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ポストイナ:スロベニアのびっくり地下世界

スロベニアの巨大鍾乳洞ポストイナのご紹介です。日本にも秋芳洞など鍾乳洞はありますが、ポストイナ鍾乳洞はあまりに巨大なスケールです。全長は約20km、ヨーロッパで最大とのこと。

2019年7月の暑い日に訪れましたが、今まで目にしたことのないような不思議な光景が暗闇の奥深くまで広がり、ひんやりと気持ち良い中で自然の神秘を存分に味わえました。

☆トロッコ列車で疾走する地下世界

チケットを買ってゲートを入るとすぐにトロッコ列車乗り場です。すべて自由席です。多数の車両が連結されていますが、各車両の最前列がお薦めです。すぐ前に人の頭がないので視界が広いからです。ポストイナトロッコ列車出発

トロッコ列車はかなりのスピードで疾走します。右に左にさまざまな形の鍾乳石がライトアップされて現れます。もう少しゆっくり走ってくれればいいのに。ポストイナトロッコ列車走る

トロッコ列車に乗っているのは10分ほど。降りてからはガイドさんに先導されて約2km歩きます。階段の昇り降りがかなりあります。ポストイナ鍾乳洞を歩く

巨大な空間です。ポストイナ鍾乳洞巨大な空間

たくさんの種類豊富な鍾乳石が観られます。ポストイナ鍾乳洞鍾乳石1

写真を撮っているとガイドさんが先に行ってしまいますが、気にしなくていいでしょう。歩く道は一本道で迷子になることはありません。ポストイナ鍾乳洞鍾乳石2

☆ポストイナ鍾乳洞への行き方

鍾乳洞はポストイナの街の中心チトー広場から歩いて15~20分ほどですが、筆者のようにポストイナの街に泊って出かける人は少なく、多くは首都リュブリャーナからの直行バスで来ます。

リュブリャーナやアドリア海沿いのリゾートタウン(ピランなど)からガイド付きのツアーで来ることもできます。

ポストイナ鍾乳洞の前には広い駐車場があり、多くの観光バスが停まっています。ポストイナトロッコ全景

ポストイナの鍾乳洞は入場時間が1時間単位に決まっていて、チケットには指定の入場時間が印字されます。その時間に入ってトロッコ列車に乗って、出てくる時間も同じ時間に入った人はほぼ同じです。

長く居たいからといって、勝手に歩き回ることもできなくはありませんが、帰りのトロッコ列車もほぼ1時間おきで、同じ時間に入った人たちと同じトロッコ列車に乗るよう促され、乗らないとかなりの時間待つことになります。

ポストイナ鍾乳洞の中での滞在時間は誰でも同じなので、最初からツアーにしたほうが、チケット売り場の列に並ぶこともなくラクと言えます。

ポストイナ鍾乳洞の入り口にはレストラン、カフェ、ホテルがあります。ポストイナ入口レストラン

☆ご注意

夏にポストイナ鍾乳洞を訪れる際には防寒着を用意していきましょう。鍾乳洞内部の気温は1年通して10℃くらいに保たれていますので、暑い日でも鍾乳洞の中はひんやりします。忘れたら入口で4€で防寒着を貸してくれます。

ポストイナ鍾乳洞の歩き道は湿っているところもありますので、滑らないように要注意です。靴底がすり減った靴はやめたほうがいいでしょう。

ポストイナ鍾乳洞はお天気に関わらずに楽しめますので、予定を固定せず、スロベニア滞在中の雨の日に日帰りで訪れるのもいいでしょう。

皆さん、良い旅を!

 

イストラ半島でヨーロッパの歴史を感じる旅

イストラ半島を巡る旅をしてきました、と言うと、
それ、どこ? って何度もきかれました。
日本ではほとんど知られてませんからね。

地中海に突き出たイタリア半島の右横で、やはりアドリア海にちょこっと突き出ているのがイストラ半島です。
地図

イストラ半島は大部分がクロアチアですが、つけ根の一部がスロベニアとイタリアです。第二次大戦までは全部イタリアだったので、イタリア語が併記された標識をよく見かけました。イタリア語ではイストリア(Istria)半島となります。

古代ローマ、中世のベネチア共和国、近世のハプスブルク帝国と、ヨーロッパの歴史を彩る大国の痕跡を感じるイストラ半島の旅でした。(2019年7月)

☆トリエステ(イタリア)

イストラ半島を巡る旅のスタートはイタリア西端の街、トリエステ(Trieste)。イタリア領が海沿いにスロベニアに食い込んでいます。国境まで2Kmもありません。⇒地図

