariaバスの中

日本と違って、長距離移動のための鉄道駅、バスターミナルは街の中心からはずれたところにあります。バスターミナルは行き先によって複数あることもありますので要注意です。

☆ブルガリアのどこを観光するか

筆者の主観で優先順位をつけてみました。

リラの僧院
ヴェリコ・タルノヴォ
プロヴディフ
ソフィア

バラ祭りの時期であれば、カザンラクとその周辺のバラの谷の村々もお薦めです。

筆者が訪れたのは以上ですが、他には、黒海沿岸のビーチリゾート、ピリン山脈のアルペンリゾート、中央部の古い街(コプリフシティツァなど)があります。

ブルガリアの情報は、西ヨーロッパのメジャー観光国に比べるとかなり少ないです。まだ日本のメディアでは紹介されていない穴場があるかもしれません。マニアックではありますが、ネットや歴史書を調べて、”私だけが知っている”街や村を訪ねてみるのもいいでしょう。

では、皆さん、良い旅を!

 

 

ローマ法王の街:ヴィテルボ

ヴィテルボ(Viterbo)はローマの北70kmに位置し、イタリアで中世の雰囲気を最も満喫できる街のひとつです。

ヴィテルボの城壁に囲まれた旧市街には石造りの歴史的な建物がぎっしり。保存状態の良さはイタリア、あるいは、ヨーロッパ全体でも屈指で、タイムスリップ感いっぱいの街歩きが楽しめます。Viterbo地図

☆ローマ法王の街ヴィテルボ

ヴィテルボは「法王の街」と呼ばれています。中世には多くの法王がローマを離れてこの町に移り、法王選出会議(コンクラーベ)もヴィテルボで行われました。

法王の館(Palazzo dei Papi)は13世紀に建てられたゴシック様式。円柱で飾られた回廊が美しい。Viterbo法王の館

法王選出会議が行われた部屋。ガラス越しにのぞかせてもらいました。cof

法王の館の横に建つサン・ロレンツォ大聖堂。16世紀の建築です。この広場が街の中心です。Viterboサン・ロレンツォ大聖堂

☆ヴィテルボの中世を歩く

ヴィテルボ旧市街をぐるっと取り囲む城壁は、ほぼ造られた時の姿をとどめています。石造りの建物が城壁にぴたっとくっついているので、内部から城壁をはっきり見られる場所は限られています。Viterbo城壁

こんな泉が街のあちこちで見られます。Viterbo泉

ヴィテルボの中でも最も中世の雰囲気を満喫できるのがサン・ペッレグリーノ通り(Via San Pellegrino)。Viterboペッレグリーノ通り1

タイムスリップ感満点です。テーマパークみたいですけど、今も人が住んでいる街なのです。時々、洗濯物が干してあるのを見かけます。Viterboペッレグリーノ通り2

通りに面している、と言うか、通りの上にあるアレッサンドリ宮(Palazzo degle Alessandri)。花で飾られた外階段とバルコニーが美しい。Viterboアレッサンドリ宮

サン・ロレンツォ広場と並んで街の中心だったプレビシート広場(Piazza Plebiscito)。13世紀の時計台が見下ろしています。左が15世紀に建てられたプリオーリ宮(Palazzo dei Priori)。Viterboプレビシート広場

プリオーリ宮の奥の中庭からの眺めは、ヴィテルボで一番でしょう。Viterboプリオーリ宮中庭

夜はロマンティックな雰囲気です。 Viterboプリオーリ宮中庭夜

イタリアの他の城塞都市では、城壁の中に建物が密集しているのに対して、ヴィテルボは緑に覆われた谷間が旧市街にあります。プリオーリ宮と法王の館はこの谷間を見下ろす崖の上に建っています。

谷の向こうはサンタマリア・トリニタ教会(Santa Maria della Trinita)。Viterboサンタマリア・トリニタ教会

サンタマリア・トリニタ教会の中庭。宗教画が描かれた回廊が見事です。Viterboサンタマリア・トリニタ教会中庭

☆ヴィテルボへの行き方

ローマから直通列車で最短で1時間40分。ほぼ1時間ごとにあります。テルミニ駅発はわずかで、ほとんどはオスティエンセ駅発です。

ヴィテルボ旧市街には駅は2つあり、いずれも城壁から徒歩数分ですが、ローマからはViterbo Porta Romana 駅のほうが便利です。

バスは列車以上に頻繁にありますが、ローマでの乗り場が辺鄙なところなのでお薦めできません。ヴィテルボの終点のバスターミナルは旧市街から離れていますので、途中の城壁近くで降りましょう。

☆ヴィテルボで泊る

ローマから日帰りできるのですが、城壁内の旧市街に泊ると、薄黄色の電灯の明かりに灯された夜の街歩きも楽しめます。ただ、旧市街にはいくつもホテルはあるのですが、B&B、民宿、アパルトメントなど小規模なものばかりです。

