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モロッコ個人旅行徹底ガイド

モロッコは、アフリカの西の果てにありながら、日本から最も気軽に観光できるイスラム国です。イスラム教の規律が比較的緩く、国が観光に力を入れているので、交通機関、宿泊施設などの観光インフラが整っています。

ここでは、モロッコの魅力とともに、日本からのパックツアーに入らず、個人でホテルや交通手段を手配して観光するコツをご紹介します。

☆モロッコの観光地

まずは、モロッコの代表的な観光地をご紹介しましょう。

① モロッコの縮図マラケシュ

モロッコ旅の魅力のひとつは、歴史ある街のメディナ(旧市街)を歩くことです。中世の時代に形造られ、今も人が普通に暮らしています。

マラケシュ(Marrakech)にはモロッコ最大のメディナがあり、まるごと世界遺産になっています。メディナの中に網の目のように広がる商業地区スークには、狭い道の両側に所狭しと様々な店が並びます。Marrakechスーク

マラケシュの中心ジャマ・エル・フナ広場(通称、フナ広場)は、夜になると多くの屋台が開き、大道芸人のパフォーマンスを大勢の人が取り囲みます。連日連夜のパーティです。夜のフナ広場

② 迷宮都市フェズ

城壁に囲まれた巨大迷路です。Fezカラウィンモスクの塔
詳しくは⇒こちらへ

③ サハラ砂漠

アフリカの3分の1を占めるサハラ砂漠に最も手軽に個人でアクセスできるのがモロッコです。どこまでも続く砂山の世界に大自然の神秘を感じます。Moroccoサハラ砂漠ラクダの列

砂漠の中のテントに泊まり、たきぎを囲んで地元のベルベル人の奏でる音楽を聴くのは得難い経験です。
詳しくは⇒こちらへ

④ 砂漠近くの要塞都市

モロッコの地中海に近い地方の風景はヨーロッパとさほど変わりませんが、モロッコの中央を走るアトラス山脈を越えると、そこは別世界。南から砂漠が迫る荒涼とした世界が広がります。ここに城壁に囲まれた要塞が点在します。

その代表が世界遺産になっているアイト・ベン・ハッドゥ(Ait Ben Haddou)。Moroccoアイトベンハッドゥ遠景

マラケシュからのサハラ砂漠ツアーでは必ず立ち寄ります。

⑤ 青いメルヘンな街シャウエン

シャウエンは街中が青で染められた不思議な街です。シャウエン全景
詳しくは⇒こちらへ

その他、筆者は訪れていませんが、
・メクネス(Meknes):フェズの近くの古都。
・メクネス近くの古代ローマ遺跡:ヴォルビリス(Volubilis)
・南部の港町エッサウィラ
などがあります。

☆イスラム建築を愛でる

モロッコ各地に数多く残るイスラム教関係の施設を訪れ、細部まで精巧な装飾が施された芸術的な建築物を観て、エキゾチックな雰囲気に浸ることができます。

イスラム教徒以外はモスクに立ち入ることはできませんが、入口から中の建築物をちら見することはできます。
これはフェズ最大のカラウィン・モスク。Fezカラウィンモスク

神学校ならイスラム教徒でなくても入れます。フェズのブー・イナキア・マドラサの壁面の幾何学模様のモザイクがすばらしい。Fesブーイナニアマドラサ

 ☆モロッコを食べる

モロッコ人がほとんど毎日食べている代表的な料理のタジンは、三角錐のフタをして弱火で牛肉、野菜、ラムなどの様々な具材を煮込んだ料理です。街中のレストランでパンやポテトの付け合せと共に供されます。値段は50DH(≒580円)くらいからあります。↓これは肉のタジン。Morocco肉タジン

モロッコ料理というより北アフリカ料理と言ってよいクスクス。小麦を蒸した上に様々な具材がのっています。スパイスによってかなり味が変わります。↓これは野菜クスクス。Morocco野菜クスクス

これも北アフリカやアラブ、トルコ系の国々で広く食べられているケバブ。↓付け合せにモロカンサラダ(モロッコ風サラダ) Moroccoケバブとモロカンサラダ

観光で訪れるモロッコの主要都市にはたくさんのレストランがありますが、モロッコ料理として出されるメニューのバリエーションはさほど多くありません。メインはクスクス、タジンが数種類づつ、ケバブ、モロカンサラダ、スープなど。

