スペイン北東部からフランスにまたがるバスク地方の中心都市のひとつ、サン・セバスチャン(San Sebastian)は、美食の都として知られています。
☆サン・セバスチャンで食い倒れ!
右も左もバルだらけです。バルのカウンタには、ぎっしり小皿料理が並べられています。一皿2.5~4€(¥300~500)で、びっくりするくらいおいしいものが食べられます。料理を見て選べるのがいいです。
高級そうなレストランに入らなくても、このような庶民的な店で、安く少量ずつ様々なものが食べられるのです。飲み歩き、食べ歩きの人には、サン・セバスチャンは天国です。
☆サン・セバスチャンの歴史を感じる
中世のサン・セバスチャンは、ヨーロッパ中央からスペイン西部のサンチャゴに巡礼に向かう途中にあり、海洋貿易で栄えた要塞都市でもありました。19世紀末には王家の避暑地となったこともあり、旧市街には歴史を感じさせる建物が多く建ち並びます。
ゴシック様式の堂々とした大伽藍です。内部のファサードもみごとです。
夜はライトアップされます。
この周辺はバルが特に多く、夜遅くまで地元の人たちでにぎわっています。
16世紀の修道院を改装した、サン・テルモ博物館は、サンタ・マリア教会から歩いて5分くらい。バルをはしごして、食べて飲む合間に、中庭で休憩するのもいいです。にぎやかな旧市街とはうって変わった静けさです。
中庭を囲む建物だけでも見どころなのですが、絵画・彫刻に加えて、バスクの歴史と文化も展示されています。
☆サン・セバスチャンの絶景ポイント
サン・セバスチャンは海の街でもあります。湾をはさんで、街を見下ろす展望台の丘が2つ向かい合っています。⇒地図
そのひとつ「モンテ・ウルグル」は旧市街の背後にあります。
「モンテ・ウルグル」へは歩いて登ります。頂上には中世の要塞の跡が残り、今も大砲が海のほうを向いています。
もうひとつの丘モンテ・イゲルドは、湾をはさんで旧市街の反対側にあります。
頂上には展望台と遊園地があります。ここからの、コンチャ湾とその先に広がる旧市街の眺めは、サン・セバスチャン一番の絶景です。
2つの丘の間のコンチャ海岸はビーチリゾートです。旧市街からモンテ・イゲルドへは、1時間に2,3本あるバスが便利なのですが、海辺の遊歩道を歩くのも気持ち良いです。
湾を見下ろす高台には高級感のある建物が建ち並びます。ホテルもありますので、オーシャンビューの部屋でプチ貴族気分を味わってみるのもいいかもしれません。
☆サン・セバスチャンへのアクセス
サン・セバスチャンはスペイン北東部のフランスとの国境近くあります。
バルセロナからは列車で最短6時間、首都マドリッドからは最短5時間半です。バスは安価ですが、所要時間はさらに長くなります。
便利なアクセスは、バスクの中心都市ビルバオ(Bilbao)経由です。マドリッド、バルセロナだけでなく、日本からの直行便があるロンドン、パリ、フランクフルトなどのヨーロッパ主要都市からのフライトがあります。ビルバオ空港からサン・セバスチャンまで、1時間に1本、所要1時間15分の直行バスがあります。(⇒バスの時刻表)
ビルバオ市内からも、バス(所要時間はやはり1時間15分)に加えて、RENFE(国鉄)、私鉄のバスク鉄道もあります。
フランスからもアクセスできます。フランス側の国境の街アンダイヤ(Hendaye)までは、ボルドーから列車で2時間25~50分。パリからは直行TGVで所要約6時間、乗り換えがあるともう少々時間がかかります。アンダイヤの駅を降りると、右手50mくらい行った先にバスク鉄道の駅があります。サン・セバスチャンまでは所要45分。30分ごとの運行です。
サン・セバスチャンの鉄道駅もバスターミナルも旧市街からは若干距離があります。旧市街の南端で観光案内所がある並木道Alameda del Boulevardまで、RENFEの駅からは徒歩約10分、バスク鉄道の駅は徒歩約15分、バスターミナルはさらに南にあるので、市バスに乗ることになります。
☆サン・セバスチャンで泊る
バル巡りに便利な旧市街がお薦めです。飲み食いで疲れたら戻ってしばらく横になれますから。旧市街には値段安めのペンションが多いです。
コンチャ湾沿いで海に面して眺めの良さそうなホテルもいくつかあります。値段高めのところが多いです。
☆サン・セバスチャンからのエクスカーション
ここを起点に、バスクの街や村を巡り、独特の文化を感じ、食事を楽しんでみてはいかがでしょう。お薦めはフランスとの国境の街、オンダリビア(Hondarribia)。バスで約40分です。詳しくは⇒こちらへ
さらにフランス側のバスクまで足を伸ばしてみるのもおもしろいでしょう。
☆バスクについて
ピレネー山脈をはさんでスペインとフランスに住むバスク人は、スペインともフランスとも違う独特の文化を育んできました。バスクの歴史は古く、民族系統、起源など不明なことが多いです。有名どころでは、日本にキリスト教を伝えたフランシスコ・ザビエルがバスク人です。
かつてはバスク独立運動が激しく、スペイン国内でテロもやっていました。今は穏健になっていますが、独立運動はまだ続いています。
バスク語は、スペイン語と並んで、バスク地方の公用語になっていますが、スペイン語とは全然違っています。サン・セバスチャンはバスク語ではドノスティア(Donostia)と言い、バスの行先表示ではバスク語のほうが使われていますので、旅行者は戸惑うことがあります。
この記事が皆さんのバスク旅の一助になれば幸いです。