ヨーロッパへの旅行計画で総費用の半分以上を占めるかもしれない航空券をどう選択するか? これまで30回近い渡欧経験から、エコノミークラスで短期(3~14日)の期間で観光旅行される方むけのコツをご紹介します。
☆航空券のしくみ
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☆どんな旅行をしたいかを明確にしよう
航空券を選ぶ際の重要なポイントは、
① スケジュール
② 到着地と帰国地
③ 条件
④ 値段
⑤ 乗継便が遅れた場合の代替便の可能性
⑥ 安全性
⑦ 予約、チェックインなどの地上オペレーションの信頼性
⑧ 客室乗務員、機内食
になるでしょう。
航空会社のWebページや旅行会社で、航空券を買う前に必ず明確にしておくべき要件は①②③です。
例えば、
「1月10日から17日までイタリアのフィレンツェとローマに行きたい」
というと、旅行会社が航空会社から最も多額の販売手数料をもらえるエアラインで予約可能な航空券を提案されることがあり、こちらの望む旅行ができない可能性があります。
☆スケジュールを決めよう
まず①ですが、朝出発して当日中に着きたいか、夜行で翌日早い時間に着きたいか、を決めましょう。
旅行に使える期間の余裕が少ない方は、仕事を終えたその日のうちに飛び立って、翌朝なるべく早い時間に着いたほうが、現地滞在時間を長くできるというメリットがあります。夜行便の経由地は2020年1月時点で、フランクフルト(ANA・ルフトハンザ)、パリ(エールフランス)、ロンドン(JAL)、ウィーン(ANA)などの選択肢があります。
一方、出発を慌ただしくしたくない方は、朝、出発してその日のうちに目的地に到着するほうがいいでしょう。出発&到着日の夜に決まった予定(音楽やスポーツイベントに行くなど)がある方は、なるべく早い時間に目的地に到着するエアラインを選ぶ必要があります。
帰りも同様です。なるべく休暇期間を有効に使いたい人は、休暇最終日の夕方帰国、出社する前に自宅で休みたい人は休暇最終日の朝、または、その前日の夜に帰国できるフライトを選びましょう。
☆到着地と帰国地を決めよう
②については、目的地が複数あるならば、行きの到着地と帰りの出発地を別にしたほうが無駄な移動をしないですみます。
例えば、行きはフランクフルト経由でフィレンツェに到着し、イタリア国内を列車やバスで移動しながら観光し、帰りはローマからミュンヘン経由で帰国するということもできます。
到着地と帰国地を別にしたために、航空券の値段が跳ね上がるわけではありません。行も帰りもローマにして、フィレンツェとを往復するのは時間の無駄です。
☆なるべく安く買おう
④については、旅行時期、航空会社、経路、キャンセル・変更の条件などによって航空券の値段は千差万別です。
・夏は冬より高い
・日本⇔ヨーロッパ主要都市の座席数が多いエアラインほど安い
・土日祝日の出発帰国が絡むと高くなる
・経由便か直行便かは値段に関係ない
・キャンセルや変更の制約が緩いほど高い
というのが凡その傾向ですが、旅行日が1日違うだけでも大幅に変動することもありますので、自分でエアラインのWebページに旅程を入力して比較するか、旅行会社に尋ねましょう。
こまめに見ているとキャンペーン価格の掘り出し物に出会えるかもしれません。
さきの旅行会社への依頼内容は、
「1月10日の朝、成田か羽田を出発し、なるべく早い時間にフィレンツェに着く。帰りは16日のなるべく遅い時間にローマを出発して、翌17日中に成田か羽田に帰ってくる航空券で、最も安いのを買いたい。但し、急な仕事で行けなくなった時のために、キャンセル全額チャージはやめてほしい。」
という言い方になります。
☆航空券の条件は必ず確認しよう