筆者のお薦めは、建物の上層階のテラス席のレストランで街の景色や行き交う人々を眺めながら食べることです。特にメディナにはたくさんあります。眺めが良い分、少しばかりお値段高めですが、そもそもの物価が安いので違いは100~200円程度です。

フェズのメディナ入口のブー・ジュルード門の目の前には数軒のテラス席レストランがあります。Fezテラス席レストラン

シャウエンの中心ウタ・エル・ハマム広場を見下ろすテラスのレストランです。シャウエンテラス席のレストラン

☆リヤドに泊る

リヤドとは「中庭のある邸宅」を意味するアラビア語で、今では「伝統ある中庭付きの邸宅をリノベーションした宿」という意味合いです。リヤドに泊れば、昔の富裕層の暮らしを実感でき、モロッコ旅気分が盛り上がります。

筆者が泊ったマラケシュのリヤドは、半透明の屋根に覆われた中庭のまわりの1階2階に客室が配され、中庭にはテーブルが置かれて食事ができました。Marrakechリヤド

リヤドは高級なところから1泊朝食付きで2,000円台で泊れるエコノミーなところまで様々ありますが、たいていはこのような造りになっています。

オーナーのこだわりのインテリアが施され、モロッコ伝統の家具や調度品が置かれています。Fezリヤド

但し、リヤドはメディナの狭い路地の奥にあることが多く、もともと個人の邸宅なので、「Riad XXXX」の表札が掲げてないこともあるので、予約したリアドにたどり着くのに苦労することがあります。

☆なんでも安いモロッコ

物価が日本や欧米よりかなり安いのもモロッコの魅力です。

フェズ、マラケシュ、シャウエンなど観光都市の宿泊施設は多く、オフシーズンであれば、かなり高級なホテルでも1万円以下で泊れます。

レストランでもメインのタジンやクスクスが50DH(≒580円)から食べられます。マラケシュのフナ広場で売られているオレンジを絞ったジュースは60円、ペットボトル500mlの水は40~90円。

タクシーが安いので、駅やバスターミナルから観光名所のメディナなどへは気軽に利用できます。特に暑い季節は重宝します。但し、観光客と見るや、メーターをたおさず料金をふっかけてくるドライバーがたくさんいます。行先を告げて値段を交渉のうえ決めてから乗るのがいいでしょう。

☆モロッコへの行き方

日本からモロッコへの行き方、プランニングのコツをご紹介します。

① モロッコへのフライト

日本からの直行便はありませんので、どこかで乗り継ぎが必要です。

モロッコに最も多くのフライトがあるのは、パリ経由のエールフランスです。しかも、モロッコのゲートウェイ(玄関)であるカサブランカだけでなく、マラケシュへもパリからのフライトがあります。日本からパリへは1日3~4便あるので、モロッコ旅行では最も使い勝手の良いエアラインです。

価格を重視するなら、ドバイ経由のエミレーツ航空、ドーハ経由のカタール航空です。両社とも日本から乗継地へは1日2便、乗継地からモロッコへは1日2~3便ずつあります。

② 海峡を渡ってモロッコへ

スペインから船でジブラルタル海峡を渡ってモロッコへ行くこともできます。スペイン側の港町は、アルヘシラスとタリファ、モロッコ側はタンジェです。

ジブラルタル海峡はかなり狭く、船は1時間あまりで海峡を渡ります。↓タンジェからスペインがはっきり見えます。ジブラルタル海峡

アルヘシラスからタンジェへは1日十数便ありますが、タンジェの港(新港)はタンジェ市街から約40kmあり、バスで30分くらいです。タリファからは便数は少ないですが、タンジェの市街地近くの港に着きます。

タンジェからカサブランカへは高速鉄道で2時間10分です。

モロッコ側に飛び地のようにあるスペイン領セウタまで船で渡り、陸路、国境を越えてモロッコに行くこともできます。

③ プランニングのコツ

フライトでカサブランカで入国し、カサブランカから帰国すると、モロッコ国内での移動距離(時間)が長くなります。旅行に使える日数の短い方は、行きか帰りのいずれか一方を、モロッコ旅行で必ず立ち寄るマラケシュにすることをお薦めします。

日本からの直行便のあるヨーロッパや中東の主要都市からマラケシュへは、LCCも含めて多くの直行便があります。

カサブランカで乗り継ぐこともできますが、モロッコ航空の国内便は予約したフライトに搭乗できず次のフライトにまわされることが多いとのことでお薦めできません。筆者はこれでカサブランカの空港で5時間半待たされました。

