「旧ユーゴスラビアの国々」カテゴリーアーカイブ

知られざる湖畔のリゾート:オフリド

日本では知られていなくても、
ヨーロッパではメジャーなリゾート地が
東ヨーロッパにはいくつかあります。
マケドニアのオフリド(Ohrid)もそのひとつ。

☆オフリド湖畔のリゾート

オフリド湖はマケドニアとアルバニアにまたがり、山々に囲まれた美しい風景に包まれています。 「オフリド地域の自然遺産及び文化遺産」として世界遺産になっています。Ohurid湖

湖畔の美しい街、オフリドは、東欧では名だたるリゾート地です。Ohrid街の全景

新市街のメインストリート、スヴェティ・クリメント・オフリドスキ通りはみやげ物屋、カフェ、レストランなどが集まり、夜遅くまで賑やかです。湖に突き当たった先に港があり、ここから遊覧船が出ています。⇒地図はこちらへOhurid港

湖畔の時間はゆったりと流れます。Ohrid水鳥

湖畔の散策が気持ちいい。崖が迫るところでは、遊歩道は湖上に架けられています。Ohrid湖畔の遊歩道

湖近くに迫る丘が旧市街です。城門をくぐって入ります。Ohrid城門

急坂の両側に古い住宅がぎっしり建ち並びます。Ohrid旧市街坂道

☆宗教都市オフリド

オフリドは10~11世紀にはブルガリア帝国の首都で、市内に365の教会があったと伝えられています。今も旧市街にはいくつか残っています。

最も有名なのが、岬の先端に建つ「聖ヨハネ・カネオ教会(Church St. John Theologian at Kneo)」Ohurid教会

ここからのオフリド湖の眺めは絶品です。

聖パンテレモン修道院(St. Panteleimon )の周囲では、古代遺跡の発掘調査中(2017年5月時点)。聖パンテレモン

教会内部の装飾が最も残っているのが、聖クリメント教会(St. Kliment)。Ohrid聖クリメント教会

内壁を覆うフレスコ画。Ohrid聖クリメントフレスコ画

隣接するのはイコン博物館。Ohrid聖クリメント&イコン博物館

近くには古代の劇場跡があります。Ohrid古代劇場

湖畔近くの聖ソフィア大聖堂は、オスマントルコ支配の時代にはモスクに転用され、内装のフレスコ画はすべて塗りつぶされてしまいましたが、20世紀になって復元されました。Ohrid聖ソフィア大聖堂Ohrid聖ソフィア内部

☆城塞都市オフリド

オフリド旧市街の上にそびえるサミュエル要塞は、オフリドがブルガリア帝国の首都だった10世紀に築かれたものです。Ohrid城塞

城壁の上は、階段の昇り降りはあるものの、気持ちいい散歩道です。Ohrid城塞を一周

街全体と湖が見渡せます。Ohrid街の全景

☆スヴェティ・ナウム(Saint Naum)

オフリドから南へ約30km、アルバニアとの国境近くにあるスヴェティ・ナウムは、10世紀にこの地で布教を行った聖ナウムの記念の地。彼の遺骸が納められ、フレスコ画が美しい教会、緑の湖など、オフリドよりさらに自然の奥深くに分け入った感が味わえます。スヴェティナウム緑の湖jpg

オフリドからバスで40~50分、1日6,7本です。夏は遊覧船も出ており、所要1時間半。午前中に出航し、スヴェティ・ナウムに4時間くらい滞在して夕方、オフリドに戻れるようになっています。

詳しくは⇒こちらへ

☆オフリドへのアクセス

マケドニアの首都、スコピエ(Skopje)からバスで約3時間。1日8便ほどあります。片道450~520DEN(2017年5月のレートで¥920~¥1100)。

始発/終点となるバスターミナルは、街の中心(港のあたり)から徒歩20分です。バスは新市街のトゥリスティチカ通りのバス停にも停車しますが、バス停の表示はキリル文字で、どこがスコピエ行きのバス停なのかわかりにくいです。

