「旧ユーゴスラビアの国々」カテゴリーアーカイブ

クロアチアの天空の村、モトブン

クロアチアの天空の村モトブン(Motovun)。
2019年7月、トリュフの森とブドウ畑に囲まれた丘の上に、中世から時が止まったような建物が密集する不思議な世界を訪れました。(⇒地図

☆モトブンを歩く

丘の頂上にそびえる聖ステパノ教会。Motovun聖ステパノ教会

教会を取り巻く城壁の上をぐるっと歩いて一周することができます。Motovun城壁散歩道

丘の斜面に古い建物が建ち並ぶ。Motovun斜面の街並み

バスを降りて頂上に向かう村のメインストリート。建物は13~16世紀のままですが、今はレストランやみやげ物店になっています。Motovunメインストリート

開放的な青果店。Motovun青果店

門をくぐると見晴の良い広場に出ます。頂上の聖ステパノ教会のすぐ下で、ここが村の中心です。Motovun門とテラス

門に彫られた獅子の紋章は、ここが中世ベネチア共和国の支配下にあったことを示しています。Motovunベネチアの獅子

☆モトブンでワインを楽しむ

日本にはほとんど入ってきてませんが、モトブンがあるイストラ半島はワインの名産地として知られています。モトブンには地元産のワインを売る店、テイスティングさせてくれる店がいくつもあります。

そのひとつ、村の中心のテラスの広場にあるFakin。MotovunFakin

丘の周囲の景色を眺めながら飲むワインは最高です。Motovunワイン

☆モトブンでトリュフを楽しむ

モトブンがあるイストラ半島はトリュフの里としても知られています。モトブンを取り巻く森の中でトリュフ狩りができるツアーもあります。

モトブンの城壁から見下ろすリヴァデ(Livade)の村。小さな村ですが、トリュフ狩りの拠点になっています。Livade全景

トリュフの試食ができる店もあります。トリュフチョコなどのみやげ物も売っています。Livadeトリュフ

☆モトブンへの行き方

公共交通機関で行くのはかなり難しいです。

地球の歩き方には、ポレチュ(Porec)、ロヴィニュ(Rovinj)などの海沿いのリゾートタウンから直通バスがある旨書かれていましたが、実際に行ってみるとありませんでした。

クロアチアの首都ザグレブからは、近くの比較的大きな街パズィン(Pazin)までバスで行って、乗り換えてモトブンに行くという案内がされていることが多いですが、クロアチアのバスのサイト(⇒こちらへ)を検索しても、筆者が旅行している期間にはみつかりませんでした。

モトブンの観光案内所にメールで問い合わせたところ、学校が休みの時期はバスが少なくなるという返事がありましたが、少なくなるだけでなく、全くみつからなかったのです。

モトブンにあるホテル(Guesthouse Villa Marija)に問い合わせてパズィンから送迎してくれないかと頼んでみたところ、40€(≒¥5,000)と言われました。

そこで筆者はポレチュからのツアーで行きました。Motovunツアーバス

9:00にポレチュのバスターミナルを出発し、1時間弱でモトブンの丘の下に到着し、村の入り口に向かうシャトルバスに乗り換え。Motovunシャトルバス

ガイドの案内で頂上の聖ステパノ教会まで登り、50分ほど城壁を一周した後、フリータイムが1時間40分ありました。

その後、モトブンの丘のすぐ下にあるリヴァデ(Livade)でトリュフの試食&ワイン1杯。

同じ道を戻ってポレチュに13:40着。ツアー料金は280Kn(≒¥4,800)でした。

短時間の滞在ではあまりにもったいないモトブンですから、ぜひ1泊したいところです。丘の上にホテル、民宿は数軒あります。そのためには、レンタカーを借りるか、人数を集めてタクシーをチャーターすることが必要になります。

自転車という手もありますが、モトブンなどイストラ半島内部は丘を登ったり下りたりの連続ですので、かなりきつそうです。

モトブンは旅行ガイドにはほとんど紹介されていないため、日本から訪れる人は少ないですが、中世の街並み、村を取り巻く緑の森を丘を見下ろしながら飲むワインなど魅力たっぷりです。ぜひ多くの人に訪れてほしいと願って、この記事を書きました。

 

 