旧市街の中ではホテルの看板がほとんど目立ちません。石造りの建物にひっそりと宿泊施設があります。風情たっぷりなのですが、探すのに一苦労です。Viterbo B&B

イタリアの古い街では、景観の美しさを保つために、ホテルに限らず、商業施設が建ち並ぶ比較的広い通りでも、通りに少しでもはみだすような看板はほとんどありませんが、ヴィテルボでは特に徹底されているように思いました。

(訪問日:2017年10月20/21日)

 

トスカーナの休日:コルトーナ

コルトーナ(Cortona)はイタリア中部、トスカーナ地方の緑の丘の上の古い街。2003年のアメリカ映画「トスカーナの休日」で、主人公のアメリカ人女性が築300年の家を衝動買いするのが、ここコルトーナです。

この地方の中心地フィレンツェは年中、観光客でごったがえしてますが、コルトーナは訪れる人も少なく、のんびりと「トスカーナの休日」を過ごせます。

コルトーナの起源は、古代ローマ以前のエトルリア人の時代まで遡ります。今も中世の建物が数多く残り、タイムスリップ感いっぱいの街歩きが楽しめます。

☆中世のコルトーナを歩く

ヨーロッパの中世の街には、街の中心となる広場が必ずあります。役所、教会、劇場などがあり、レストランやカフェのテラス席でのんびるできるというパタンが多いです。コルトーナではレプッブリカ広場(Piazza della Repubblica)です。Cortonaレプッブリカ広場

その一角をなすコムナーレ宮殿(Palazzo Comunale)は市庁舎(市役所)です。Cortonaコムナーレ宮殿

隣接するシニョレッリ広場(Piazza Luca Signorelli )も、プレトーリオ宮(Palazzo Pretorio)、シニョレッリ劇場(Teatro Signorelli)などに囲まれて、歴史を感じさせる風情です。

プレトーリオ宮の入口には観光案内所、奥にはエトルリア・アカデミー博物館があります。Cortonaシニョレッリ広場

レプッブリカ広場に通じる、街で一番にぎやかな通りには、レストランやさまざまなショップが建ち並びます。入口とショウウィンドウがきれいに飾られているので、左右をきょろきょろ見ながらの散策が楽しいです。Cortona通り

脇道の先には何があるのかな?Cortona脇道

コルトーナは小さな街ですが、平坦なところより坂や階段のほうが多く、地図で見るより、歩いて回るのに時間と体力を使います。

建物の真ん中をくり抜いた階段。くぐった先に何があるのか、気になりますよね。Cortonaトンネル道

2階以上が通りに張り出した中世の建物。教区博物館の横のジェズ通りを下って行ったところにあります。この地方特有の造りとのことですが、ここくらいしか残ってないそうです。Cortona中世の家

細い路地を抜けたら、トスカーナの野原の風景が目の前に広がるのも、コルトーナの魅力です。コルトーナ門からの登り道

☆コルトーナのパノラマスポット

中世の城壁に沿ったサンタ・マルゲリータ通りは、のどかなトスカーナの風景が眺められる散歩道。Cortona平原

遊歩道がせり出しています。Cortona展望遊歩道

☆コルトーナの美術館、博物館

古代ローマ以前の美術品、発掘品を集めたエトルリア・アカデミー博物館の他に、この街出身のルネサンス期の画家、ルカ・シニョレッリの作品を集めた教区博物館(Museo Diocesano del Capitolo)があります。

美術品も魅力的なのですが、筆者には、ここの地下にある、フレスコ画で飾られた教会が見ものでした。Cortona教区博物館地下教会

 ☆コルトナへの行き方

鉄道の最寄駅はカムッチャ・コルトーナ
(Camucia-Cortuna)。
フィレンツェから直通列車で1時間23~30分。2時間に1本くらいの運行です。駅前から丘を登ってコルトーナの城壁そばまでのバスはありますが、列車到着時刻に合わせているわけでもなく使いにくい。歩くと3km近くありますので、タクシーを使うことになります。筆者の場合は相乗りして12€でした。

駅からの道の先に中世の街が近づいてきます。Cortona全景

フィレンツェとコルトーナの間にあるアレッツォ(Arezzo)からのバスもあります。バスはいずれも休日には大幅に本数が減ります。

バスの終点メルカート広場(Piazza Mercato)の横のサンタゴスティーノ門(Porta Sant’Agostino)をくぐって、坂道を登って行くと、街の中心レプッブリカ広場に着きます。

コルトーナはフィレンツェとローマの中間にあり、両都市を移動する途中に立ち寄ることもできます。

(訪問日:2017年10月20日)