国際線航空券のしくみ

国際線航空券のしくみは、他の交通機関に比べて複雑です。ここでは、ご自分で海外旅行のフライトを手配する方のために、国際線航空券のしくみとお得な買い方をご紹介します。

コロナ禍が一息ついて、ほぼ制約なしに海外旅行に行けるようになりましたが、国をまたぐ人の往来はまだコロナ禍前には戻っておらず、便数が減少したままのため、国際線航空券の値段は高いので、少しでも安くしたいですよね。

1. ブッキングクラス

国際線航空券の種類と言うと、エコノミークラス、ビジネスクラス・・・・が思い浮かぶでしょう。でも、これだけではないのです。

同じクラスの中にも、運賃の異なるたくさんの種類(=ブッキングクラス)があります。航空会社は個別にブッキングクラスを設けていて、国際線航空券を航空会社のHPで買う時にその一部を見ることができます。ブッキングクラス説明10

例:トルコ航空の予約コンファメーション画面

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エコノミークラスであれば、同じピッチのシートに座り、同じ機内食を食べ、客室乗務員の態度も変わるわけではありませんが、ブッキングクラスによって、変更取消の条件、マイレージ加算、乗り換え時の一時滞在などの条件が異なります。

例:ルフトハンザ航空の予約サイトブッキングクラス説明15

値段も大きく異なります。同じ旅程でエコノミークラスに座っていても、隣の席の人が自分の3倍4倍の料金を払っているということもあります。

航空会社は数多くあるブッキングクラスを、様々な販売チャネルで売り分けています。

2. どこで買っても値段は変わらない

国際線航空券を買う場所は、
①航空会社のサイト
②旅行会社の店頭、Webページ
③旅行予約サイト
ですが、現在では、基本的に同じ日、同じ便の、同じブッキングクラスなら、基本的にどこで買っても値段は変わりません

旅行会社で買う場合、手数料が上乗せされますから、航空会社から直接買うより高くなります。

3. 昔の格安航空券はなくなった

個人向けの運賃が団体割引運賃よりはるかに高く設定されていた時代に、旅行会社が航空会社から買い取った安い団体チケットを個人にバラ売りしていたのが「格安航空券」と呼ばれていました。

しかし、1990年代から、航空会社が自ら個人向けに安い航空券を販売するようになり、団体向けと個人向けの価格差がなくなると、旅行会社が団体チケットをバラ売りする意味はなくなっていきました。

今でも格安航空券があると誤解して、旅行会社に国際線航空券を買いに行かれる方が多いですが、旅行会社が「格安航空券あります」と言って売っているは、ほとんどの場合、航空会社からの委託されて売っているもので、航空会社から直接買えるチケットと同じです。

航空会社が特定の旅行会社と組んで販売キャンペーンをやる場合を除いて、特定の旅行会社でしか買えない国際線航空券はありません。

4. 旅行会社で国際線航空券を買うメリット

手数料を上乗せされて値段が高くなっても、旅行会社で国際線航空券を買うメリットは少しだけあります。

第一に、店頭で丁寧な説明を受けられる。個人手配に慣れていない方にはありがたいですね。

第二に、航空会社のサイトでは買えないブッキングクラスの航空券を買えることがあります。航空会社のサイトで表示されるブッキングクラスは全体の一部ですが、旅行会社の端末では、もっと多くのブッキングクラスが表示されるので、旅行者にとっての選択肢が広がります。

例:フィンエアの予約画面
成田⇔ヘルシンキを買おうとしたら、行きの5/26はフライトの選択肢が2つ表示され、そのうちのひとつAY074便は3つのブッキングクラスが自社サイトで購入できるようになっているということです。

ブッキングクラス説明16

旅行中にフライトがキャンセルになったなどのトラブルがあった時に、旅行会社にサポートしてもらえると思っている方がいますが、これは誤解です。実際は、国際線航空券の手配を旅行会社が行う場合、「トラブルがあっても、手配した旅行会社はサポートしない」が基本です。

もっとも、日本の旅行会社は契約範囲外でもサービスしてくれることはありますので、サポートを期待する方は、手配を依頼する時にはっきり確認しましょう。トラブルになった時の現地の連絡先と、どのようなサポートを受けられるのかを教えてもらうのです。

5.価格比較サイトの使い方

スカイスキャナーなど、複数の旅行会社の国際線航空券の値段を比較できるサイトがいくつかありますが、あくまで、検索時点で買える最安値の比較です。

同じブッキングクラスを比較しているのではありません。どんな条件の航空券かは、販売している会社のサイトで確認する必要があります。

比較サイトについているリンク先の旅行会社で詐欺にあったという話をきいたことがあります。旅行会社で国際線航空券を買う場合は、信頼できる旅行会社を選びましょう。

6. 国際線航空券を買う時の注意事項

値段だけでなく、個人の事情に応じて、以下を確認しましょう。

☆キャンセル可否
安いクラスではキャンセルしても払い戻しがありません。
急な仕事などで旅行を急遽中止する可能性がある場合は、
多少、高くなっても上位のブッキングクラスを買ったほうがいいでしょう。

☆旅程の変更可否
旅行途中で帰国を早めたくなっても、安いクラスではできません。

☆予約後、いつまでに支払、発券しなければならないか
期限を過ぎると自動キャンセルになります。

☆マイレージの加算条件
安いクラスでは、加算%が低い。マイルをためている人は要チェック。

☆事前に座席指定ができるか

☆オーバーブッキングではじき出されるリスク
混み合っているフライトで乗れなくなる可能性は安いクラスほど高い。休暇最終日に混み合う路線で帰国する場合などは、
多少高くても、上位のブッキングクラスにしたほうが安心です。

☆コードシェア便(共同運航便)について
こちらへ

7. 最適な国際線航空券を買うには

航空会社のHPで買う場合、表示がわかりにくいことがあります。そんな時はコールセンターに電話して確かめましょう。表示されたブッキングクラスが気に入らない場合、コールセンターに問い合わせれば、別のブッキングクラスが予約可能なこともあります。

コールセンターで予約すると手数料を取られることがありますが、やり方を教えてもらって、ネット予約すると手数料はゼロです。ネットで表示されていないブッキングクラスを買う場合に手数料ゼロにしてくれる航空会社もあります。

旅行会社で買う場合は、「MM月DD日、XXXX行き」と言うだけでなく、航空券の条件も伝えたうえで、空席を探してもらいましょう。

旅行会社ごとに航空会社から手数料率などの条件が設定されています。したがって、旅行会社が売りたい、つまり、販売の粗利が高いブッキングクラスはありますが、私たち旅行者にとってそれが最適とは限りませんので、私たちの望む条件をはっきりと伝える必要があるのです。
・XX月YY日
・何時頃(昼、夜)出発して
・どこ(都市名)に何時頃到着したい
・直行便に限る/乗継があってもよい
・ペナルティを払ってもキャンセル、変更ができるようにしておきたい
・マイルはフル加算したい

などです。

ご参考に航空業界のニュースサイトです ⇒こちらへ

この記事が皆様の安価で楽しい海外旅行のためにお役に立つことを切に願っております。