混んでないスロベニアのアルプスでのんびり

ヨーロッパを南北に分かつアルプス山脈。スイスやフランスのアルペンリゾートが有名ですが、ハイシーズンには混み合って、ホテル宿泊費が高騰します。もう少しすいていて、ひなびた雰囲気のリゾート地で、山を眺めてのんびりしたいという方のために、筆者が訪れた、アルプスの東の端、スロベニアの穴場アルペンリゾートをご紹介します。(⇒地図

☆ボーヒン湖(Bohinjsko jezero)

スロベニアNo.1の観光地ブレッド湖から30kmアルプスの奥まったところにあるボーヒン湖は、エメラルドグリーン水をたたえ、周囲の山々が湖面に映る、幻想的な美しさです。Sloveniaボーヒン湖面

ボーヒン湖は、ガイド本によってはボヒニュ湖と表記してあることもあります。

ボーヒン湖を観光する拠点は、湖畔の小さな村リブチェフ・ラズ(Ribcev Laz)です。リブリアーナやブレッド湖からのバスはここに最初に停車します。ホテルが数軒の他にアパートメントもいくつかあり、観光案内所もここのバス停すぐ近くです。BohinjRibcevLaz

天気が良い時の山と湖の眺めはすばらしいのですが、朝霧に覆われた村も風情があります。昔の登山家の像があります。Bohinj朝霧

ここからボーヒン湖の南岸をさらに奥に進み、ゴンドラで登った先がボーゲル・スキーセンター。スキーシーズンには賑わうのでしょうが、夏はそんなに混み合いません。Sloveniaボーヒン湖ゴンドラ

ゴンドラで登った先の絶景!
これを眺めながら飲食できるレストランもあります。Bohinjフォーゲル

さらに奥に進んだバスの終点がサヴィツァ(Savica)。バスを降りてさらに30分ほど歩くと、落差78mのサヴィツァの滝があります。Bohinjサヴィツァ滝

ボーヒン湖畔には遊歩道が整備されています。リブチェフ・ラズの周りの湖畔の草原にはところどころにベンチが置かれていて、気持ちの良い散歩道です。Sloveniaボーヒン湖の草原

歩いて15分くらいの隣村スターラ・フジナ(Stara Fuzina)はさらにひなびていて、いかにもヨーロッパに田舎に来た!気分を満喫できます。Bohinjスターラフジナ

☆ボーヒン湖への行き方

スロベニアの首都リブリアーナからバスで約2時間です。バスはブレッド湖を経由します。

鉄道駅もありますが、駅から湖畔のリブチェフ・ラズまで6km離れていて、バス(多くはリブリアーナから来る)に乗ることなりますから、最初からバスで行くほうがいいでしょう。

☆クラニュスカ・ゴラ(Kranjska gora)

もうひとつご紹介したいクラニュスカ・ゴラは、スロベニアの代表的なアルペンリゾートで、西のイタリア、北のオーストリアとの国境近くにあります。ブレッド湖からさらに北にあり、ブレッド湖をはさんでボーヒン湖とは反対側になります。

クラニュスカ・ゴラの村のバス停を降りて、川沿いに20分くらい歩いたところにあるヤスナ湖(Jezero Jasna)。Sloveniaクラニュスカゴラ

アルプスの真っただ中なのは、ボーヒン湖と同様ですが、高い山々がより身近に迫ってくる感じです。

☆クラニュスカ・ゴラへの行き方

首都リブリアーナから1時間に1本くらい出ているバスが便利です。所要2時間くらいです。

列車本数は少ないものの、オーストリアからのアクセスもあります。ウィーン⇒(鉄道で4時間半)⇒フィーラッハ⇒(鉄道で50分)⇒イェセニツェ⇒(バスで30分)⇒クラニュスカ・ゴラ

スロベニアは旧ユーゴスラビアが分かれてできた国のひとつで、中央ヨーロッパから近く、アクセスも良いのですが、まだメジャーになってない穴場の観光地がいくつかあります。

スロベニアだけを1週間か10日かけてまわっても、ここで紹介しましたアルペンリゾートなど美しい自然に囲まれた街や村のいくつかに滞在できますが、ウィーン(オーストリア)やベネチア(イタリア)を訪れたついでに、スロベニアまで足を伸ばしてみるのもいいでしょう。