☆モロッコの国内移動

主要都市の間は鉄道が利用できます。同じ区間のバスより速いことが多いので使いやすいです。

乗り方、切符の買い方は日本とほぼ同じです。駅によってホームに行くまでに、改札のようなところでチケットのチェックを受けることがあります。但し、2019年12月時点で、鉄道運行会社ONCFのサイトでネット購入はできません。

ヨーロッパへの玄関口タンジェ(Tanger)とカサブランカ(Casablanca)の間は、アフリカ初の高速鉄道で2時間10分で結ばれています。モロッコ高速鉄道

運賃は安く、2等車(普通席)はおよそ149DH(≒1700円)で、ほぼ同距離の新横浜~名古屋の約6分の1でした。

バスは国営のCTMと民営バスがあり、バスターミナルが分かれているところもあります。同じ路線でも、CTMのほうが値段が若干高い代わりに、停車が少なく早く着きます。

街の中の移動はバス、タクシーです。特に値段の安いタクシーは重宝しますが、モロッコのタクシーは乗り合いです。道で手を挙げると、既に客が乗っているタクシーでも止まってくれ、目的地が同じ方向だと乗せてくれます。逆に自分が乗ったタクシーに後から他の客が乗り込んでくることがあります。どちらにしても、乗るときにドライバーに目的地を告げて、値段の合意をすることが基本です。

☆サハラ砂漠ツアーの組み込み方

国内の公共交通機関が充実していて、個人旅行しやすいモロッコですが、サハラ砂漠へはマラケシュやフェズからのツアーを利用することをお薦めします。最もよく利用されるのが2泊ツアーで、2日分の夕食、朝食、移動すべて、乗ラクダ含めて1万円くらいからあります。

サハラ砂漠に加えて、モロッコの2大観光都市マラケシュとフェズの両方を訪れる場合は、砂漠ツアーの行きか帰りかのどちらかをマラケシュ、もう一方をフェズにするのがいいでしょう。

この両都市と砂漠の間の距離は600~700kmと同じくらいで、ほぼ丸1日かかるマラケシュ⇔フェズの移動をしなくて済むからです。

☆モロッコ旅行で気をつけること

ヨーロッパに近く、観光のインフラは整ったモロッコですが、モロッコ特有の要注意事項があります。

① 押し売りガイド

メディナを歩いていると、「Close、Close」と言ってくる輩がいます。この先は道が閉鎖されているから、行きたいところへ自分が案内してやるというのです。ほとんどが若者から中年までの男です。

親切にされたと思ってついていくと、目的地に着いたところで多額の金を請求されます。筆者はフェズで10DH(≒110円)コインを渡してその場を離れましたが、札の入ったサイフを出したところで強奪されることもあるそうです。

道を尋ねた時に相手がこのような輩だと同じ目に遭います。

絨毯店に連れていかれて、しつこい押し売りに遭うこともあるそうです。

「どこへ行くんだ?」「自分が案内してやる」と話かけられたら、返事をせずに無視しましょう。1回でも返事するとしつこくつきまとわれます。

② メディナを疾走するバイク

両側に商店が並び買い物客が行き来する幅2~3mの道をバイクが疾走していきます。マラケシュやフェズの迷路のようなメディナでよく遭遇します。メディナを疾走するバイク

慣れていて人に接触しないように巧みにジグザグ走行していくのですが、近くに来るとヒヤヒヤします。

③ 夜の人気のない道の一人歩き

モロッコの治安は良いですが、夜の人気のない道の一人歩きは危険です。特に、マラケシュやフェズなどの迷路のようなメディナでは夜遅くまで店は開いていて賑わっており、夜の街歩きは楽しいのですが、歩くのは人通りの絶えない道だけにしましょう。

④ 女性の肌の露出

イスラムの国全般に言えますが、女性の服装は気をつけましょう。

⑤ ロバのフン

モロッコではロバが日常の運搬手段として使われています。道でロバのフンを踏まないように気をつけましょう。Fezメディナのロバ

 ⑥ 入口がわかりやすい宿泊施設を選ぶ

モロッコの宿泊施設を予約する際には、施設の説明や口コミを読んで、入口のわかりやすいところを選びましょう。特にメディナの奥まった場所にあるリヤドの場合です。

地図を持って目指す宿泊施設のすぐ近くに着いても、どこが入口かわからずにウロウロしていると、押し売りガイドが寄ってきます。「Riad XXXX」と言ってしまうと、「ついてこい」と勝手にガイドされてしまい、目指すリヤドに着いて金を請求されます。

