ヨーロッパでサッカー観戦する方法:チケット入手から観戦まで

日本人選手の活躍でヨーロッパのサッカーに興味を持たれて、現地観戦を希望される方が増えています。昨年のカタールでのワールドカップの決勝、準決勝で活躍していた選手たちのほとんどはヨーロッパのトップリーグで日常プレーしています。

コロナ禍の行動制限、スタジアムの入場制限はほぼなくなっていますが、チケットをどうやって買ったらいいか、費用はどれくらいか、スタジアムで言葉は通じるかなどで、ハードルが高いと感じている方もいらっしゃるでしょう。

そこで、私さすらい人MITSUのこれまで21年間の海外サッカー観戦の経験をもとに、個人でチケットを手配し、観戦するまでのノウハウ、注意点をまとめてお伝えします。DSC_1258

筆者はヨーロッパを中心に海外でサッカー観戦してきました。日本からの観戦ツアーに入ったことはなく、1回を除いて、チケットはすべて個人手配しました。(⇒観戦記録

チケットの個人手配は難しくない

ヨーロッパでは40試合観戦しましたが、そのうち24試合は出発前に公式ルートでチケットを入手できないまま、完売してしまいました。その状況で代理店を頼ったのは1回(スペインのクラシコ)だけです。23試合は現地に着いてからチケットを入手しています。ヨーロッパでは失敗したことはありません。

人気の試合でチケットが売切れたからといって諦めることはないのです。

計画にあたっては、自分の希望する試合にどれくらいの観客が集まるのか見極めましょう。

各国リーグ戦やカップ戦の1回券の発売は試合の2~4週間前が多いです。観戦したい対戦カードを決めたら、チケットの入手可能性を見極めましょう。人気がどれほどで、どれくらいの数の観客が来るか、ということです。

①チケットが完売する見込みはない
②チケットは完売しているが、試合当日、当日券が出てきたり、チケットを余している人から買える見込みがある
③チケットが完売しており、券面価格の数倍のやみ値でしか
 入手できる見込みがない

ふだんから当該リーグの試合をテレビ観戦していれば、希望の試合が上記のどれかは容易に判断つきます。わからない場合は、詳しいファンに尋ねるか、周囲にそのような人がいない場合は、前年の同カードの観客数をネットで調べて推測しましょう。

出発前にチケットを予約してスタジアムに行かなければ観戦できないと思いこんで、①の状況で代理店に依頼したり、ネットの転売サイトで券面価格より大幅に高い値段を支払って購入される方もいらっしゃいますが、実にもったいないことです。

チケット購入方法(1) 出発前に主催者のHPで

最も確実に券面価格でチケット購入できます。 主催者は通常はホームチームですが、 ワールドカップやユーロではFIFAやUEFAです。

クレジットカードで支払い、郵送または現地で受取ることになります。最近では、メールの添付ファイルでバーコード付チケットが送付されることもあります。

インテルのHPのチケット購入ページ。スタジアムのシートマップが表示され、席番まで選べます。インテルチケット販売

完売が予想される試合でも、発売開始と同時にアクセスすれば買えることもあります。

ただし、購入の前提として会員登録しなければならなかったり、その登録が有料であったり、面倒な手続きを求められることがあります。

いったん完売しても、試合日が近くなると、キャンセル戻りが出て、再び買えるようになることもあります。

チケット購入方法(2)現地の公式ルートで

チケットが完売する見込みがない試合は、現地に着いてから購入しましょう。大部分の試合はこれでOKです。スタジアムの窓口、公式ファンショップなど買える場所は様々です。主催者のHP、現地の観光案内所で調べましょう。

買う時のコツですが、 まず、事前にスタジアムのシートマップを入手しておきましょう。スタジアムまたはホームチームのHPからダウンロードしてプリントアウトしていくのが一番いいですが、それができない場合、スタジアムや観光案内所などでマップを入手しましょう。

次に、英語と(できれば)現地語のキーワードを把握しましょう。数、左右、上下、真ん中/端っこ、1階、2階、シートブロックの名称などです。単語を連呼してこちらの希望を伝えます。上手に文章にして話す必要はありません。伝わればいいのです。
①「Today’s match」または
「XXXX vs YYYY(対戦するチーム名)」
②枚数
③カテゴリーとブロック
を連呼するだけでチケットを買えます。

チケット購入方法(3)代理店に依頼する

公式ルートではチケット入手不可能で、ブラックマーケットで異常な高値で取引されている試合(③)は、代理店に依頼したり、ネットの転売サイトを使わざるをえません。

日本のサッカー雑誌に掲載されている代理店、世界中のイベントを対象としたチケットサイトです。いずれも高額の手数料を上乗せされますが、仕方ありません。

・チャンピオンズリーグの決勝トーナメントでの強豪どうしの対戦
・スペインのクラシコなど国内リーグの強豪どうしの対戦
・ダービーマッチ(同じ街か近隣の街のクラブの対戦)
です。このような試合はごく一部です。