サラエボ~第一次世界大戦勃発の地

1914年、第一次世界大戦はここから始まった。

ボスニア・ヘルツェゴヴィナの首都サラエボを、そのちょうど100年後の5月に訪れた。

オーストリア皇太子暗殺現場は、観光客が集まるサラエボの街の中心近くにある。暗殺現場

隣接する建物は博物館になっている。

ここは旧ユーゴスラヴィア分裂の際の激しい戦闘が行われたところでもある。今は落ち着いた佇まいの街だが、ところどころの建物に銃弾の跡が残る。空港から乗ったタクシーの運ちゃんが頼みもしないのに案内してくれた。 街の佇まい

バルカン半島の内陸部は中世の長い期間、オスマントルコの支配下にあったため、イスラム色が強い。最近、観光地化しつつあるアドリア海沿いの街とは趣きが異なる。

街の中心にはモスクとミナレットがそびえる。このあたりは西欧とトルコの混ざり合った街並みで、楽しく街歩きできる。 広場

サラエボは首都でありながら、さほど大きな街ではない。空港、駅は日本の地方都市みたいな雰囲気がする。空港から街までは公共交通機関がなく、タクシーを使うしかない。ヨーロッパの国の首都では珍しい。

戦争後にできた高層ビルの展望台から眺めるサラエボ市街。

全景

サラエボは1984年の冬のオリンピック開催地でもある。

アクセスはヨーロッパの主要空港からのフライトになるが、便数は少ない。旧ユーゴの首都ベオグラード、アドリア海沿いの街からのバス、鉄道のアクセスもあるが、長時間かかるうえに1日1,2便しかないので、かなり不便。

それだけに、サラエボは観光地化がなかなか進まず、戦争の爪痕ともに、古い街並みを留めてくれている。

東ヨーロッパへお出かけの際は立ち寄ってみてはいかがだろうか。

大自然の奇跡、プリトヴィツェを歩く

クロアチアの世界遺産プリトヴィツェ(Plitvice)は大自然の奇跡。

緑の山々にかこまれたエメラルドグリーンの湖が階段状に連なり、その間を滝が流れ落ちる。このような場所は世界に例がないでしょう。プリトィヴィツェ1

湖畔に整備された遊歩道を歩くと、大自然まっただ中の気分を味わえます。 Plitivicka道

いちばん落差の大きいヴェリキ滝にむかう道。Plitivickaヴェリキ滝へ向かう道

滝壺すぐ近くまで来られます。ヴェリキ滝

案内標識はわかりやすく道に迷うことはありません。Plitvicka案内標識

滝の水しぶきを浴びながら歩くところもあります。Plitivicka水しぶきを浴びる道

軽食からレストランまで飲食施設も充実しています。

☆プリトヴィツェを歩くプランニング

入口で入場料を払って公園に入ります。2019年7月時点で250Kn(≒¥4200)でした。時期によって、入場時間によって安くなります。入口では地図をもらえます。

入口は2つあり、入口2(ザグレブからは遠いほう)には荷物預けがあります。ホテルは入口2のほうにあり、飲食施設も入口2のほうがたくさんあります。

公園内は広く、よほどの健脚でない限り、原則30分ごとに運行されているエコロジーバスと遊覧船を組み合わせたほうがいいでしょう。Plitivicka遊覧船

ピーク時間帯には長蛇の列ができますが、運行頻度を上げてくれることもあります。

ガイド本にはモデルコースが所要時間とともに紹介されていますが、所要時間はバスと船でどれだけ待たされるかによって大きく違ってくるので、あてにしないほうがいいでしょう。

公園西側(入口2から見て左手)が標高の高い上湖群、入口1に近いほうが下湖群です。

PlitivickaMap

(出典:Discoverplitvice.com)

時間が限られている方はどちらに行くか迷われるかもしれませんが、優美な滝が多く、遊歩道の高低差がより小さいのが上湖群、大自然のダイナミックさを味わえるのが下湖群です。

