海外旅行で美術館めぐり

美術館、博物館でアートを観るのは海外旅行の楽しみのひとつ。

日本の美術館の期間限定「XXXXX展」での人ゴミにうんざりした経験のある方もいらっしゃるかもしれませんが、海外の美術館は基本的にすいています。Tate Britain

ここでは、ヨーロッパ、アメリカへの海外旅行で、美術館めぐりを楽しむコツをご紹介します。

☆海外旅行に出発する前のチェック

ガイド本には、オープン・クローズ時間、休館日が載っていますが、どこの美術館も臨時にクローズされることがありますので、どうしても行きたい場合は、美術館のHPで事前にチェックしましょう。

2015年8月に筆者が訪れたロンドンのナショナルギャラリーは、3分の1の展示室が閉まっていて、がっかりしました。 National Gallery

海外旅行先の最新情報を一覧できるサイトも使えます。
こちらへ

☆いつ行くか

海外の美術館はすいていると言っても、有名美術館の有名作品の前は人だかりですので、少しでもすいている時間に鑑賞したいものです。National Gallery人だかり

まずはクローズ直前。どの美術館もクローズ前の30分か1時間前に入場を閉め切りますが、その後は館内の客はどんどん減っていきます。小さい美術館、または、自分が鑑賞したい作品が少ない場合はここが狙い目です。

観光都市の大規模な美術館では、オープン前に並ぶのもいいでしょう。他の観光スポットに観光客が分散されますし、欧米の観光客の朝のスタート時間は遅いというのもあります。

オープン10分前のヴェネツィア、アカデミア美術館。待っているのは2人だけでした。(2014年9月の平日)アカデミア美術館

但し、その街のメイン観光スポットとなっている一部の美術館は、アート愛好者だけでなく観光客も多数訪れるので、すいている時間をガイド本、現地観光情報で調べて、入場の列が少ない時間を選ぶ必要があります。

筆者は2018年夏の観光シーズンにサンクトペテルブルク(ロシア)のエルミタージュ美術館に開館時間に着いたら2時間待ちの長蛇の列でした。エルミタージュ美術館の行列

このようなところは例外的ですが、事前予約ができる美術館、博物館は予約することで、指定された時刻に並ばずに入れることもあります。

☆入場無料の時間帯もある

どこも値上がりしつつある美術館の入場料金ですが、タダになることもあります。ガイド本、HPを要チェックです。

例えば、スペイン、マドリッドのプラド美術館の入場料は15€(2018年2月時点で約2,000円)ですが、月曜~土曜 18:00~20:00、日曜・祝日 17:00~19:00は常設展に限り入場無料になります。当然ながら混みますが。

☆予約が必要な場合

ガイド本やHPに予約できる旨の記載がある場合、予約したほうがいいです。最近はほぼすべてネットで完結します。予約せずに行くと、長蛇の列に並ばされることが多く、時間を浪費してしまいます。

これはローマのボルゲーゼ美術館のHP。Borghese予約

イタリア、ミラノで超人気の「最後の晩餐」のように、予約なしでは、予約客のキャンセルがあった時しか入れないところもあります。

☆個人で自由に観るか、ガイド付きか

自分のペースで観てまわりたい場合、美術館が用意している説明書付マップ、または、オーディオガイドが役に立ちます。大きな美術館では日本語もあります。追加料金を払う場合と入場料金に込みの場合とがあります。

さらに詳しい説明を読みながら鑑賞したい方は、先に売店に寄ってガイドブックを買ってから鑑賞するというのもいいでしょう。オルセーガイド本

団体行動がお好きな方は、現地の旅行会社が主催するガイド付ツアーに入って見学することもできます。有名美術館がある街では、日本の旅行会社が日本語ガイド付ツアーを催行することもあります。入場料込のツアー代金を払うことが多いです。

但し、ガイドが説明してくれるのは一部の作品だけで、他に自分の気に入った作品に出会えても、ガイドが先に行ってしまうのでついて行くしかありません。館内全部をまわってくれないこともあります。

美術館、博物館がガイド付ツアーを催行していることもあります。たいていの場合、集合解散場所は館内なので、ガイドが説明してくれなかった作品を、ツアー後、自分で再度観に行くことはできます。

筆者はツアーに入っていない時に、団体客の近くにしれっと立って、ガイドの説明を横耳で聞くことがありますが、とがめられたことは一度もありません。自分のペースを守りたい時にはこういうのもありでしょう。

☆所要時間の見積もり

展示点数にもよりますが、解説書を読みながらか、あるいは、オーディオガイドを聴きながらじっくり観て回りたいかが大きいです。ガイド本の「見学には最低X時間必要」という記載は無視しましょう。自分がどれだけじっくり鑑賞したいかです。

☆持ち物

ロッカーやクロークに荷物を預けることはできますが、なるべく軽装で行きましょう。カバン類、飲食物は基本的に持ち込みできません。入場の際に、テロ対策でボディチェックされることもあります。

☆服装は

ドレスコードのある美術館は皆無と言ってよいでしょう。汚れていたり、埃が付着していない服装であれば、相当ラフでもOKです。

☆写真を撮っていいか

最近は写真撮影OKの美術館が増えています。禁止の表示がないかぎりは、カメラのフラッシュをオフにして使いましょう。

☆エチケット

展示物に近づきすぎないことはもちろんですが、海外の美術館でよく見かけるのは、いかにもお上りさんという様子の団体客が、名画をバックに記念撮影しているところです。他の客に迷惑なのでやめましょう。

☆避けたいもの

平日だけですが、よく小中学生たちの社会見学に出くわすことがあります。展示室が占拠されることもあり、騒ぐ子もいます。

そんな時は、予定していた鑑賞順序を崩しても、他の展示室を先にしましょう。

こういう団体は、長時間かけて美術館全部を観て回るより、お目当ての作品数点を先生の解説を聞きながら見学したら立ち去ることが多いです。

☆アート鑑賞は美術館・博物館だけでない

ヨーロッパではその国、その土地に昔から伝わるアート作品は美術館だけにあるわけではありません。

例えば、ドイツ、ミュンヘンのレジデンツ宮殿は、建築物として楽しむだけでなく、その豪華な内装とともに、掲げられている絵画類も魅力的です。Munchen Residenz

古い貴族や商人の邸宅にさまざまな作品が飾られたハウスミュージアムも各地にあります。「・・・・・美術館」という表示がなく、「・・・・邸」とか「・・・・・の家」といった表示ですので、美術館巡りでは見逃してしまいがちですが、当時にタイムスリップして、プチ貴族気分を味わいながらのアート鑑賞も魅力的です。

これはブルガリア、プロウディフの19世紀の商人宅を美術館にしたもの。Plovdivハウスミュージアム

無料で入れる教会の装飾画は、引っ剥がして美術館に展示することはできませんので、描かれたその場所で、昔から地元の人たちが観てきたままを鑑賞できます。

☆あなただけのアートを!

誰もが知っている有名作品は一度は観てみたいものですが、それだけがアート鑑賞でもありません。

ヨーロッパの文化の裾野は広く、小さないなか町にも美術館はあって、地元のアーティストの作品を中心に展示しています。

あなただけのお気に入りの美術館、アート作品を海外旅行で探してみていかがでしょうか。