イタリアの北西部リグーリア海岸沿いに、海に迫る険しい崖にへばりつくような5つの集落が総称して「チンクエテッレ(Cinque Terre)」と呼ばれています。
北から
・モンテロッソ・アル・マーレ (Monterosso al Mare)
・ヴェルナッツァ (Vernazza)
・コルニリア (Corniglia)
・マナローラ (Manarola)
・リオマッジョーレ (Riomaggiore)
チンクエテッレの魅力とともに、ツアーに入らず個人でチンクエテッレへ行く方法、楽しみ方をご紹介します。
☆チンクエテッレの魅力
狭い土地に色とりどりの家屋が密集し、青い海、緑の山と絶妙のコントラストをなしています。ユネスコの世界遺産に登録されています。
リオマッジョーレ。こんな急斜面によくぞ家を建てたものだと驚くばかりです。
時間がない時にチンクエテッレの5つの村の中でどれかひとつと言われたら、ヴェルナッツァがお薦め。
駅を降りて、多くのみやげ物屋やレストランが密集する通りを数分歩くと、海辺に出ます。テラス席のレストランがあって、潮風を感じながら、地元であがる新鮮な魚を使った料理などを楽しめます。
海辺の高台には、中世の時代、人さらいにやってくるイスラムの海賊の襲来を見張った塔が今も残っています。
☆チンクエテッレへの行き方
フィレンツェやローマからの日帰りツアーに参加してもいいですが、往復にかなりの時間がかかり、チンクエテッレで過ごせる時間はわずかです。
そこでチンクエテッレで泊って、列車や船でまわるのがお薦めです。
崖を縫うように鉄道路線が走っており、列車は、海岸沿いのトンネルをくぐっては顔を出し、再びくぐるを繰り返します。5つの集落それぞれに駅があります。 コルニリアだけは、駅から集落まで徒歩20~25分くらいの登り道または階段になりますが(路線バスあり)、その他の集落は駅の近くです。
最も近いIC(特急)停車駅はチンクエテッレの南にあるラ・スペツィアです。そこからリオマッジョーレまで8分です。ICのなかにはチンクエテッレの村のいくつかに停車するものもあります。
フィレンツェからは、直通またはピサ乗り換えで1時間10分~30分、ローマからは、直通で3時間20分~4時間でラ・スペツィアに到着します。 ミラノからは、直通で約3時間、ジェノバ乗り換えで3時間40分~4時間でラ・スペツィアに着きます。
ラ・スペツィアからチンクエテッレへの船もありますが、便数は少なくリオマッジョーレまで約1時間半かかります。海が荒れたら運休です。
☆チンクエテッレで泊まる
宿泊施設、土産屋、スーパー、レストラン、カフェ、金融機関などが最も整っているモンテロッソがお薦めです。
駅近くには観光案内所があって、地図、列車や船の時刻表などが無料でもらえます。お得な「チンクエテッレ・カード」も買っておきましょう。チンクエテッレ内の列車が乗り放題、トレッキングコースの入場料、博物館入場料が無料になるなどの特典があります。トレッキングコースの入り口の券売所などでも買えます。
モンテロッソには整備された海水浴場もあって、チンクエテッレのなかでは唯一リゾート地の雰囲気がしますが、いかにも観光地という喧噪はなく、落ち着いた佇まいの美しい街です。 モンテロッソの駅から街に続くビーチは気持ち良く歩けます。
宿泊は高級ホテルから民宿まで20軒くらいあります。
☆鉄道でまわる
朝4時台から夜11時すぎまで運行され、昼間は毎時2,3本です。 ラ・スペツィア→(8分)→リオマッジョーレ→(3分)→マナローラ→(4分)→コルニリア→(4分)→ヴェルナッツァ→(4分)→モンテロッソ というわずかな所要時間ですが、列車遅延が頻発し、なかなか思った通りにはいきません。イタリアですからね。
☆歩いてまわる
チンクエテッレの集落と集落の間には山道を歩きながら移動できる有料のトレッキングコースが複数ありますが、落石の危険ありとのことで閉鎖されていることがあります。
筆者が訪れた時(2014年5月)は、最も歩きやすい「愛の小道」も閉鎖中でした。2019年5月時点でも一部を除いて閉鎖が続いています。
訪れる前に、現地観光案内のHPで確認しましょう。
筆者はモンテロッソからヴェルナッツァまでを歩きました。海に面した断崖絶壁や急斜面にひろがるぶどう畑など絶景の連続ですが、アップダウンが激しく、脚力に自慢の筆者でも2時間近くかかりました。ちょっとした登山なので、トレッキング用のシューズを用意したほうがいいです。
汗びっしょりになったところで、眼下にヴェルナッツァの街が見えてきます 。
☆船でまわる
唯一、海に面していないコルニリア以外は定期船が運行されています。季節によって本数が違います。海が荒れる日は運休です。
☆おしまいに
チンクエテッレを訪れる観光客は増加の一途で、観光客数を規制しようという動きが始まりました。一定の条件でチンクエテッレに向かう道路が閉鎖されるとのことです。観光客の波に飲み込まれないように賢くプランニングする必要があります。
チンクエテッレには日帰する観光客が多いですが、主要都市からの移動時間を考えると、1泊することをお薦めします。
おいしそうなレストランが多数あります。 観光客の去った夕方や早朝の静寂を楽しむのもよし、暗くなってから、村から少し離れたビュースポットから薄明りのきらめく村の風景を眺めるのもロマンチックです。 チンクエテッレにはいろいろな楽しみがあります。