筆者が1日あればこんなプランにします。これで公園内の見どころをほぼすべてをまわれます。

入口2⇒(バス)⇒入口1⇒(歩き)⇒ヴェリキ滝⇒(歩き)⇒船乗り場P3⇒(船)⇒船乗り場P2⇒(歩き)⇒上湖群のバス乗り場ST3⇒(バス)⇒入口2

2019年7月に筆者が実際に行ったときは、ザグレブから11時に到着し、入場は12時、17:00のザダル行バスに乗らなければならなかったので、以前に歩いている上湖群は途中までにしてP2に戻りました。P2からP1(入口2)は短い船旅でした。

☆いつプリトヴィツェへ行くか

公園が7:00から20:00まで開いている夏季で、かつ、あまり暑すぎない時期がお薦めです。ほとんどが屋外なので、日差しが強く暑い日は歩くのがつらいです。ベストは春の終わりから初夏、夏の終わりから秋ということです。

いつからいつまでが夏季になるかは年によって変わりますので、プリトヴィツェ湖群国立公園の公式サイトでご確認ください。日本語はありませんが、必要な情報がすべてそろっています。

冬は開いている時間が短いうえに、積雪が多い日には公園が閉鎖されることもあります。雪が残っていると足元が危ないので、冬にプリトヴィツェへ出かけられるのはお薦めできません。

季節とともに時間帯も考慮したほうがいいでしょう。

プリトヴィツェはヨーロッパで人気の観光スポットなので、大勢の観光客が訪れます。入口からエコロジーバスに乗ろうとしても2時間待ちだったり、湖の遊覧船に長蛇の列ができたりします。

混んでいると、入場時間を制限されることもあります。11時前にチケットを買ったのに、入場は12時からといったことです。

待ち行列は午後の時間が遅くなるほど短くなりますので、正午ころ到着して、終バスまでいるか、近くに泊って朝いちで来て、混雑がピークに達する昼頃にランチを食べて帰るかが混雑を避けるコツです。帰りがザグレブであれば午後プランのほうが多く時間を取れます。

☆プリトヴィツェへの行き方

いちばん手軽に行くにはザグレブからの日帰りツアーです。ツアーに申し込んで、朝、所定の集合場所に行って、バスに乗れば片道2時間弱でプリトヴィツェまで連れていってくれます。

日帰りツアーの欠点は、観光客で混み合うピーク時間帯にプリトヴィツェを歩くことになることです。日によっては公園内を移動するバスや遊覧船が1時間以上待ちになることもあります。多くのツアーはザグレブ帰着時間が早めに設定されており、すいてくる午後の早い時間に帰りのバスに乗り込まなければなりません。

個人での行き方ですが、プリトヴィツェはスプリット、サダルなどのアドリア海沿いの街、または、首都ザグレブからのバスになります。

ザグレブからのバスは1日十数便あり、所要2時間~2時間半です。  ⇒バスの時刻表
複数のバス会社が運行してますので、往復チケットを買ってしまうと、帰りに乗るバスが限定されてしまうので要注意です。

ザグレブのバスターミナルは街の中心街から少し離れた場所にありますので、トラムの利用が便利です。
⇒ ザグレブのバスターミナル

プリトヴィツェにはバスターミナルはないので、2つある公園入口近くのバス停でバスを待ち、ドライバーからチケットを買って乗ります。

☆プリトヴィツェで泊るか?

プリトヴィツェには宿泊施設が数軒あるので、到着日に泊まると、翌朝、日帰り客が来ない早い時間から公園内を歩けるのが魅力です。

足腰に自信がない方、美しい大自然の中で長い時間のんびりしたい方も1泊して、2日に分けて歩くのもいいでしょう。

但し、暗くなってからのレジャー施設は何もないので、大自然に抱かれて寝る以外の楽しみは期待できません。

☆お薦めの行き方

筆者のお薦めは、クロアチア国内を移動する行程中にプリトヴィツェを組み込むことです。ザグレブなどの街から1日でプリトヴィツェを往復するのは時間の無駄でしょう。

プリトヴィツェはスプリット、サダルなどのアドリア海沿いの街と首都ザグレブの間にあるので、その間を移動する日を1日設けて、その日をプリトヴィツェ観光にあてるのです。

例えば、スプリット発7:00のバスでプリトヴィツェに10:30着。ザグレブに行く終バスの18:40までプリトヴィツェを楽しめます。前日がプリトヴィツェにより近いザダル泊であれば、出発時刻はさらに遅く、到着時間は早くできます。

