マントヴァ(Mantova)は北イタリアのロンバルディア平原の東端に位置するルネッサンスの街です。湖の対岸から見る印象から、「湖に浮かぶ中世の都」と言われています。
街の中心には広場が3つ連なり、その周りに教会、宮殿などの歴史的建造物が建ち並びます。
サンタンドレア教会(Sant’ Andrea)は15世紀のルネッサンス建築。前のマンテーニャ広場がさほど広くないせいか、隣の鐘楼とともに見上げます。
内部の巨大な空間はきらびやかではなく、質実剛健という印象です。
隣のエルベ広場(Piazza delle Erbe)に建つ
ラジョーネ宮(Palazzo della Ragione)と、
ずんぐりした円形のサン・ロレンツォ聖堂(Rotonda San Lorenzo)。
サン・ロレンツォ聖堂は11世紀に建てられたロマネスク様式で、内部は中世の教会というより古代遺跡の雰囲気です。
もうひとつの広場、ソルデッロ広場(Piazza Sordello)の先にはドゥオーモ(Duomo)。右側にはドゥカーレ宮殿(Palazzo Ducale)。
ドゥカーレ宮殿はこの地を支配したゴンザーガ家の居城でした。ヨーロッパ屈指の豪華な宮殿とのことで、内部を見学してまわることができますが、残念ながら筆者の訪れた月曜はクローズでした。
この広場のテラス席で食べたマントヴァ風リゾットが美味しく、赤ワインとベストマッチでした。スープで煮込んだリゾットと違い、パラパラと乾燥したリゾットです。サルシッチャ(生サラミ)が入っていて、仕上げにはおろしたチーズ(パルミジャーノ・レジャーノ)が使われています。
古い歴史的建造物に囲まれたテラス席で地元の名物料理をワインとともに食するのがイタリア観光の最大の醍醐味だと思います。
ドゥカーレ宮殿に隣接してサンジョルジョ城(Castello di San Giorgio)があります。湖に面して、中世には街の防衛拠点だったのでしょう。
マントヴァを三方から囲む湖のほとりには遊歩道が整備され、地元の人たちがくつろいでいます。最高の散歩道、ランニングコースですね。
マントヴァは19世紀のオペラ作曲家ヴェルディの代表作リゴレットの舞台でもあります。3つ連なる広場から湖畔に出る途中に、マントヴァの宮廷付の道化師だったとされる「リゴレットの家」があります。15世紀に今日の姿になった建物で、中庭に像があります。
☆マントヴァへのアクセス
北イタリアの主要都市を結ぶ幹線からはずれているので、距離のわりに時間がかかりますが、ミラノから直通列車があります。所要1時間50分、2時間ごとにあります。
主要都市を移動する途中に立ち寄る場合、駅にはロッカー、荷物預かり所がありませんのでご注意を。筆者は「リゴレットの家」の隣のツーリストインフォメーションに短時間だけ置かせてもらいましたが、いつもOKとは限りません。
マントヴァ駅から、3つ連なる広場のうち駅に最も近いマンテーニャ広場まで約900mです。駅前は車の通りが多く騒々しいですが、しばらく歩くと中世の風情ある街並みが現れます。
湖から流れ込んで街を横切る小川のほとりに、古い石造りの家屋が建ち並びます。マントヴァは水辺の街なのです。観光都市として有名ではありませんので、静かにじっくり古いイタリアの風情を味わえます。
(訪問日:2017年10月16日)