ヴェリコ・タルノヴォはブルガリアで最も中世の雰囲気を感じられる街です。12世紀から14世紀にかけてタルノヴォと呼ばれ、強盛を誇った第2次ブルガリア帝国の首都でした。
☆特異な地形の立体的な街
ヴェリコ・タルノヴォは、蛇行して流れるヤントラ川に囲まれた3つの丘から成ります。
ヤントラ川から切り立った崖の斜面にへばりつくように建てられた家並みが印象的です。
街歩きには かなりのアップダウンがありますが、自然と中世の古い街並みがミックスされた中を歩くのは味わい深いものです。
☆ツァレヴェッツの丘の城跡
3つの丘のひとつ、ヤントラ川に囲まれた切り立った崖の上に建てられた、第2次ブルガリア帝国時代の城跡です。
全盛時は丘全体が宮殿だったとのこと。歩いてみると、”兵どもが夢の跡”という感じがします。今、残るのは城壁と頂上に建つ大主教区教会だけ。
内部はブルガリア現代画家によるモダンな装飾で、ふつうの教会とは趣が違います。
ここから起伏に富んだヴェリコ・タルノヴォの街の全景が眺められます。手前が旧市街。奥に広がるのが新市街。
夏の間、この丘全体をライトアップするショーが行われています。所要30分くらいです。
開催日時は不定期ですので、観光案内所のサイトで要確認です。観るだけならツァレヴェッツの丘の入り口近くの広場から楽しめますが、25Lv払うと大聖堂近くのテラスから迫力ある音響付きで座って観られます。25Lvはブルガリアの物価からすると高めで、雨の日、寒い日以外は立って観るだけで十分かと思います。
☆旧市街の中世の街並みを歩く
新市街と旧市街のちょうど間にある「ブルガリアの母広場」が街の中心で、路線バスの多くがここに集まります。
ここからツァレヴェッツの丘までの旧市街は見どころたっぷりです。
職人街サモヴォドスカタ・チャルシャ。チャルシャは市場を意味します。
ヴェリコ・タルノヴォは昔から工芸美術が盛んで、この通りには、陶器、金銀細工、木彫り、透かし彫り、ビーズ細工、伝統菓子、イコンなど、手作りの工芸品を製作する工房が、今も軒を連ねています。
旧市街からツァレヴェッツの丘に行く途中にある大聖堂。昼よりもライトアップされた夜のほうが風情あります。
サラフキナの家。19世紀のお金持ちの邸宅がハウスミュージアムになっています。
☆谷底の教会を訪ね歩く
ツァレヴェッツの丘から下った谷底のアセノフ地区。古くからの教会がいくつも残ります。
☆ヴェリコ・タルノヴォで泊る
ブルガリアではメジャな観光地だけあって、高級ホテルから民宿まで宿泊施設は豊富にあります。ここはぜひ旧市街に泊ることをお薦めします。「ブルガリアの母広場」から東、大聖堂までの間にたくさんあります。
筆者が泊った「Meridian Hotel Bolyarski」はヤントラ川の渓谷を見下ろす崖の斜面に建っており、部屋からは、スヴェタ・ゴラの丘に立つアッセン王のモニュメントとヴェリコ・タルノヴォ美術館を眺められました。
夏休みシーズンではなかったせいか(6月初旬)、4つ星ながら¥5,000弱という安さでした。
☆ヴェリコ・タルノヴォへのアクセス
首都ソフィアからバスが1時間に1,2本、複数会社によって運行されています。所要約3時間。鉄道もありますが、乗り換えが必要で、所要時間も長いのでやめたほうがいいでしょう。
ヴェリコ・タルノヴォのバスターミナル(アフトガーラ)は2つありますが、ソフィアからのバスはブルガリアの母広場から南へ歩いて約15分のアフトガーラ・ユクに発着します。
もうひとつのバスターミナル、アフトガーラ・ザパッドはブルガリアの母広場から西に約3km。路線バスでのアクセスになります。
ソフィアから日帰りで来る人もいますが、ヴェリコ・タルノヴォはソフィア以上に見どころが多いので、1泊以上されることをお薦めします。