前日にザグレブ泊であれば、ザグレブ発6:30のバスでプリトヴィツェに8:50着。まだすいている時間に歩き始め、激混みになる正午前後はランチを食べてのんびりし、17:00発のバスでザダルへ向かう。

どちらにしても当日は早起きが必要ですが、長い時間バスで過ごし、混み合うプリトヴィツェに短時間しかいられないよりいいと思います。

クロアチア全体の旅については⇒こちらへ

アルプスの瞳、ブレッド湖

あまりに美しい!
ブレッド湖はスロベニアの山ふところにあって、アルプスの瞳と呼ばれています。まだ日本ではあまり知られていませんが、ヨーロッパでは既にメジャーな観光地で、絵のような景色を楽しめます。

スロベニアは旧ユーゴスラヴィアが1990年代に分裂してできた国のひとつで、西にイタリア、北にオーストリアと接しています。(⇒地図

旧ユーゴの時代には多民族を束ねていたチトー大統領の別荘がブレッド湖の湖畔にあり、ヨーロッパ歴訪中の昭和の天皇陛下もここに宿泊されました。今は一般人でも泊まれる高級ホテルになっています。

☆ブレッド湖でなにをする?

基本的に美しい景色を眺めてのんびりするところです。

ブレッド湖に浮かぶ小島には手漕ぎのボートでアクセス。船着き場から階段を登ったところに教会があって、時折、コンサートが行われます。   スロベニアブレッド湖1

湖面から100mの断崖の上に建つブレッド城。  Bled城

汗だくなって歩いて登った先では、すばらしい眺めを楽しめます。 ビールがうまい!スロベニアブレッド湖2

湖畔にはホテルがたくさんあります。dig

泊らなくてもレイクビューのテラスで飲んだり食べたりも楽しめます。

朝夕に湖畔の遊歩道をのんびり散策するのは気持ちいいです。 湖面をゆったり滑るような水鳥たちを観ていると、 日頃の万事ハイペースな日常をしばし忘却の彼方に追いやることができます。ブレッド湖の水鳥

湖畔に宿泊施設が豊富にあります。 バスターミナルから徒歩3分の☆☆☆ホテルの湖とお城が見える部屋が9,100円でした(2013年6月)が、2019年7月に再び訪れた際には、値段はかなり上がっているようでした。

☆ブレッド湖へのアクセス

首都リブリャーナの鉄道駅前のバスターミナルからバスが1時間に1本以上運行されていて、ブレッド湖まで所要約1時間半です。

オーストリア南部のフィーラッハとリブリャーナを結ぶ幹線上にあるので、鉄道でもアクセスできますが、鉄道駅(Lesce-Bled)からブレッド湖までは4kmほど離れていて、駅からバスに乗らなければなりません。

イタリアのヴェネチアからゴリツァを経てブレッド湖の西岸にある駅Bled-Jezeroに向かう鉄道は絶景路線です。Bled-Jezero駅からブレッド湖のホテルが集まっているエリアまでは、湖畔の道を2.5kmほど歩くことになります。

☆お薦め!
ブレッド湖を起点にしたアルプス巡り

既にメジャーな観光地となったブレッド湖のほとりには、高級ホテルから安宿までたくさんの宿泊施設、レストランがありますので、ここを起点に、美しいユリアンアルプスの小さな村めぐりをしてみるのはいかがでしょうか。

これはブレッド湖から30km(バスで約40分)ほどのボーヒン湖。Bohinjフォーゲル

ぜひ多くの人に訪れてほしいリゾート地です。

クロアチア個人旅行ガイド

最近、人気上昇中の観光地、クロアチアは旧ユーゴスラヴィアが分裂してできた国のひとつで、アドリア海をはさんでイタリアの反対側にあります。⇒地図

クロアチアは鄙びた雰囲気が残る一方で、建国以来、観光に力を入れていて、英語がよく通じ、WiFiの整備が進むなど、個人旅行しやすい国です。

ユーゴスラヴィアの時代から何度か訪れている筆者の経験から、クロアチアの魅力と個人旅行のコツをご紹介します。

1.クロアチアの魅力

はずせない観光スポットは次の3つです。

①アドリア海の真珠ドブロヴニクドブロヴニク全景

城壁に囲まれた中世の街並みがすばらしい。城壁の上をぐるっと歩くと、海の青と屋根の赤褐色の見事なコントラストを味わえます。ドブロヴニク街

ヨーロッパでは超人気のリゾートで、夏のメインストリートは観光客でごったがえします。

②大自然の奇跡プレトヴィツェ

湖が階段状に連なり、その間を滝が流れ落ちる。自然が織りなすダイナミックな風景の中を歩きます。ボートから楽しむこともできます。
(⇒詳しくはこちらへPlitivicka下湖全景