上述のモロッコ特有のリスクに気をつけて、イスラムにレスペクトを持って旅をすれば、食べ物はおいしく、人は親切、なんでも安く、とても快適にモロッコを個人で旅することができます。

皆さん、良い旅を!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

モロッコの迷宮都市フェズを歩く

モロッコの古都フェズの旧市街(メディナ)。
城壁に囲まれた巨大迷路です。
こんなところは世界中にフェズだけでしょう。

どのようにしてこんな迷宮都市ができたの話は他に譲るとして、ツアーに入らず、フェズの迷路を歩き回りながら、あちこちにあるイスラム芸術の粋を楽しむ方法をご紹介します。

いくつかの危険に気をつけていれば、エキゾチックな雰囲気に中でアドベンチャー気分を満喫できます。

☆入口のブー・ジュルード門

フェズの鉄道駅やバスターミナルのある新市街から来ると、ここが迷路の入口です。迷路を歩く起点で、迷ったらここに戻りましょう。Fezブー・ジュルード門表

夜遅くまで人通りが絶えず賑やかです。Fezブー・ジュルード門表夜

旧市街の内側は色合いが違います。Fezブー・ジュルード門裏

このブー・ジュルード門から下り道のメインストリートが2本、カラウィン・モスクまで続き(途中で合流する)、そのまわりに枝葉のように小路が張りめぐらされているのが、フェズの迷路のおおよその作りです。そして、フェズの見どころのほとんどがこの間にあります。

門を入って、2本のメインストリートのうちの左(北)側のタラア・ケビーラ通りを行くと、すぐに屋根付きの商店街です。主に食品を売っています。Fesケビーラ通りの商店街

さらに50mくらい進んだ右側に入口があるのが、

☆ブー・イナニア・マドラサ

14世紀にできた神学校です。
中庭の壁に描かれた幾何学模様のモザイクがすばらしい。
Fesブーイナニアマドラサ

ここは朝早くから開いていますので、観光客が来る前の朝の早い時間に来るのがお薦めです。Fezブー・イナニア・マドラサ2

さらにケビーラ通りを歩いていくと、通りの先にカラウィン・モスクのミナレットが見えてきます。Fezカラウィンモスクの塔

夜になると風情が増します。Fezカラウィンモスクの塔夜

☆カラウィン・モスク

2000人収容の巨大モスクですが、建物の密集した中に、他の建物との間隔がほとんど無く建ってますので、その巨大さは実感できません。狭い道の片側に高い壁がそそり立っているだけです。入口を見つけて初めてここがモスクだとわかります。Fezカラウィンモスク

モロッコではイスラム教徒以外はモスクや霊廟に入れないので、入口からのぞきこむしかありません。

☆アッタリーン・マドラサ

イスラムの繊細な彫刻を間近に観るには神学校(マドラサ)です。カラウィン・モスクの隣にあるアッタリーン・マドラサ。Fezアッタリーン・マドラサ1

ブー・イナニア・マドラサより小さいものの、中庭を取り巻く部屋の壁面の彫刻はみごとです。近寄って観ると、その繊細さは人間業とは思えないほどです。Fezアッタリーンマドラサ3

学生の宿泊部屋になっていた2階の小部屋から中庭を見下ろす。Fezアッタリーンマドラサ2

☆ザウィア・ムーレイ・イドリス廟

ここも中に入れませんが、外からでも厳かな雰囲気をうかがい知れます。Fezザウィア・ムーレイ・イドリス廟

☆フェズを見下ろす

フェズの迷路のようなメディナは城壁に囲まれています。Fez城壁

この城壁の外(北側)にある高台からメディナを見下ろせます。ブー・ジュルード門のある丘から東に向かって傾斜した斜面にぎっしり建物が密集している様がよくわかります。Fez全景

CTMバスターミナルから城壁に沿った広い道の歩道を歩いていくのですが、標識がないので、登り口をみつけにくい。上部が階段になっているところを探しましょう。「地球の歩き方」には240m徒歩3分と書いてありましたが、早足でも5~6分歩きます。

夕暮れ時に登ると、時間の経過とともにメディナの色あいが変ってゆき、ところどころに明かりがともっていくのがきれいです。Fez全景夕暮れ

☆治安は大丈夫か

ブー・ジュルード門からカラウィン・モスクまでの2本のメインストリートを歩いているだけなら、夜遅くまで人通りが多いので独りでも危険はないでしょう。但し、あちこちで声かけてくる輩に連れていかれない限りです。人通りの少なく、両側が壁だけの細い路地にはなるべく入らないほうがいいと思います。

