海外旅行に行く飛行機で「当機はXXX航空とのコードシェア便として運行されています」というアナウンスを聞いたことがありませんか。
空港の発着の電光掲示板で、行き先や出発時間が同じなのに、複数の便名が表示されているのを見て、不思議に思ったことはありませんか。
ここでは、最近増えているコードシェア便とは何なのか、そして、海外旅行でコードシェア便に乗る時の注意点をご紹介します。
☆コードシェアとは
コードシェアは共同運航とも呼ばれ、一つのフライトを複数の航空会社で運航することです。
共同での運航とされてはいますが、実際には、一つの航空会社が運航を行い、その他の航空会社はチケットの販売のみを行うのが一般的です。
これは成田空港のWeb版の発着案内ですが、12:20発のマドリード行きの便名が3つ表示されています。
イベリア航空、JAL、ラタム航空の3社のコードシェア便ということで、表示の最上位の航空会社が運行を担当しています。
つまり、JALでこのフライトのチケットを買った人も、イベリア航空のパイロットが操縦し、イベリア航空の客室乗務員のサービスを受けるということです。
「運行会社Iberia」となってますよね。
これを見落として、チケットを買って搭乗すると、「JALなのになんで客室乗務員がスペイン人ばっかりなの?」と思うことになります。
☆コードシェア便が増えるのはなぜ?
航空会社の内情になりますが、簡単に言うと、航空会社にメリットがあるからです。
航空会社が就航していない海外都市に新規路線を開設するには、そこにオフィスを設けて人を雇うなどのコストがかかります。しかし、その都市に就航している航空会社とコードシェアすれば、その航空会社が運行や空港でのチェックインなどの地上業務も行ってくれるため、コストをあまりかけずに就航先を増やすことができます。
最もよくあるのがこんなパタンです。JALでチェコのプラハへ行く場合のWeb予約ページです。
JALはプラハへは就航していませんが、ロンドンまでは就航しています。羽田からロンドンまでは自社のJL041で、ロンドンでBAとのコードシェア便JL6541に乗り継いでプラハに到着するフライトです。JALはプラハ行のフライトが頻発しているBAとコードシェアすることにより、自社の顧客がプラハまでJAL便で行けるようにしているのです。
販売面でも一つのフライトを一社で販売するより、複数社がコードシェアして、各社の販売チャネルを活用して集客するほうが互いに効率がよくなります。
☆利用者にとってのコードシェアのメリット
まず第一に、自国の航空会社で予約して、より多くの都市にフライトできるということです。ヨーロッパの場合、パリ、ロンドン、フランクフルトなどJALやANAが就航している都市だけでなく、これらの都市でそこを本拠とする航空会社のコードシェア便に乗り継いで、他の都市に行くことができます。
上記のプラハ行の場合、ロンドンからプラハまでのコードシェアがなかったとしたら、ロンドンからプラハまでを別途予約しなければならず、羽田で預けた荷物をロンドンで受け取って、再度、預け直さなければならない手間もかかってしまいます。
第二に、マイルの積算ができます。他社の運航便に乗っても、チケットを購入した航空会社のマイルがたまります。但し、積算率は自社運航便より低いことがあります。
上記の例で言えば、成田からマドリードへのイベリア航空便でも、ロンドンからプラハに飛ぶBA便でも、JALのマイルがたまるということです。
☆ご注意1:チェックイン
どこの航空会社で予約していようと、海外でコードシェア便にチェックインする時には、そのフライトを運航している航空会社で行うのが原則です。
日本国内でチェックインする場合は、運行を担当する航空会社がJALやANAに地上業務を委託していることが多く、JALやANAでチェックインすることになります。
始めに例でお見せしたマドリード行のコードシェア便の場合、成田空港でこのフライトにチェックインする時には、JALのカウンタで行いますが、帰りのフライトも同じコードシェア便であれば、マドリッドの空港ではイベリア航空のカウンタでチェックインすることになります。
チケット購入時に購入した航空会社(この場合はJAL)から案内されます。これを見落としていると、マドリッドの空港でJALのカウンタを探してもみつからないで困ってしまうことになります。
コードシェア便を予約する時には、どの航空会社のカウンタでチェックインするのか必ず確認しましょう。
☆ご注意2:座席指定
最近、ネットでチェックインや座席指定ができることが多くなっていますが、他社が運行するコードシェア便の座席指定はできないことがあります。空港でチェックインする時に座席指定することになります。
☆ご注意3:荷物のサイズ・重量制限
予約した航空会社ではなく、運行する航空会社の規定に従うことになります。
☆ご注意4:コードシェアの他社運行便でのトラブル対応
頻繁に起きないと思いますが、チケットを買った航空会社で搭乗OKとなっていても、オーバーブッキングなどの事情で、乗継先で他社運行のコードシェア便に乗れないこともあります。
この場合、チケットを買った航空会社は現地でトラブル対応してくれないことがあります。そうなると、自分でそのフライトを運行している会社と交渉してトラブル対応することになります。
筆者は2019年11月、カタール航空でモロッコに行きましたが、カタール航空から搭乗券をもらっていたにもかかわらず、モロッコで乗り継ぎ便に搭乗を拒否されてしまいました。
帰国後、カタール航空にクレームを入れたところ、「乗れなかったフライトはカタール航空ではなく、他社(モロッコ航空)が運行しているので、文句があったらそっちに言ってくれ」と回答されました。
自社で販売しておきながら、コードシェア便で起きるトラブルには責任を持たないという航空会社もありますから、ご注意ください。
☆コードシェア便を賢く使おう
同じ日に同じコードシェア便の予約をしても値段が異なることがあります。
上記の例で言えば、成田からマドリードまでのコードシェア便のチケットをJALで買うのと、イベリア航空で買うのとで、値段が異なるということです。同じカウンタでチェックインし、機内食などの同じサービスを受けるコードシェア便でも、どこで買うかによって値段に差が出るということです。
また、コードシェアの一方の航空会社で満席でも、もう片方の航空会社で買えることもあります。
航空券を買う時にコードシェア便が選択肢に出てきたら、そのコードシェア先の航空会社で売っている値段も見たほうがいいでしょう。
コードシェア便は、ひとつの航空会社の予約で行ける先を増やしているのですが、私たち利用者にとって、より安く航空券を買える選択肢も与えてくれているのです。
コードシェア便を賢く使って、安く快適に旅しましょう。
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