ジュゼッペ・ヴェルディ(Giuseppe Verdi)は、「アイーダ」「椿姫」「オテロ」などのオペラなどで知られる、19世紀イタリアの大作曲家です。
このヴェルディを記念する音楽祭が、生地の村近くのブッセート(Busseto)とパルマ(Parma)で、毎年9月下旬から10月中旬にかけて開かれ、ヴェルディの作品が数多く上演されます。
この時期のイタリアは、暑くもなく寒くもない快適な気候で、美味しい料理、ワインとともに、ゴージャスな劇場で極上のヴェルディ音楽が楽しめます。
☆ヴェルディ音楽祭の中心、パルマ
最も多くの演目が上演されるのが、パルマのテアトロ・レッジョ(Teatro Reggio)です。
イタリアではミラノスカラ座と並んでオペラの殿堂と言われています。ヨーロッパの古い劇場に典型的なボックス席を配した馬蹄形の造りです。
細かく席のランクが分かれていますが、最も高価なのが、1階の平土間席中央です。1階は舞台を正面から観れるのですが、傾斜がほとんどないので、前の席に背の高い人が座ると舞台が見えなくなることがあります。
4層あるボックス席の1列目は高価ですが、ホール全体の空気を味わいながら、障害物なしに舞台がよく見えます。2,3列目は安価ですが、狭い空間で圧迫感があって、音がこもるうえに、舞台も観にくいのでお薦めできません。
ボックス席の上のガレリア席は最も安価ですが、買う時には柱の位置に注意しましょう。自分の席の前に柱があると、舞台を観るじゃまになります。柱が前になくても、場所によっては舞台の一部が視野に入りません。
パルマはイタリア北部、ミラノとボローニャの中間にあり、中世には自治都市として栄えた美しい街です。
美食の街としても知られ、特にパルマの生ハムは有名です。注文してからスライスしてくれ、地元産ワインとともに食べられるお店が街中にたくさんあります。
☆ブッセートはヴェルディづくしの街
ヴェルディはブッセート近くの小さな村レ・ロンコーレで生まれ、ブッセートで学び、この街の有力者の支援で作曲家としてステップアップしました。
ブッセートはヴェルディづくしの街です。街の中心ヴェルディ広場に面して銅像が建ってます。その後ろにある城郭の一角にヴェルディの名を冠した劇場が19世紀に造られました。
筆者はこの隣にあるホテルに泊まりましたが、ホテルの名称「I Due Foscari」はヴェルディの初期のオペラ、経営者はヴェルディを得意とした往年の名歌手カルロ・ベルゴンツィの息子さん、WiFiのパスワードもVerdi・・・・・でした。
☆ヴェルディ劇場
席数300と小さく、100人近くが出演するオペラをここで鑑賞できるのは贅沢と言うしかありません。
パルマのテアトロ・レッジョと同じ構造ですが、小さいので、上部のガレリア席からでも、舞台がとても近くに感じられます。
筆者が訪れた日の開演前には、劇場前で無料の室内楽コンサートが開かれていました。
☆ヴェルディ博物館
16世紀に建てられたヴィラが、ヴェルディのオペラの舞台セットや衣装などを展示した博物館になっています。
建物自体に風情があり、ヴェルディのオペラの名場面が小さなボリュームで流れる中、舞台を想像しながら、作品ゆかりの品々を見て歩くのが楽しいです。
ブッセートは小さな街で、ヴェルディの他には観光スポットもなく、劇場のキャパも小さいので、公演が行われる日でも、街の中心部は、いなかの静かな街の風情が保たれています。
☆ヴェルディ音楽祭のチケット
音楽祭のサイトで買うのが基本です。
パルマ、ブッセートの劇場にあるボックスオフィスでも買えます。HPで完売になっていても、諦めないでHPをチェックしていると、キャンセル券の戻りが出てくることもあります。
代理店に頼むと、ホテル予約と抱き合わせにされることが多く、券面とほぼ同額の手数料を取られることもあります。
☆パルマ、ブッセートへの行き方
日本からの直行便のあるミラノ経由が便利です。ミラノからパルマへは直通列車で1時間9~34分で、昼間はほぼ1時間に1本あります。
パルマからブッセートへは列車で直通で34分ですが、乗り換えがあると1時間近くかかります。
ミラノからクレモナ経由でブッセートに行くこともできます。
ブッセート駅は小さく、利用客が少ない時間帯はバスによる代替輸送になることもあります。バス停は駅前にあります。ホームで待っているうちにバスが出発してしまうことがないよう時刻表の表示を確認しましょう。
☆泊る
パルマはこの地方の中心都市だけあって、宿泊施設は数多くありますが、ブッセートでは、劇場から歩いて行ける範囲のホテルは2軒だけです。休日は昼間の上演ですが、平日は終演時間が遅いので、終演後に他の街に移動することは難しいので、早めのホテル予約が必須です。
音楽&美食の良い旅を!
(訪問日:2017年10月16~19日)