フェズのメディナの中には観光客からお金をふんだくってやろうという輩がたくさんいます。たくさんの人たちが声をかけてきますが基本的には無視しましょう。特に片言の日本語で声かけてくる輩、押し売りガイド(後述)を相手にしてはいけません。

地元の人たちと交流するのが旅の醍醐味ではありますが、メディナの中ではこちらから相手を選ぶ必要があります。選び方は慣れるしかないのですが、まずは、商店の店員でしょう。仕事中なので、こちらをだましたり、つきまとってくる余裕はないからです。但し、しつこく売り込みをしてきたら、即刻会話を打ち切ってその場を離れましょう。

☆注意!押し売りガイド

道に迷ったら、「Where is Blue Gate?」とか「Where is Bab Boujloud ?」と尋ねましょうなどと書いてあるガイド本がありますが、メディナでは道を尋ねないほうが無難です。

こちらが道を尋ねなくても、「Close,Close」と言って寄ってくる輩がいます。ほとんどは男性で、この先は道が閉鎖されているから、行きたいところへ自分が案内してやるというのですが、ついていくと、目的地に着いたところで多額の金を請求されます。

サイフを出したら、数万円相当を持ち去られたこともあるそうです。筆者は100円相当のコインを渡してその場を立ち去りました。人通りが多いところだったので逃げ切れましたが、人気のない場所だったら、つきまとわれたでしょう。

迷ってしまってどうしても尋ねざるを得ない時は、商店で店員とおぼしき人にしましょう。その場合でも、こちらが話しかけた相手が返答できないと、横から押し売りガイドが割り込んでくることがありますが、敢然と無視しましょう。

☆道に迷ったら

狭い路地に入って方角がわからなくなったら、先に進むのを諦めてメインストリートに戻りましょう。ところどころに「Bab Boujloud 」(ブー・ジュルード門)の方向を矢印で示した標識がありますので、困ったらこの標識を探しましょう。

☆フェズへの行き方

モロッコ旅のゲートウェイとなるカサブランカから電車で4時間、バスで5時間かかります。それぞれ1日数本あります。フライトは所要1時間ですが、本数が1日1,2本です。

モロッコ旅のもうひとつの人気都市マラケシュからはさらに長い時間がかかります。

筆者のお薦めは、モロッコ旅でサハラ砂漠を訪れる際に、出発地か帰着地のいずれかをフェズにするということです。砂漠へのツアーを催行している旅行会社の多くでオプションとしてこのような行程が組めるようになっています。

筆者の場合は、マラケシュ発の2泊3日のツアー代金が950DHで、追加で400DH払って、帰りをフェズにしました。

ツアー参加者18人中、筆者含めて3人がこのパタンでした。サハラ砂漠の入口メルズーガから、途中で数回の休憩を含めて約9時間でフェズに着きました。(サハラ砂漠ツアーについては⇒こちらへ

☆おしまいに

世界遺産にもなっている、エキゾチックなフェズのメディナの狭い路地をさまよい歩くのは楽しいものです。モスクや霊廟には入れなくても、街歩きだけで様々なイスラム芸術を目にできます。

これはネジャリーン広場の泉。Fezネジャーリン広場

この記事が、皆さんのフェズの迷宮歩きのお役に立てれば幸いです。

 

メルヘン!モロッコの青い街、シャウエン

シャウエン!
モロッコで不思議な街を訪れました。

家の壁、道、階段など街中が水色から深い青色まで、多彩な青で染められています。歩いていると、幻想的と言うか、メルヘンティックと言うか、不思議な気分になります。場所によっては海の底にいるようです。

☆シャウエンはどこにあるか

シャウエンはモロッコ北部にあります。ジブラルタル海峡から直線距離にして90kmくらいです。ヨーロッパからも近いんです。⇒地図

☆青の迷宮をさまよい歩く

シャウエンは山の中腹にへばりつくような小さな街です。正式名称を「シェフシャウエン(Chefchaouen)」と言い、地図やバスの行先表示でこう表記されます。シャウエン全景