スコピエからの往路は、バスのドライバーに「センター」「old town」と言っておけば、街の中心に最も近いバス停で降ろしてくれますが、スコピエ行きのバスに乗る時はバスターミナルまで行くのが無難でしょう。

空路ではスコピエからのフライトはありませんが、夏期を中心にヨーロッパ各地からのフライトがあります。ほとんどがLCC(Wizz Air)です。

☆おしまいに

オフリドはまだ日本では知られていないので、日本人はほとんど訪れません。今、訪れると、”私だけのリゾート感”が味わえますよ。

古代と現代が同居する不思議な街:スプリット

クロアチアの不思議な街をご紹介します。
アドリア海沿岸の街、スプリット。

☆一見ふつうなスプリット

スプリットはアドリア海沿いにたくさん連なる港町のひとつです。 いかにもマリンリゾートの風情の港の向こうに大聖堂の鐘楼が見えます。Split港と大聖堂

街の中心にある大聖堂の鐘楼からの風景。 SPLIT塔の上から

☆古代遺跡に人が住んでる!

スプリットが珍しいのは、古代ローマ宮殿遺跡がそのまま街になっていること。イタリアのローマにあるフォロローマに行ったことある人はけっこういるでしょう。古代ローマの遺跡ですが、入場料を払って観光する遺跡です。ところが、スプリットは遺跡の中に今生きている人の営みがあるのです。 SPLIT遺跡1

遺跡の中にホテルも飲食店もあります。このあたりは夜遅くまで観光客で賑わっています。SPLIT遺跡2

ふつうの人の住居もあります。洗濯物が干してある下を歩くと、おばさんが迷惑そうに見下ろしてきます。観光地ですが、おばさんの家の庭先でもあります。SPLIT遺跡3

旧市街の中心ペリスティル(Peristil)。列柱に囲まれた広場です。Split Peristil

隣接する前庭はかつて宮殿の玄関の位置にあったものです。ときおりコンサートが開かれます。この日は男性合唱。

Split前庭

遺跡としての規模はフォロローマより大きく、宮殿の城壁に囲まれた旧市街の中は狭い路地が迷路のように通っています。歩きまわるとアドベンチャー気分です。Split狭い路地

☆地下宮殿

スプリット旧市街の下の地下宮殿はけっこう広くて、ひんやりします。ここは有料。この中で室内楽のコンサートが開かれることもあります。筆者が行った日はマンドリン合奏で、石の壁に反響する音がなんともいえない不思議な雰囲気を醸し出していました。SPLIT地下宮殿

地下宮殿の一部が観光客向けのみやげ物店になっています。 SPLIT地下モール

☆スプリットへのアクセス

ぜひ訪れたい街なのですが、交通の便がよくないのが難点です。

ヨーロッパ主要都市からの直行便がありますが数は少ない。首都ザグレブからバスで5-7時間。クロアチアNo.1の観光地ドブロヴニクからもバスで4-5時間。イタリアから船でアクセスできるが一晩かかります。でも、時間かけてでも行く価値大です。こんな街は世界に二つとありませんからね。(⇒クロアチア観光のガイド

クロアチアを食べる

バラエティに富んだクロアチア料理のいくつかをご紹介します。

チェヴァピ。これが最もポピュラーな庶民の味です。
地域によって呼び名が微妙に変わります。
クロアチアのみならず、バルカン半島各地で食されています。
肉だんごとソーセージの中間のようなもので、ぴりっとスパイシーな味付けです。たいていのレストランにはあって、フライドポテト、オニオンなどの付け合せと出てきます。チェヴァピ

ダルマチア半島名産の生ハム。日本で食べるのより若干かため。
塩味がハムによくしみ込んでいました。
生ハム

クロアチアは周囲の国々の様々な影響を受けています。
特にアドリア海を挟んで対岸のイタリアの影響は大きいようです。
シベニクで食べたリゾット。リゾット

内陸部では、中世に影響があったハプスブルクの影響が感じられる料理が多いようです。日本にある唯一のクロアチア料理店ドブロ(東京の京橋)では主にそのような料理が供されます。
バスティツァーダ(牛ホホ肉の赤ワイン煮込み)バスティツァーダ

