ルーマニアのいなか、トランシルバニア地方を旅してきました。低い緑の丘が連なるのどかな地方で、地理的に南のルーマニアの中心地より、西のハンガリー、その向こうのドイツとのつながりが強く、古くからいろんな文化が混ざり合った街が点在しています。
☆トランシルバニアの位置
出典:GoogleMap
首都ブカレストがあるワラキア平原とは険しいカルパチア山脈で隔てられ、西に国境を接するハンガリーに向かって開けています。
ローマ時代には今のルーマニア人たちの先祖の人たちが住んでいましたが、ローマ帝国崩壊後、9世紀にはハンガリー人、12世紀にはドイツ人たちが移住してきて、城壁に囲まれた街を建設しました。
筆者は2019年5月、これらのうちの2つの街に滞在するとともに、まわりの豊かな自然を味わってきました。
☆ブラショフ(Brasov)
ブラショフはトランシルバニアを代表する古都です。ブカレストから電車で行くと、険しい山脈を越えてすぐのところに、緑の山々に抱かれるようにしてブラショフがあります。
ブラショフは12世紀にドイツ人たちが築いた街です。街を歩いているとドイツの香りがします。
ブラショフを三方から取り囲む山々は街のすぐ側まで迫っていますので、多くの通りの先には緑の山並みが顔を出します。赤褐色系の色合いの建物とのコントラストが鮮やかです。
大通りの先に、ブラショフ第一の観光名所、黒の教会が鎮座しています。高台から見下ろすとかなり巨大です。トランシルバニア地方で最大のゴシック建築です。
ブラショフ一の繁華街、レプブリチ通りは両側のドイツ風の建物に様々なお店が入る歩行者天国です。筆者が訪れた土曜午後は、買い物を楽しむ地元の人たちでにぎわっていました。
レプブリチ通りの先がブラショフの中心、スファトゥルイ広場。カフェやレストランのオープンテラス席が気持ちいい。黒の教会の端がこの広場に面し、反対側にある旧市庁舎は博物館になっています。
ブラショフで泊るのは、このスファトゥルイ広場から徒歩圏がお薦めです。広場に面したホテルも数軒あります。
ドイツ人たちがブラショフに移住してくると、もともと住んでいたルーマニア人たちは街の端っこの追いやられました。このスケイ門は両民族の居住地の境にあります。
ルーマニア人たちの宗教はルーマニア正教で、ルーマニア人居住区に聖ニコラエ教会が建っています。
街のど真ん中にあるドイツ風のどっしりした黒の教会とは外観も内部の造りも全然違います。 同じキリスト教でもカトリックと正教は別物です。
ブラショフは建設されて以来、オスマントルコ、ハプスブルクなどの外部から侵入する敵に何度も脅かされてきました。今も街を囲む城壁の一部が残っています。
ブラショフの街を一望できる展望台が街の北西と南東にひとつづつあります。
南東のトゥンバ山の展望台にはロープーウェイで登れます。旧市庁舎とスファトゥルイ広場を中心とした街並みの向こうに、もうひとつの展望台である白い塔が見えています。
このブラショフを起点に周囲の豊かな自然の中に点在するお城や教会を巡るのがトランシルバニア旅の楽しみです。筆者は一番メジャーなドラキュラの城を訪れました。
☆ドラキュラの城
吸血鬼ドラキュラの居城のモデルになったブラン(Bran)城はブラショフから約30Kmにあります。
下から見上げると寒々とした印象です。血を吸われることはないにしても、プチ怖い体験ができそうな感じがしたのですが・・・・・
今のブラン城はトランシルバニア地方随一の観光地で、チケットを買ってから入場できるまで1時間近くの行列でした。現地のガイドさんによると、夏の観光シーズンには2時間待ちもざらとのこと。
もう少し不気味な雰囲気を期待して来たのですが、場内もけっこう混んでいました。
吸血鬼ドラキュラのモデルになったヴラド・ツェペシュの肖像もありました。
このブラン城を築いたのはドラキュラ公の祖父とのこと。
☆ブラン城への行き方
ブラショフの街の中心からバスで2kmほど行ったところにあるバスターミナルからブラン城行きのバスが1時間に1~2本出ています。
しかし、筆者が訪れたのは祝日で完全運休でしたので、ブラショフで日本人(Samurai Travel、奥様は地元の方)が経営している旅行会社のミニバンで連れていってもらいました。ブラショフの旅行会社の多くがブラン城行のツアーを催行しています。
路線バスで行かれる方は、祝日でなくても通常の土日も運行本数は減りますので要注意です。
☆ブラショフへの行き方
ルーマニアの首都ブカレストから電車やバスが頻発しています。電車はブカレスト・ノルド駅から最短で2時間半。
オーストリアの首都ウィーンからも直通列車があります。長時間かかりますが、シギショアラなどのトランシルバニアの街に途中下車しながら旅するのも一興かと思います。
☆シギショアラ(Sighisoara)
筆者が訪れたもうひとつの魅力的な街がシギショアラ。
城壁がほぼ残り、その内側に中世の建物がぎっしりコンパクトに詰まっています。詳しくは⇒こちらへ
トランシルバニアはのどかな自然の中に中世の街がたたずみます。行くには不便なところですが訪ねる価値は十分です。筆者は3日間の滞在でしたが、将来もっと時間をかけてじっくり旅してみたいと思いました。
ルーマニア全体の旅ガイドは⇒こちらへ
では、皆さん、良い旅を!