ブルガリア正教の総本山、
リラの僧院(Rila Monastery)は
首都ソフィアから南へ約65kmの山奥にひっそりたたずんでいます。うっそうとした森林の曲がりくねった道の先に突然現れる不思議な世界です。
4階建ての外陣に囲まれた敷地の真ん中に建つのが「聖母誕生教会」。
アーチをくぐると外壁の壁面と天井は極彩色のフレスコ画でいっぱいです。
教会内は上下左右、宗教画に囲まれた荘厳な世界です。東方正教会の教会の常で、正面にはイコノスタス。イコン(キリスト、聖母、聖者たちを描いた絵画)が埋め込まれた壁です。ここのイコノスタスは黄金に輝いています。
内部は撮影禁止なので、外から望遠で撮りました。
リラの僧院の建物は19世紀に火災で焼失し再建されたものですが、唯一、焼失を免れたのが「フレリョの塔」で、1階がみやげ物屋になっています。
敷地を取り巻く外陣にはたくさんの部屋があります。多くには修道士が住んでいて入れません。ここまで来る観光客は少ないのでひっそりしています。
リラの僧院に入るのはタダですが、ここだけは有料です。
☆リラの僧院への行き方
ブルガリアの首都ソフィアからリラの僧院への直通バスは1日1往復、発着時刻はときどき変わります。所要3時間でリラの僧院には1時間半~2時間滞在できます。
僧院近くのリラ村までは、ブラゴエフグラッドなどからバスがたくさんありますが、村から僧院までは1日数本のみです。
つまり、公共交通機関を使ってリラの僧院に行くのはかなり不便です。そこで、ソフィアの旅行会社が主催するツアーで行くのが便利ですが、現地の物価からするとかなり高めの料金設定です。行って帰るだけでも50€以上、少人数だとさらに高い。食事付になると100€以上になります。
ツアーを選ぶ際には、リラの僧院での滞在時間を確認しましょう。往復5時間かかり、行きの道路事情などで到着が遅れることもありますので、食事時間を除いて最低でも2時間は確保したいところです。
敷地の中は多くの観光客で賑わいます。静かな祈りの世界を期待して行くとがっかりしますが、ブルガリア随一の観光スポットですから仕方ありません。
☆リラの僧院で泊る
僧院の宿坊で泊れます。リラ村から僧院までの道すがらにも数軒の宿泊施設が点在します。観光客が去って、修道士だけが残る静寂の中で祈りの世界を味わえます。
☆お食事処
駐車場近くにレストランが2軒あります。ソフィアからのツアーは似たような時間に着いて出発するので混み合います。飲み物だけなら敷地の中でも売っているところがあります。
滞在時間が短い場合は、軽食を持参することをお薦めします。
☆ご注意
リラの僧院は観光地である前に祈りの世界ですから、着るものには気をつけてください。
リラの僧院はブルガリアの精神文化の故郷とも言える重要なところです。オスマン帝国支配下にあった長い時期にも、山奥のここだけは、キリスト教の宗教活動が黙認されていました。1983年にはユネスコの世界遺産に登録されました。
アクセスは不便ですが訪れる価値は十分です。