濃厚な味わいがすばらしいのですが、ここの料理は、現地のレストランでは高価格帯のような気がします。貴族の食べ物ということでしょうか。

 

あまり知られてませんが、ダルマチア地方はワインの名産地でもあります。確かに、バスでアドリア海沿岸を移動中に車窓の風景にブドウ畑がよくありました。Wine

コルチュラの酒店兼バーで
数種類ティスティングしました。

 

 

 

 

 

クロアチアのナショナルブランドのビール。Beer

日本と同じピルスナー。

 

 

 

 

 

 

私は食べませんでしたが、アドリア海沿岸では新鮮な海の幸を使った料理もたくさんあります。

 

港街リエカ

リエカはクロアチア最大の貿易港で、川崎市と姉妹都市になってます。Rijeka全景© 2015 クロアチア政府観光局 [Author] : Sergio Gobbo

リエカはイタリアとは目と鼻の先。(⇒地図
イタリア西端のトリエステまでバスで約1時間半です。首都ザグレブとの間にもバスが頻発しており、所要2時間15~45分です。

賑やかなメインストリート、コルゾ通りにある、街のランドマークの時計塔。リエカ1

その後ろに円形の聖ヴィード大聖堂。

街の背後の丘のトゥルサット城からは街を一望できます。リエカ2

この城はローマ時代に最初に建てられ、その後、このあたりを支配した勢力が敵の侵入を防ぐ防衛拠点として改築を繰り返しました。今は、その一部がカフェになってます。リエカ4

近くのトゥルサット聖母教会。
リエカ3

筆者は、2014年9月、アドリア海沿いのクロアチアの街を巡る旅の後、イタリアに抜ける途中にリエカに立ち寄りました。リエカは基本的にビジネスの街で観光で訪れる人は少ないですが、魅力的な街だと思います。街を歩いて、城塞に登って、カフェで食事&飲みで3~4時間というところです。

ホテルが少ない(大型が3軒、他は民宿)のが難点ですが、アドリア海沿いの街を巡る旅の合間に短時間でも立ち寄ってみてはいかがでしょうか。

クロアチア全体の旅については⇒こちらへ

世界遺産の古都、トロギール

クロアチアのアドリア海沿いに連なる美しい街のひとつ、トロギール。
ドブロヴニクやスプリットほどはメジャーでない分、観光客でごったがえしておらず、中世の古い街並みとマリンリゾートをのんびり同時に楽しめる街です。

トロギールは周りを城壁に囲まれた小さな島で、本土とは橋で結ばれています。Trogir全景© 2015 クロアチア政府観光局 [Author] : Damir Fabijanić

その街並みは「古都トロギール」として世界遺産に登録されています。トゥロギール5

本土側のバスターミナルを出て、橋を渡るとすぐに、中世ヴェネチアの影響が色濃い古い建物が密集するエリアに入ります。トゥロギール3

左右のお店をのぞきながら楽しく歩けます。
トロギールの街の中心、イヴァン・パヴォア・ドゥルギ広場に面して建つのが聖ロヴロ大聖堂。内部の装飾が見事です。トゥロギール1

塔の上からは、赤い屋根と青い海のコントラストが鮮やかに望めます。トゥロギール4

島を一周しても1キロちょっと。こじんまりしています。

ヴェネチア人が建てた砦。外敵に備えるとともに、街を見張る役割もあったとのこと。このあたりは露天の店が並んで、のんびりしたマリンリゾートの雰囲気です。トゥロギール2

アクセスはスプリットからバスで約1時間です。アドリア海沿いの街を結ぶ路線上に位置していて、平日昼間は1時間に1~2本あります。また、スプリット空港はスプリットよりトロギールの近くに位置しています。

できれば1泊して、のんびりできればよいのですが、時間がなければ、アドリア海沿いの街を巡る旅の途中下車で、1~2時間でもいいので歩いてみたい街です。

クロアチア全体の旅については⇒こちらへ

 