③古代と現代が同居する不思議な街スプリット

古代遺跡の上に現代の街があって、人が普通に暮らしている。世界中にここしかない珍しい街です。(⇒詳しくはこちらへスプリット

この3つ以外では、
アドリア海沿いに中世の雰囲気を残したすてきな街がいくつかあります。Rovinj全景

シベニク、トロギールなどは、ザグレブからドブロブニクに移動する途中にありますので、日程に合わせて1つ2つ立ち寄るだけでもいいでしょう。(詳しくは⇒こちらへ

旅の起点になるザグレブはこじんまりしたクロアチアの首都です。観るべきところはさほど多くないので、旅の最初か最後に半日か1日くらいで十分でしょう。

2. クロアチアへの行き方

日本からクロアチアへの直行便はありませんので、ヨーロッパ主要都市(ロンドン、パリ、フランクフルトなど)で乗継になります。

便数の多さ、価格を考えると中東(ドバイ、ドーハ)、イスタンブール経由で行くこともできます。2019年5月時点で行きはすべて夜行便で、深夜に日本を出発すると、翌日のお昼前後にザグレブに着きます。

1年を通してフライト数が最も多いのが首都ザグレブです。夏はドブロヴニクへのフライトも多くなりますが、ヨーロッパ屈指の観光地だけあって混み合い、したがって値段も高くなります。

クロアチアの西の国境の先はイタリアで、ベネチア、トリエステから船、バスでクロアチアに入ることもできます。

イタリアの西端トリエステからクロアチアのマリンリゾート、ポレチュ(Porec)まで昼の運行で、2時間弱で行きます。クロアチアに行く船

対岸のイタリアからアドリア海を船で渡るという行き方もあります。イタリアのバーリ、アンコーナからドブロヴニク、スプリット、サダル、リエカまで、ほとんどが夜行便です。

3.クロアチア国内の移動手段

主にバスです。クロアチアの鉄道は貨物輸送が中心で旅客ではほとんど使われません。ザグレブ⇔ドブロヴニクはフライトもあります。

主要幹線道路はきちっと舗装されていて、車窓からのながめを楽しみながら快適に移動できます。長距離になると途中で休憩してくれます。軽食喫茶があったり、売店で食べ物も買えます。

WiFiが使えるバスが増えています。WifiBus

アドリア海沿いを行く時には海側の席を取ることをお薦めします。車窓からの眺めがきれいです。

4.旅のプランニング

 クロアチアの観光スポット間の距離が離れているので、一都市に滞在して、そこを起点に複数の観光地を往復するというスタイルにはできません。

ドブロヴニクに到着し、国内を移動しながら観光して最後のザグレブから帰る、またはその逆がお薦めです。行きも帰りも同じ都市にすると移動距離が長くなり、バスに乗っている時間が長くなって、街を観光する時間が少なくなってしまいます。

これまでご紹介した観光地では路線バスがたくさんありますが、いなかの小さな村では、少ない、または、全くないこともあります。そんな時は近くの比較的大きな街からのツアーに参加するのも選択肢になります。

筆者は、イストラ半島内部のトリュフの森とブドウ畑に囲まれた中世の村モトブン(Motovun)へは、ポレチュ(Porec)からのツアーで行きました。Motovun全景

 

5.クロアチアで泊る

クロアチアの観光地では高級ホテルから民宿まで豊富にあります。観光地でない街では逆にホテルが少なく、当日探すと苦労することがあります。

日本で予約サイトや旅行会社で予約していってもいいですし、現地に着いてから観光案内所で、または、ホテルのフロントで直接きいてみてもいいです。

但し、観光客であふれる夏のアドリア海沿いの街(特にドブロヴニク)は予約必須です。

街中でときどき見かける民宿の看板。
「部屋あります」という意味です。民宿の看板

 