予約する前には必ず条件を確認しましょう。最安チケットは「キャンル不可」であることがあります。急な仕事や体調不良で旅行を中止せざるをえない場合も考慮すると、いくらか(¥30,000が多い)払ってキャンセルできる航空券にしておいたほうがいいと思います。
マイレージをためている人は値段見合いで、たくさんたまる条件の航空券を買ったほうがいいでしょう。
☆帰国便が遅れた時の対策も考えよう
⑤は、休暇の最終日に帰国する予定を組む人で、もし予定通りに帰国できないと困る人が気にする必要があります。
例えば、フィンランド航空で、ローマ→ヘルシンキ→成田 という帰りの旅程を組んでいる場合に、もし、ローマ→ヘルシンキが遅れて、ヘルシンキ→成田への乗り継ぎに間に合わなくなったらどうするかの対策を考えておくということです。
この例では、ヘルシンキ→成田はコードシェア含めて1日2便ありますが、ほぼ同時刻の出発時刻なので、間に合わない場合は翌日の同フライトにされてしまいます。
そうなると、翌朝、成田に着いてから、会社に「休暇の帰国のフライトが遅れたので、出勤が遅れます」という電話をしなければならなくなります。この旅程ではリスクヘッジ不可能ということです。これで職場内の立場が危うくなる方は要注意です。
一方、エールフランスで、ローマ→パリ→成田 という旅程の場合、ローマ→パリが遅れて、パリ→成田に乗り継げなくなった場合は、同日の遅い時間にコードシェアのJAL便、さらに後に羽田行きもありますので、空きがあれば、到着時間は遅れるものの予定通りの日に帰国できます。 これはローマ→パリ→成田が一本の予約で組まれていることが前提です。
ヨーロッパ域内のフライトは日本からのフライトで選択した航空会社ではなく、子会社・関連会社が運行していることが多く、さらにLCCであることもありますので、遅れる可能性は日本との往復フライトより高いと思っておいてください。
帰国便のトランジット時間があまりに短い旅程も避けたほうがいいです。空港によっては、同じ航空会社、同じアライアンスでも、相当な距離を歩かされます。
ローマ→パリ→成田の例では出国審査はローマではなくパリで受けます。最近、ヨーロッパ諸国は不法移民対策に神経をとがらせていますので、出国審査に長蛇の列ということもあります。乗継便が遅れると、乗継空港でダッシュしなければならなかったり、帰国便に間に合わなく可能性もあります。
最近、費用を抑えるためにLCCを利用する方が増えてますが、要注意です。
例えば、さきほどの例(ローマ→パリ→成田で帰国する場合)で、ローマ→パリを安くあげるためにLCCを使っていたとしましょう。LCCは機材の稼働率を上げるために多頻度のフライトをしてますので、ひとつの遅れが後に影響することが多くなります。ローマ→パリが遅れて、パリ→成田に間に合わなくなった場合、パリ→成田のチケットは無効になり、買い直さなければならなくなります。(値段の高いブッキングクラスの場合は後のフライトに振り替えてもらえますが) 片道とはいえ、ノーマルかそれに近い値段になります。
パリ⇔成田往復を11万円で買ったのに、帰国便に乗り遅れたがために、20万円以上の帰国チケットを買うはめになるということです。気をつけましょう。
☆その他
⑥はぶっちゃけ気にしていても仕方ないですが、テロに巻き込まれないか心配で心配でたまらないという方は、国際紛争に関与している国のエアラインは避けたほうがいいです。
⑦は、最近はどこのエアラインでもしっかりしてますが、エアラインから直接購入する場合は、日本国内のコールセンターの受付時間をチェックしておいたほうがいいです。夕方5時をすぎたら本国にかけないとつながらないようなのは困ります。
⑧はこだわりのある方以外は気にしなくていいです。
以上いかがでしたでしょうか。多くの人にとって、ヨーロッパを旅行できるのは貴重な機会です。こちらの都合に合った時間に出発・帰国できるよう、乗継地でムダなトランジットの時間を過ごさなくていいように航空券は正しく選びたいものです。