モロッコの迷宮都市フェズを歩く

モロッコの古都フェズの旧市街(メディナ)。
城壁に囲まれた巨大迷路です。
こんなところは世界中にフェズだけでしょう。

どのようにしてこんな迷宮都市ができたの話は他に譲るとして、ツアーに入らず、フェズの迷路を歩き回りながら、あちこちにあるイスラム芸術の粋を楽しむ方法をご紹介します。

いくつかの危険に気をつけていれば、エキゾチックな雰囲気に中でアドベンチャー気分を満喫できます。

☆入口のブー・ジュルード門

フェズの鉄道駅やバスターミナルのある新市街から来ると、ここが迷路の入口です。迷路を歩く起点で、迷ったらここに戻りましょう。Fezブー・ジュルード門表

夜遅くまで人通りが絶えず賑やかです。Fezブー・ジュルード門表夜

旧市街の内側は色合いが違います。Fezブー・ジュルード門裏

このブー・ジュルード門から下り道のメインストリートが2本、カラウィン・モスクまで続き(途中で合流する)、そのまわりに枝葉のように小路が張りめぐらされているのが、フェズの迷路のおおよその作りです。そして、フェズの見どころのほとんどがこの間にあります。

門を入って、2本のメインストリートのうちの左(北)側のタラア・ケビーラ通りを行くと、すぐに屋根付きの商店街です。主に食品を売っています。Fesケビーラ通りの商店街

さらに50mくらい進んだ右側に入口があるのが、

☆ブー・イナニア・マドラサ

14世紀にできた神学校です。
中庭の壁に描かれた幾何学模様のモザイクがすばらしい。
Fesブーイナニアマドラサ

ここは朝早くから開いていますので、観光客が来る前の朝の早い時間に来るのがお薦めです。Fezブー・イナニア・マドラサ2

さらにケビーラ通りを歩いていくと、通りの先にカラウィン・モスクのミナレットが見えてきます。Fezカラウィンモスクの塔

夜になると風情が増します。Fezカラウィンモスクの塔夜

☆カラウィン・モスク

2000人収容の巨大モスクですが、建物の密集した中に、他の建物との間隔がほとんど無く建ってますので、その巨大さは実感できません。狭い道の片側に高い壁がそそり立っているだけです。入口を見つけて初めてここがモスクだとわかります。Fezカラウィンモスク

モロッコではイスラム教徒以外はモスクや霊廟に入れないので、入口からのぞきこむしかありません。

☆アッタリーン・マドラサ

イスラムの繊細な彫刻を間近に観るには神学校(マドラサ)です。カラウィン・モスクの隣にあるアッタリーン・マドラサ。Fezアッタリーン・マドラサ1

ブー・イナニア・マドラサより小さいものの、中庭を取り巻く部屋の壁面の彫刻はみごとです。近寄って観ると、その繊細さは人間業とは思えないほどです。Fezアッタリーンマドラサ3

学生の宿泊部屋になっていた2階の小部屋から中庭を見下ろす。Fezアッタリーンマドラサ2

☆ザウィア・ムーレイ・イドリス廟

ここも中に入れませんが、外からでも厳かな雰囲気をうかがい知れます。Fezザウィア・ムーレイ・イドリス廟

☆フェズを見下ろす

フェズの迷路のようなメディナは城壁に囲まれています。Fez城壁

この城壁の外(北側)にある高台からメディナを見下ろせます。ブー・ジュルード門のある丘から東に向かって傾斜した斜面にぎっしり建物が密集している様がよくわかります。Fez全景

CTMバスターミナルから城壁に沿った広い道の歩道を歩いていくのですが、標識がないので、登り口をみつけにくい。上部が階段になっているところを探しましょう。「地球の歩き方」には240m徒歩3分と書いてありましたが、早足でも5~6分歩きます。

夕暮れ時に登ると、時間の経過とともにメディナの色あいが変ってゆき、ところどころに明かりがともっていくのがきれいです。Fez全景夕暮れ

☆治安は大丈夫か

ブー・ジュルード門からカラウィン・モスクまでの2本のメインストリートを歩いているだけなら、夜遅くまで人通りが多いので独りでも危険はないでしょう。但し、あちこちで声かけてくる輩に連れていかれない限りです。人通りの少なく、両側が壁だけの細い路地にはなるべく入らないほうがいいと思います。

フェズのメディナの中には観光客からお金をふんだくってやろうという輩がたくさんいます。たくさんの人たちが声をかけてきますが基本的には無視しましょう。特に片言の日本語で声かけてくる輩、押し売りガイド(後述)を相手にしてはいけません。

地元の人たちと交流するのが旅の醍醐味ではありますが、メディナの中ではこちらから相手を選ぶ必要があります。選び方は慣れるしかないのですが、まずは、商店の店員でしょう。仕事中なので、こちらをだましたり、つきまとってくる余裕はないからです。但し、しつこく売り込みをしてきたら、即刻会話を打ち切ってその場を離れましょう。

☆注意!押し売りガイド

道に迷ったら、「Where is Blue Gate?」とか「Where is Bab Boujloud ?」と尋ねましょうなどと書いてあるガイド本がありますが、メディナでは道を尋ねないほうが無難です。

こちらが道を尋ねなくても、「Close,Close」と言って寄ってくる輩がいます。ほとんどは男性で、この先は道が閉鎖されているから、行きたいところへ自分が案内してやるというのですが、ついていくと、目的地に着いたところで多額の金を請求されます。

サイフを出したら、数万円相当を持ち去られたこともあるそうです。筆者は100円相当のコインを渡してその場を立ち去りました。人通りが多いところだったので逃げ切れましたが、人気のない場所だったら、つきまとわれたでしょう。

迷ってしまってどうしても尋ねざるを得ない時は、商店で店員とおぼしき人にしましょう。その場合でも、こちらが話しかけた相手が返答できないと、横から押し売りガイドが割り込んでくることがありますが、敢然と無視しましょう。

☆道に迷ったら

狭い路地に入って方角がわからなくなったら、先に進むのを諦めてメインストリートに戻りましょう。ところどころに「Bab Boujloud 」(ブー・ジュルード門)の方向を矢印で示した標識がありますので、困ったらこの標識を探しましょう。

☆フェズへの行き方

モロッコ旅のゲートウェイとなるカサブランカから電車で4時間、バスで5時間かかります。それぞれ1日数本あります。フライトは所要1時間ですが、本数が1日1,2本です。

モロッコ旅のもうひとつの人気都市マラケシュからはさらに長い時間がかかります。

筆者のお薦めは、モロッコ旅でサハラ砂漠を訪れる際に、出発地か帰着地のいずれかをフェズにするということです。砂漠へのツアーを催行している旅行会社の多くでオプションとしてこのような行程が組めるようになっています。

筆者の場合は、マラケシュ発の2泊3日のツアー代金が950DHで、追加で400DH払って、帰りをフェズにしました。

ツアー参加者18人中、筆者含めて3人がこのパタンでした。サハラ砂漠の入口メルズーガから、途中で数回の休憩を含めて約9時間でフェズに着きました。(サハラ砂漠ツアーについては⇒こちらへ

☆おしまいに

世界遺産にもなっている、エキゾチックなフェズのメディナの狭い路地をさまよい歩くのは楽しいものです。モスクや霊廟には入れなくても、街歩きだけで様々なイスラム芸術を目にできます。

これはネジャリーン広場の泉。Fezネジャーリン広場

この記事が、皆さんのフェズの迷宮歩きのお役に立てれば幸いです。