 

 

 

 

クロアチアの街はすべてコンパクトにできています。街の観光スポットをまわるのに地下鉄や路線バスを使うことはほとんどありません。

そこで、泊る場所は街の中心地にすることをお薦めします。どの街にも街のヘソのような広場がありますので、その近くがベストです。夜、ライトアップされた歴史的建造物を観にふらっと出かけられたり、早朝の観光客がいない時間に静寂の中で街歩きできるのが魅力です。Zadar夜

 

6. おいしいクロアチア

クロアチアの海岸部はベネチア共和国に領土だった期間が長く、内陸部はオスマントルコとハプスブルク帝国の勢力がせめぎ合ってきたことから、いくつかの文化的背景を持った料理が今も食べられています。

詳しくは⇒こちらへ

以上いかがでしたでしょうか。日に日に観光地化が進むクロアチアですから、鄙びた雰囲気を味わいたいなら、お早めにお出かけになることをお薦めします。

スコピエ:北マケドニアの不思議な首都

北マケドニアの首都、スコピエ。
筆者は2017年5月に、このなんとも不思議な街を訪れました。東方キリスト正教、イスラム教の両宗教に、社会主義の遺物が混ざり合い、たくさんの彫像が鎮座しています。

☆スコピエの街全体を見渡す

旧市街の丘の上に11世紀に築かれた城塞跡。Skopje城塞

城壁はところどころで途切れており、歩道の整備がされていないので、快適な散歩道とはいきませんが、ここからスコピエの街を見下ろすことができます。Skopje城壁の上

ヴァルダル川にかかる石橋(カメン・モスト)の向こう側が新市街です。Skopje石橋とマケドニア広場

☆イスラムのスコピエ

スコピエの旧市街はオリエンタルな雰囲気が漂います。Skopje old town street

中世時代に長らくスコピエを支配したトルコの影響が感じられます。今も多くのトルコ系の住民が暮らしています。

旧市街の丘の上に建つモスク「ムスタファ・バシナ・ジャミーヤ」。城塞への入り口の向かいにあります。Skopjeモスク2

Skopjeモスク内部

旧市街入口近くのMurat Pashaモスク。夜はなんとも言えない風情があります。Skopje夜のモスク

☆東方正教のスコピエ

スコピエにはキリスト教の教会もいくつかあります。
これは聖スパス(Saint Saiviour)教会。 Skopje教会の塔

東方正教会の特徴であるイコノスタス(教会史上の出来事を画いた画像=イコンがはめこまれた壁)。

この壁を隔てて、手前は信者が集うエリア、向こうが聖職者が儀式を行う「至聖所」と呼ばれるエリアになります。ここの木彫はみごとです。Skopje教会内部

同じキリスト教でも、東方正教はカトリックやプロテスタントとはずいぶんと違います。ミサをのぞいてみるとよくわかります。密教の儀式みたいです。

☆社会主義の残滓

社会主義時代に建てられた、のっぺりして無機質な建物をスコピエのあちこちで見かけます。街の中心には巨大で威圧的な建物も。これは現在、考古学博物館として使われています。 Skopje博物館

☆彫像ワンダーランド

マケドニアは1991年、ユーゴスラビアから独立すると、首都スコピエに過去の偉人たちの巨大な彫像を作り始めました。

主役アレクサンダー大王は街の中心マケドニア広場に鎮座します。Macedonia Alexander statue

街中いたるところ彫像だらけです。Macedonia statues
これは宗教上の偉い人でしょうか。Skopje宗教的な彫像

橋の上にもたくさんいます。Skopje橋の上の彫像

いかなる由縁があるのでしょうか? Skopjeライオン像

とにかくおもしろい!