ヨーロッパの街はどこでも街の中心になる広場があって、住民の憩いの場になってますが、イストラ半島の海辺の街では、広場は海に面しています。

トリエステのウニタ・ディタリア広場は、海に開けた一方以外は重厚な石造りの古い建物に囲まれています。Triesteウニタディタリア広場

広場の真ん中に立ってみると、海風を感じながら、三方から歴史が覆いかぶさってくるようです。

そのうちのひとつが市庁舎。全体を外から照らすのではなく、建物の凹凸が浮かび上がるような細かなライトアップがみごとでした。Trieste市庁舎

サン・ジュストの丘からは、旧市街が見下せます。Trieste全景

トリエステはイストラ半島では最も大きな街です。18世紀からハプスブルク帝国の重要な港町として発展しましたから、港湾の施設は大型クルーズ船や貨物船が余裕で入れるくらい大規模です。

トリエステから船に乗って、イストラ半島を巡る旅が始まりました。観光船ではなくて、地元の人たちが日常の足として使っている船なので、景色を楽しめるオープンデッキの甲板がなかったのが残念でした。クロアチアに行く船

☆ピラン(スロベニア)

トリエステからの船は1時間ほどでピラン(Piran)に着きます。乗船する時にイミグレーションは通っているので、ノーチェックで降りられます。

筆者が泊ったホテルは、街の中心タルティーニエフ広場に面していました。部屋からは広場とその後ろの丘に建つ聖ユーリ教会が眺められました。Piranタルティーニエフ広場

さらに高いところからは城塞がピランの街と教会を見下ろします。Piran城壁

城塞から眺める、青い海と赤茶の屋根のコントラストは鮮やかで、いつまでも記憶にとどまりそうです。Piran全景

海辺から丘までは細い道が迷路のように入り組んでいます。散歩していると、いつの間にかもと来た道に戻ってしまうのがおもしろい。

☆ポレチュ(クロアチア)

ピランからさらに船で1時間弱でポレチュ(Porec)に着きます。Porec全景

モザイク画が残る世界遺産の教会がある街です。
こちらへ

☆モトブン(クロアチア)

いったん海沿いを離れ、イストラ半島の真ん中にある、中世で時が止まったような丘の上の街、モトブン(Motovun)を訪れました。Motovun全景

公共交通機関のバスが運行していない時期だったので、ポレチュから半日ツアーで行きました。
こちらへ 

 ☆ロビニュ(クロアチア)

ポレチュからバスで40~50分でロビニュ(Rovinj)に着きます。バスターミナルから旧市街の入り口まで、こんな景色を見ながら歩いて10分ほどです。Rovinj全景

青い海に中世の街が浮いているようです。このあたりにはテラスのカフェ、レストランが並んでいますので、これを眺めながらゆったりすることもできます。

丘の上から見るとこうなります。Rovinj丘の上から

ロビニュにも他のイストラ半島の街と同じように海に開けた広場(チトー元帥広場)があって、その一角に旧市街への入り口の門があります。Rovinj門

ここから丘の上の教会までは石畳の細い路地が入り組んで迷路のようです。道の上にも住居が張り出しています。中世の頃から狭いエリアに人が集まって住んでいたことがわかる造りです。Rovinj細い路地

丘まで登っていく途中に、石造りの古い建物の間から海が顔を出します。夕暮れ時で、地元の人たちがくつろいでいました。Rovinj建物の間から海

夜遅くまで店の多くはオープンしていて、人通りは絶えません。9時10時になっても子供連れが多いのが驚きです。家族で食事しているのもよく見かけました。Rovinj細い路地夜

バーに入って、地元産のワインを飲んで、ほろ酔い気分で夜の街を散策しました。

☆プーラ(クロアチア)

ロビニュからバスに乗って、イストラ半島の先っぽにあるプーラ(Pula)にむかいました。所要40~50分です。

プーラはイストラ半島の他の海辺の街とはちょっと違い、中世ベネチア共和国ではなく、古代ローマの香りがする街です。1世紀に建てられた円形劇場があります。Pula円形劇場

ローマのコロッセオを小さくしたような劇場で、保存状態が良く、今も夏場にはコンサート会場などとして使われています。 Pula円形劇場内部
ローマ時代のセルギウス門。 Pilaセルギウス門
この他にもローマ時代の名残が街のそこかしこに見られます。メインストリートに面した教会の回廊にこんな壁画がありました。Pulaローマ時代の壁画