チケット購入方法(4)完売チケットを現地の非公式ルートで買う

②の場合です。完売していても、HPまたは現地の発売所で余りがないかを再度確認しましょう。キャンセルの戻りがある可能性があります。

現地のエージェントがバカ高い値段をつけて、ネットで販売していることがありますが、これには手を出さないほうがいいでしょう。このようなチケットは売れ残って、当日、スタジアムの近くで、キックオフが近づくにつれて値を下げて売られることが多いです。

スタジアムの周辺などで「チケット求む」と書いた紙を周囲に見えるように持っていると、たいていは、いろんな人が「買わないか」と寄ってきます。日本ではそのような人はダフ屋と呼ばれて、反社会的勢力絡みであることがほとんどですが、ヨーロッパではふつうの人が余ったチケットを売っています。シーズンチケットの一部で、行けなくなった人の分であったり、スポンサーから流れたものだったりします。もちろん最初から転売目的で買って、高値で売り抜けようという輩もいますが少数です。Ticket求む

買う場合は、偽物でないことを確認しましょう。

チケット現物を事前にネットで確認する、持っている人に見せてもらう、示されたチケットを周りにかざして、「これ、本物でしょうか?」と大声で尋ねるのです。

但し、日本と同様に、券面以上の価格でチケットを売買することが違法となっている国が多いことも念頭に置いておきましょう。

注意事項(1) スタジアムで避けたいエリア

地元チームの狂信的なファンが集まるエリアは避けましょう。ゴール裏であることが多いです。試合中に旗が振られて視界が妨げられたり、酒に酔った地元ファンに絡まれることがあります。発煙筒がたかれたり、モノがピッチに投げ込まれたりして、無法地帯になることもあります。

2017年10月のミラノダービーのミラン側サポーター席。ひと頃よりおとなしくなりましたが、危ない雰囲気が漂っていました。ミラノダービー無法地帯

アウェイチーム席は、試合後、混乱を避けるために、ホーム側の観客がスタジアムから出終わるまで、出口が封鎖されて、席に座ったまま待たされることがあります。

注意事項(2) 試合後、ホテルに戻る経路、手順を事前に確認しておきましょう

観客が一度に殺到してスタジアムの周りは混雑します。最寄駅で入場制限がかかることもあります。ナイトゲームの場合は暗くなって、不案内な場所で迷ってしまうこともあります。

約8万人入ったロンドン、ウェンブリースタジアムからの帰り道。駅まで約500m、幅15mくらいの道が人でぎっしり埋まりました。ふつうに歩けば10分弱ですが、駅構内への入場制限もあって、スタジアムを出てから電車に乗るまで1時間以上かかりました。ウェンブリースタジアム帰りの混雑

できれば、観戦当日のホテルはスタジアムからのアクセスを考えて選びましょう。スタジアム最寄駅から乗り換えなしで帰れて、降りてからの歩く距離が短いロケーションです。

安全と言われている都市でも、夜間は用心しましょう。

注意事項(3)なるべく軽装で

スタジアム入場にあたってはセキュリティチェックがあります。 ウェンブリースタジアムセキュリティチェック

大きめのカバンの中は隈なく見られます。飲み物はその場で捨てさせられるスタジアムが多いです。傘の持ち込みが禁止のスタジアムもあります。HPで注意事項を確認しましょう。

注意事項(4)スタジアム内ではスリに注意

スリが虎視眈々と狙っています。警備員が大勢いますが、盗難防止の見回りはやってません。盗難にあったと言っても、「警察に言って」と他人事みたいな対応されることもあります。基本的に彼らはスタジアム内の騒乱、テロ対策要員です。

貴重品は体に巻きつけるか、ホテルのセーフティボックスに保管しましょう。衣服のポケットに入れるのはチャックやボタンがあっても論外です。カバンも雑踏の中で開けられることがあります。

ふだんはテレビ観戦しているヨーロッパサッカーを現地で観戦して、違いに一番びっくりするのは、スタジアムで聞こえる音です。プレーのディテールはテレビのほうがよくわかりますが、観客みんなで盛り上がる、現場の熱気はテレビでは伝わりません。

ヨーロッパサッカー好きの皆さんが安全に、安い費用で楽しむためにこの記事がお役に立てれば幸いです。

ご参考に、
ロシアワールドカップ観戦記
ユーロ2012観戦記
ドイツでCL2014-15観戦記
夢の劇場、マンチェスター、オールドトラフォード
ロンドン、エミレーツ
⇒聖地ウェンブリー
リヴァプールでYou’ll Never Walk Alone