フランス、カトリックの聖地、ルルド(Lourdes)。
「病を治す」と言われる奇跡の泉の水を求めて、毎年世界中から500万人もの人たちがルルドにやってきます。
ルルドはフランス南西部、スペインとの国境のピレネー山脈の麓にあります。
☆奇跡の泉が湧く洞窟
1858 年、この地の貧しい14才の少女の前に聖母マリアが出現し、マリアのお告げによって少女が手を触れた地面から泉が湧き出し、その水を飲んだ人は病気が治るという奇蹟が起こりました。その話はすぐにフランス中に広が り、鉄道の開通に伴って、ヨーロッパ各地から奇蹟を求める人々がルルドを訪れるようになりました。
洞窟の奥に建てられたマリア像の下には、湧き続ける泉があり、熱心に祈っている人が大勢います。泉の水は、水汲み場の水道から自由に汲むことができます。
洞窟に入るのに行列です。車椅子やストレッチャーに乗せられた人は優先的に入れてもらえます。ペットボトルを持っている人がたくさんいます。
マリア様が洞窟を見下ろしています。
洞窟の上には聖堂が建てられ、その周囲が聖域(Sanctuaires)となりました。
☆大聖堂と聖域
おとぎの国のお城のような大聖堂。
珍しい3層構造です。それぞれ別の建築様式で建てられています。最上部のカテドラルは上に向かって開放的です。
これは最下層。
高台から見た聖域。
大聖堂の手前の楕円形に盛り上がった芝生の下には25,000人収容の巨大地下カテドラルがあり、ミサが行われます。お祈りの声と讃美歌は拡声器で外にも流されます。
☆夜のロウソク行進
4~10月の夜9時から、ロウソクを手にした大勢の人たちが聖域に集まってきます。お祈りと賛美の合唱が繰り返されます。
車椅子を押された人、ストレッチャーに横たわったままの人もいます。付添いの看護婦さん、シスターさんも。神聖な空気と参加者の熱気に圧倒されます。
☆街と聖域を見下ろす城塞
ルルドは中世の時代に軍事的拠点が置かれた街でもありました。
高台に築かれた城塞からは街と聖域が一望できます。ルルドで一番の観光スポットです。
夜は城塞がライトアップされて、闇の中に浮かび上がります。聖域から聞こえる讃美歌とあいまって、なんとも言えない厳かな気分になります。
城塞へは歩いて登れますが、聖域とは反対側にあるエレベータが便利です。城塞の内部は博物館になっていて、農具、家具、食器、衣装、靴など、ピレネー地方の民族文化が幅広く展示されています。
☆ルルドへの行き方
最も近くの大都市トゥールーズ(Toulouse)から列車で最速1時間50分。
ボルドー(Bordeaux)からは最速2時間40分。
この2都市へは、パリや日本からの直行便が飛んでいるヨーロッパの都市から乗り継いで行けます。
パリから直通TGV(所要6時間10分)も1日数本あります。
ルルド駅から聖域の入り口までは歩いて約10分。途中、ホテル、レストラン、みやげ物店がぎっしり並ぶ洞窟通り(Bd. de la Grotte)を通ります。
☆ルルドで泊る
ルルドは小さな街ですが、ホテルの数はパリに次いで2番目とのこと。夜のロウソク行列を観るためには、なるべく聖域に近い場所に泊ることをお薦めします。
多くの国には、その国を代表する、祈りの街があります。観光客としてであっても、フランスを代表する祈りの街、ルルドで、フランス文化の重要な要素であるカトリックの精神にちょっとだけ触れてみるのはいかがでしょうか。
(訪問日:2016年9月6日)