パリからのツアー先として人気の高いロワール古城巡り。
ロワール河やその支流沿いには、豊かな自然の中に中世の王侯貴族の豪華絢爛な古城が点在します。お城の美しい姿に感嘆したり、内部の装飾、調度品に当時の栄華を思い馳せたり、いろいろな楽しみがあります。
私たち旅行者の使える時間に応じて、上手にロワール古城巡りをする方法をご紹介します。 その前に、2016年9月に筆者が訪れたロワールの古城をいくつかをご覧ください。
内部のきらびやかな装飾や家具調度。数あるロワールの古城の中でここが最も素晴らしいという評判です。
壮麗な姿のシャンボール城。
フランス・ルネッサンス様式の城の中で最もスケールが大きいお城です。
内部の二重らせん階段。人がすれ違わないで上り下りできる巧妙なしかけが用いられています。
シャンボール城は住むためというより、狩猟のために建設されたお城です。周囲の約800haの森は一般に公開されており、徒歩でも自転車でもゆっくりと自然を楽しめます。
美しい庭園が魅力のヴィランドリー城。
ブロワ城。
500年に渡って増改築を重ねたため、ゴシックからルネサンス、バロックなど4つの時代の建築様式が中庭を囲むように建っています。
宮廷生活が偲ばれる「王の居室」。ブロワ城は歴代のフランス王、王女の居城でした。
☆1日しか時間のない方へ
最も簡単なのが、パリ発のロワール古城巡りツアーに参加することです。早朝パリ発、2つか3つの古城を訪れ、夜パリに帰ります。訪れる古城はツアーによって異なります。日本語ガイドのツアーもあります。
ご自分で旅程をたてたり、切符の手配が面倒な方にはお薦めです。但し、行程の半分以上はバスに座っていることになり、渋滞にはまるとさらに長くなります。
1日だけでさらに多くのお城を訪ねたい方は、トゥール(Tours)まで列車で行き、トゥール発の1日、または、半日のツアーがお薦めです。
午前と午後の2つのツアーを組み合わせて参加すると4つ以上のお城に行けます。午前のツアーは9時~9時半発ですので、それに間に合うようにパリから早朝発のTGVに乗ります。午後のツアーが終わった後の列車でパリには夜9時頃に戻れます。
☆2日以上かけられる方へ
列車、バスで行けるお城は自力で、行けないお城をツアーで訪ねるのがよいでしょう。
ブロワ城、アンボワーズ城、シュノンソー城、ロシュ城は鉄道駅から歩いて行けます。
シャンボール城とシュヴェルニー城へは、夏季限定ですが、ブロワからのバスで行けます。ヴィランドリー城へはトゥールからバスで行けます。
☆ロワール古城巡りツアーの賢い使い方
所定の集合場所でバスかミニバンに乗って、同じ場所に戻るという定型的な使い方ばかりではありません。ご自分の計画に合わせて、ツアー会社に要望を伝えましょう。
①集合場所に戻ってこなくてもいい。
ツアーの途中で車から降ろしてもらうということです。例えば、筆者は、トゥール発のシュヴェルニー城とシャンポール城を巡る午後半日ツアーでトゥールに戻らず、帰途、ブロワの街の入り口で降ろしてもらい、ブロワで泊りました。荷物はミニバンの後部に積んでもらえました。
②最初のお城に向かう途中でピックアップしてもらう。
例えば、トゥール発のアンボワーズ城とシュノンソー城を巡る午前のツアーに参加し、2つめのシュノンソー城で降ろしてもらい、午後のシュヴェルニー城とシャンポール城を巡る半日ツアーにピックアップしてもらい、夕方、トゥールに戻る。こうすれば、1日で4つのお城を見学するとともに、人気のシュノンソー城を眺めながら、約3時間、ランチ含めてのんびり過ごせます。
ツアーを探す時に、所定の集合場所以外のピックアップ可否、場所、古城見学を終えた後の帰るルートをきいたうえで、自分の希望に合う会社、ツアーの組み合わせを考えましょう。
☆ロワールのどこに滞在するか?
ガイド本には、ロワール古城巡りの起点にするにはトゥールが便利と書いてあることが多いです。
トゥールはロワール地方の中心都市で、宿泊施設、レストランが多く、木組みの家がたくさん残る街並みの散策も楽しめます。
サン・ガシアン大聖堂は13~16世紀にかけて造られたゴシック建築の傑作です。前の広場から写真を撮ろうとしてもフレームに収まりきれないほど、大伽藍が天に向かって伸びています。内部の色鮮やかなステンドグラスも見どころです。
ロワール古城巡りツアーはトゥール発着が多く、ここの宿泊して古城を巡るのもいいですが、筆者は街並みの魅力の点でブロワ(Blois)をお薦めしたい。
ブロワ城は街中にあり、夏の夜の「音と光のスペクタル」を観に行けるというのもお薦めする理由です。
☆お薦め!夏の夜の「音と光のスペクタクル」
いくつかのお城では、城の外壁に映像が映し出され、バロック/ルネサンス音楽をバックに、そのお城にまつわる歴史が語られます。
各お城のHPに実施日と時間が載っています。ただし、終了が夜11時頃になりますので、レンタカーを使える方以外は、徒歩圏に宿泊施設があるお城に限定されることになります。
ブロワ城では、4~9月の夜10時(日の入りが遅い時期は10時30分)から約1時間のショウが行われます。日本語でもナレーションが聴けるヘッドフォン込みで10€(お城見学とコンビ料金で15€、2016年6月時点)です。
中庭から四方の異なった建築様式の外壁が様々にライトアップされるのは幻想的です。
☆ご注意
ロワールの古城はフランスの誇る文化遺産だけあって、その保存には最新の注意が払われています。そのため、時々、補修工事が行われて、お城の一部が見学できなかったり、シートが被せられて、美しい姿を堪能できないこともあります。
筆者が訪れたアゼー・ル・リドー城がそうでした。フランス・ルネッサンス様式の洗練されたスタイルを楽しみにしていたのですが。
ロワール古城巡りの計画を立てる際には、各城のHPを確認するようお薦めします。
列車やバスの時刻表を調べる際には、運行日をよくチェックしましょう。フランスでは土日の運行本数は大幅に減ります。季節によっても運行本数が異なります。
では、皆さん、よい旅を!