世界遺産の古い橋の街、モスタル

ボスニア・ヘルツェゴビナの世界遺産の街、モスタル。

16世紀に造られた美しい石の橋、スターリ・モスト(Stari Most,「古い橋」)を中心とする風情ある街です。イスラム文化とヨーロッパ文化が融合した独特のオリエンタリズムが漂います。

スターリ・モストはモスタル市内を分けているネレトヴァ川に架かっています。中心部が湾曲しており、全幅 4 m、全長 30 m 、川面からの高さは 24 m です。橋の両岸には橋を守る要塞化された塔が備えられています。%e3%82%b9%e3%82%bf%e3%83%bc%e3%83%aa%e3%83%bb%e3%83%a2%e3%82%b9%e3%83%88

時折、橋から川に飛び込む若者たちがいます。観光客向けのショウで、飛び込んだ後ろにコイン入れが置いてあります。

街中の墓地に、同じ没日付が刻まれた多数の墓石を見ると、モスタルが近年経験した悲惨な運命を思わずにはいられません。ユーゴスラヴィア分裂後の戦争中の1993年に、スターリ・モストは破壊されましたが、その後、ユネスコの協力により、2004年に再建され、世界遺産に指定されました。

橋の上から街を眺めると、石造りの家々の間にモスクと天に突き出すミナレット、背景をなす山々。昼のモスタル風景

夜になるとモスクとミナレットがライトアップされ、暗闇に浮かび上がります。夜のモスタル風景

このあたりは中世、オスマントルコの支配下だった期間が長く、その頃の建築物がたくさん残っています。そのひとつ、トルコの家。トルコの家全景

オスマントルコ時代の住居と暮らぶりを伝える、観光客向けの施設です。トルコの家の中

☆モスタルへのアクセス

ボスニア・ヘルツェゴビナの首都サラエボからバスで約2時間半。1日10便くらいあります。道中の変化に富んだ渓谷の風景が美しい。

最近、訪れる人が増えている、アドリア海沿いのメジャーな観光地ドブロヴニク(クロアチア)からバスで所要約2時間半~3時間半。1日3,4便あります。ドブロヴニクの旅行会社の日帰りツアーを利用することもできます。

アドリア海沿いは、中世の長い期間、ヴェネツィア共和国の支配下にありましたが、モスタルなどの内陸部は、オスマントルコ支配下にあって、イスラム文化が根付いています。アドリア海沿いからのバスの旅では、車窓から眺める風景の著しいコントラストを感じることができます。

モンテネグロのマリンリゾート:ブドヴァ

ヨーロッパには日本ではまだ知られていないリゾート地がたくさんあります。日本では知られてなくとも、ヨーロッパでは既にメジャーになっているところもありますが、モンテネグロのブドヴァはヨーロッパの辺境に位置し、交通の便のわるさもあって、ヨーロッパでもそれほど有名ではない。それだけに古い時代の鄙びた雰囲気を残しています。ブドヴァ海

のどかな海岸にはレストランが建ち並び、観光客で賑わっていますが、ワイキキ、ニース、リオのコパカバーナといった有名海岸のような派手さはありません。リゾートホテルやマンションの高層建物が海辺ではなく内陸に入ったところにあって目立たないのがいい。

海に突き出した旧市街はドブロヴニクのミニ版といった感じ。ブドヴァ全景

旧市街の建築物の大半は、中世の約400年間ここを支配したヴェネツィア共和国時代のもの。狭い路地には風情があります。ブドヴァ路地

旧ユーゴスラヴィアが分裂してできた国のひとつモンテネグロは、EUに入ってないのに通貨を€にするなど、西欧に近づきたく仕方ない。ほぼ完ぺきに英語が通じるなど、海外観光客の誘致にやっきになっているのがわかります。

アクセスは首都ポドゴリツィアからバス、または、クロアチアのドブロヴニクからバスです。このあたりは、夏のバカンス時期には渋滞がひどくなり、時刻表通りには運行されないのでご注意を。

バスターミナルから海岸に出るまで徒歩10~15分、旧市街まではさらに徒歩10分くらいです。