街の中心フォーラム広場は、市庁舎などの古い建物に囲まれ、テラスのカフェが並ぶ、プーラで一番にぎやかなエリアです。ここの一角にあるアウグストゥス神殿はキリスト教化される前のローマ建築で、高い円柱がひときわ印象的です。Pula神殿

城塞が街を見下ろします。Pula城

ここから見える景色も、他のイストラ半島の街と同様にみごとです。登ったところに生ビールを売っているバーがあったので、飲みながら城塞を歩きまわることができました。

☆イストラ半島への行き方

観光ガイド本やネットの記事には、クロアチアの首都ザグレブから出かける話が載っていますが、実際にはイタリアからのアクセスのほうが便利です。

筆者はトリエステから船で行きましたが、一大観光地ベネチアからもピラン、ポレチュ、ロビニュ、プーラなどへの船便はたくさんあります。

ザグレブからバスで出かける際は、所要時間にご注意ください。クロアチアのバスは複数の会社が運行しており、値段が異なるだけでなく、経路や停車場が異なり、それによってザグレブから同じ街に行く場合でも所要時間が大きく異なります。
クロアチアのバス時刻表

長距離を走るバス便では、遅れは頻発しますので、プランニングの際は時間の余裕をもっておくのも必要です。

国境をまたぐ場合、特に、クロアチアからEU域内のスロベニアに入る時のパスポートチェックが以前より格段に厳しくなり、乗客全員いったんバスを降ろされてパスポートコントロールを受けることもありますので、国境越えのバスは定刻通りに着かないと思っておいたほうがいいでしょう。

こういった多少の不便を忍んでも、イストラ半島の旅は魅力です。日本にはほとんど入ってきていないイストラ産ワインを飲みながら、ヨーロッパの歴史を感じる旅でした。

みなさんもいかがですか。

 

 

 

 

 

混んでないスロベニアのアルプスでのんびり

ヨーロッパを南北に分かつアルプス山脈。スイスやフランスのアルペンリゾートが有名ですが、ハイシーズンには混み合って、ホテル宿泊費が高騰します。もう少しすいていて、ひなびた雰囲気のリゾート地で、山を眺めてのんびりしたいという方のために、筆者が訪れた、アルプスの東の端、スロベニアの穴場アルペンリゾートをご紹介します。(⇒地図

☆ボーヒン湖(Bohinjsko jezero)

スロベニアNo.1の観光地ブレッド湖から30kmアルプスの奥まったところにあるボーヒン湖は、エメラルドグリーン水をたたえ、周囲の山々が湖面に映る、幻想的な美しさです。Sloveniaボーヒン湖面

ボーヒン湖は、ガイド本によってはボヒニュ湖と表記してあることもあります。

ボーヒン湖を観光する拠点は、湖畔の小さな村リブチェフ・ラズ(Ribcev Laz)です。リブリアーナやブレッド湖からのバスはここに最初に停車します。ホテルが数軒の他にアパートメントもいくつかあり、観光案内所もここのバス停すぐ近くです。BohinjRibcevLaz

天気が良い時の山と湖の眺めはすばらしいのですが、朝霧に覆われた村も風情があります。昔の登山家の像があります。Bohinj朝霧

ここからボーヒン湖の南岸をさらに奥に進み、ゴンドラで登った先がボーゲル・スキーセンター。スキーシーズンには賑わうのでしょうが、夏はそんなに混み合いません。Sloveniaボーヒン湖ゴンドラ

ゴンドラで登った先の絶景!
これを眺めながら飲食できるレストランもあります。Bohinjフォーゲル

さらに奥に進んだバスの終点がサヴィツァ(Savica)。バスを降りてさらに30分ほど歩くと、落差78mのサヴィツァの滝があります。Bohinjサヴィツァ滝

ボーヒン湖畔には遊歩道が整備されています。リブチェフ・ラズの周りの湖畔の草原にはところどころにベンチが置かれていて、気持ちの良い散歩道です。Sloveniaボーヒン湖の草原

歩いて15分くらいの隣村スターラ・フジナ(Stara Fuzina)はさらにひなびていて、いかにもヨーロッパに田舎に来た!気分を満喫できます。Bohinjスターラフジナ

☆ボーヒン湖への行き方

スロベニアの首都リブリアーナからバスで約2時間です。バスはブレッド湖を経由します。

鉄道駅もありますが、駅から湖畔のリブチェフ・ラズまで6km離れていて、バス(多くはリブリアーナから来る)に乗ることなりますから、最初からバスで行くほうがいいでしょう。

☆クラニュスカ・ゴラ(Kranjska gora)