☆夜景が美しいスコピエ

スコピエの中心を流れるヴァルダル川やマケドニア広場の周辺は建物がライトアップされてきれいです。夜遅くまで人通りが絶えません。

石橋と城塞Skopje夜の橋&城塞

アレクサンダー大王Macedonia Alexander statue night

オペラ&バレエ劇場前Skopje夜の劇場前

考古学博物館と石橋。Skopje夜の博物館

☆スコピエのどこに泊るか

観光に力を入れているだけあって、多種多様な宿泊施設があります。夜も含めた街歩きのためには、マケドニア広場の周辺がお薦めです。

5つ☆の高級ホテルから安宿までいくつもあります。ビルの一部のフロアだけを宿泊施設にしているところは、入口を見つけにくいので、予約の時に確認しましょう。

ヴァルダル川に浮かぶ船を模したホテル&レストラン。Skopje船ホテル

おもしろそうなので泊ってみました。最初からホテル&レストランとして造られたそうです。1泊朝食付きで55€。甲板で川を渡る風を感じながら食事ができます。ひとつ下の階の船室はバーになっています。マケドニア広場から歩いて2分です。

コーランが流れるオリエンタルな雰囲気がお好みであれば、旧市街の中にも、数は多くないもののホテルがあります。

☆スコピエへのアクセス

北マケドニアへのアクセスについては
こちらへ

スコピエの鉄道駅とバスターミナルはマケドニア広場から歩いて約20分です。荷物が重い時は路線バスを使ったほうがいいでしょう。

ただし、バス停の表示はキリル文字だけなので、目的地に向かう路線の番号をあらかじめホテルやツーリストインフォメーションできいておきましょう。

空港とスコピエの街の間はバスで約30分ですが、本数が少ないので、あらかじめ時刻表を確認しておく必要があります。スコピエ空港のHPに出ています。⇒こちらへ

この記事が東欧の不思議な街を楽しむ一助になってくれたらうれしいです。

 

 

モンテネグロの城塞都市、コトル

モンテネグロの海辺の古い街コトルは、山と海と中世の雰囲気を同時に味わえる魅力的な街です。日本では知られていない隠れた世界の名所を紹介するこのサイトで取り上げるのにふさわしい街です。

モンテネグロと言うと、なんだか最果ての地のような響きもしますが、アクセスはさほど難しくありません。

☆モンテネグロってどこ?

モンテネグロは旧ユーゴスラビアが分裂してできた国のひとつで、クロアチアの南、アドリア海をはさんでイタリアの反対側にある国です。

海岸線は対岸のイタリア半島とは対照的にリアス式海岸で、山が迫る陸地に深く湾が入り込んでいます。三陸海岸をさらに複雑にした感じと言えばわかりますかね。

最近、モンテネグロは国を挙げて観光地化を図っており、EUに入ってないのに、なぜか通貨は€です。

☆コトルの城壁を登る

コトルは湾の最奥に位置し、中世のベネチア共和国によって築かれた城壁に囲まれた小さな街で、ユネスコの世界遺産に登録されています。

城壁に囲まれた中世の雰囲気が残る街なら、ヨーロッパ中にたくさんあるのですが、ここの見ものは背後にそびえ立つ山の急斜面に築かれた城壁と、そこを登った先から見る絶景です。コトル山の城壁

かなり急ですが、石段が敷かれていていて歩きやすい。普通のスニーカーでもOK。コトル山道

 

 

 

登っていくにつれて、眼下に絶景が広がってきます。赤い屋根の街並みと青い海のコントラストが織りなす絶景に息をのみます。コトル全景o

☆中世の街、コトル

コトルは中世ベネチア共和国の支配下にあった期間が長く、旧市街の古い建物にもベネチアの影響が見られます。狭い路地が多く、車が入ってきにくい分、静寂に包まれ、街歩きを楽しめます。コトル街中o

路地の先に突然、小さな広場と教会があらわれます。コトル教会2

☆コトルで泊る

コトル周辺の湾に沿った道路沿いにも安い宿泊施設はありますが、ここはぜひ、城壁に囲まれたコトルの旧市街の中で宿泊されることをお薦めします。高級ホテルから民宿までそろっています。暗くなってからの、街のしっとりした雰囲気を味わえます。

☆コトルへのアクセス

国境を越えたクロアチアの人気リゾート地ドブロヴニクからが便利です。日帰りツアーで訪れる人が多い。ドブロヴニクとの間の路線バスは1日3~4便ありますが、国境でのパスポートコントロールに時間がかかり、混んでいると時刻表に記載より所要時間は長くなります。2時間半から3時間くらいです。
首都ポドゴリツィアからバスで訪れることもできます。