もうひとつご紹介したいクラニュスカ・ゴラは、スロベニアの代表的なアルペンリゾートで、西のイタリア、北のオーストリアとの国境近くにあります。ブレッド湖からさらに北にあり、ブレッド湖をはさんでボーヒン湖とは反対側になります。

クラニュスカ・ゴラの村のバス停を降りて、川沿いに20分くらい歩いたところにあるヤスナ湖(Jezero Jasna)。Sloveniaクラニュスカゴラ

アルプスの真っただ中なのは、ボーヒン湖と同様ですが、高い山々がより身近に迫ってくる感じです。

☆クラニュスカ・ゴラへの行き方

首都リブリアーナから1時間に1本くらい出ているバスが便利です。所要2時間くらいです。

列車本数は少ないものの、オーストリアからのアクセスもあります。ウィーン⇒(鉄道で4時間半)⇒フィーラッハ⇒(鉄道で50分)⇒イェセニツェ⇒(バスで30分)⇒クラニュスカ・ゴラ

スロベニアは旧ユーゴスラビアが分かれてできた国のひとつで、中央ヨーロッパから近く、アクセスも良いのですが、まだメジャーになってない穴場の観光地がいくつかあります。

スロベニアだけを1週間か10日かけてまわっても、ここで紹介しましたアルペンリゾートなど美しい自然に囲まれた街や村のいくつかに滞在できますが、ウィーン(オーストリア)やベネチア(イタリア)を訪れたついでに、スロベニアまで足を伸ばしてみるのもいいでしょう。

アルプスの瞳、ブレッド湖

あまりに美しい!
ブレッド湖はスロベニアの山ふところにあって、アルプスの瞳と呼ばれています。まだ日本ではあまり知られていませんが、ヨーロッパでは既にメジャーな観光地で、絵のような景色を楽しめます。

スロベニアは旧ユーゴスラヴィアが1990年代に分裂してできた国のひとつで、西にイタリア、北にオーストリアと接しています。(⇒地図

旧ユーゴの時代には多民族を束ねていたチトー大統領の別荘がブレッド湖の湖畔にあり、ヨーロッパ歴訪中の昭和の天皇陛下もここに宿泊されました。今は一般人でも泊まれる高級ホテルになっています。

☆ブレッド湖でなにをする?

基本的に美しい景色を眺めてのんびりするところです。

ブレッド湖に浮かぶ小島には手漕ぎのボートでアクセス。船着き場から階段を登ったところに教会があって、時折、コンサートが行われます。   スロベニアブレッド湖1

湖面から100mの断崖の上に建つブレッド城。  Bled城

汗だくなって歩いて登った先では、すばらしい眺めを楽しめます。 ビールがうまい!スロベニアブレッド湖2

湖畔にはホテルがたくさんあります。dig

泊らなくてもレイクビューのテラスで飲んだり食べたりも楽しめます。

朝夕に湖畔の遊歩道をのんびり散策するのは気持ちいいです。 湖面をゆったり滑るような水鳥たちを観ていると、 日頃の万事ハイペースな日常をしばし忘却の彼方に追いやることができます。ブレッド湖の水鳥

湖畔に宿泊施設が豊富にあります。 バスターミナルから徒歩3分の☆☆☆ホテルの湖とお城が見える部屋が9,100円でした(2013年6月)が、2019年7月に再び訪れた際には、値段はかなり上がっているようでした。

☆ブレッド湖へのアクセス

首都リブリャーナの鉄道駅前のバスターミナルからバスが1時間に1本以上運行されていて、ブレッド湖まで所要約1時間半です。

オーストリア南部のフィーラッハとリブリャーナを結ぶ幹線上にあるので、鉄道でもアクセスできますが、鉄道駅(Lesce-Bled)からブレッド湖までは4kmほど離れていて、駅からバスに乗らなければなりません。

イタリアのヴェネチアからゴリツァを経てブレッド湖の西岸にある駅Bled-Jezeroに向かう鉄道は絶景路線です。Bled-Jezero駅からブレッド湖のホテルが集まっているエリアまでは、湖畔の道を2.5kmほど歩くことになります。

☆お薦め!
ブレッド湖を起点にしたアルプス巡り

既にメジャーな観光地となったブレッド湖のほとりには、高級ホテルから安宿までたくさんの宿泊施設、レストランがありますので、ここを起点に、美しいユリアンアルプスの小さな村めぐりをしてみるのはいかがでしょうか。

これはブレッド湖から30km(バスで約40分)ほどのボーヒン湖。Bohinjフォーゲル

ぜひ多くの人に訪れてほしいリゾート地です。