モロッコの街はたいていどこも旧市街(メディナ)と近代になってから築かれた新市街に分かれていますが、シャウエンの青い街はメディナです。

狭い通りが入り組んで迷路のようですが、シャウエンは小さな街なので、フェズやマラケシュほど複雑ではありません。シャウエン細い路地

モロッコはイスラムの国ですから、シャウエンにもいくつかのモスクがあります。モスクは夜になるとライトアップされ、街を染める青とのコントラストが鮮やかです。シャウエン夜のモスク

シャウエンは山の中腹にあるので、街の中にかなりのアップダウンがあります。

下のほうはウタ・エル・ハマム広場(Place Outa El Hammam)を中心にした繁華街で、通りの両側にはホテル、レストラン、みやげ物店、絨毯屋などが建ち並びます。シャウエン通り

アートギャラリーもありました。シャウエンアートギャラリー

ウタ・エル・ハマム広場に面したテラスでの食事がお薦めです。夜遅くまで賑やかで、周囲の建物のライトアップがきれいです。シャウエンウタエルハマム広場

広場に面したカスバ(城塞)。シャウエンカスバ

ゲートをくぐるわくわく感がいいですね。入ると広場の賑やかさとは一変した静寂に包まれる中庭に出ます。シャウエンカスバ中庭と塔

塔には登れば街と背後の山々の絶景が見渡せます。シャウエン山の中腹のメディナ

シャウエンの街の上のほうは住宅街になっていて、上に行くほど観光客は少なくなります。

狭い路地の間から、山の上に建つモスクが見えます。シャウエンスペインモスク遠景

スペインモスクはシャウエンの街全体を見下ろす絶景ポイントで、夕方には多くの人が訪れます。新市街と反対側のオンサー門(Bab El Onsar)を出て、20分くらい坂道を登ります。シャウエンオンサー門

但し、写真を撮るには、夕暮れ時は逆光になるので、午前中の早い時間のほうがお薦めです。筆者はそれでも途中まで行ってみました。シャウエン夕暮れ

シャウエンでおもしろいのは、街中を多数のネコが闊歩していること。人に慣れていて、近寄っても逃げません。 シャウエンねこ

 ☆シャウエンへの行き方

観光で訪れるモロッコの主要都市からシャウエンへ行くにはかなり時間がかかります。鉄道は通っておらずバスだけです。

モロッコの玄関口、カサブランカからは、国営CTMバスで首都ラバトを経由して所要6時間半ですが、1日1本だけです。

フェズからはCTMバスで所要4時間半、1日3~5本あります。フェズ⇔シャウエンは混み合うので、乗車日前にネットかバスターミナルでチケットを買っておいたほうがいいでしょう。モロッコの国内交通の料金は安く、フェズからシャウエンまで75DH(≒¥850)でした。FesChefchaouenBusTicket

シャウエンは地中海から近く、ジブラルタル海峡に面してスペインとの船便が出ているタンジェ(Tanger)からはバスで約3時間なので、スペイン旅行の途中に海峡を渡ってシャウエンに立ち寄るというのもありでしょう。スペインのアルヘシラス、セウタからジブラルタル海峡を渡る船便はかなりの数あります。スペインの主要都市(マドリッド、セビリアなど)からアルヘシラス、セウタへは鉄道、バスで簡単に行けます。

タンジェからシャウエンは、2019年12月時点で直通が1日3本あり、ティトゥアン(Tetouan)乗り換えでさらに数本あります。

シャウエンのバスターミナルは新市街にあり、メディナの入り口アイン門まで1.1 kmで歩けない距離ではありませんが、バスターミナルからはかなり急な登り坂なので、到着時に重い荷物を持って歩くのは厳しいでしょう。タクシーの料金は交渉ですが10~20DHです。高くても200円ちょっとなので利用したほうがいいと思います。

城壁に囲まれたメディナへは車は基本的に入れないので、タクシーに乗る時に「メディナへ」と言うと、たいていはアイン門(Bab El Ain)で降ろされますが、街の中心ウタ・エル・ハマム広場に隣接するデブナット・エル・マクゼン広場(Place Debnat El Makhzen)までは車が入れますので、宿泊場所によってはこちらのほうがいいでしょう。

↓新市街からメディナに入るアイン門。この小さな暗闇を抜けると、いきなり目の覚めるような青の世界が広がります。シャウエンアイン門

☆おしまいに

シャウエンはモロッコでは人気の観光地ですが、フェズやマラケシュのように観光客につきまとって金を巻き上げようとする輩がほとんどいないので、気持ち良く青の迷宮を歩き回れます。

メディナの中には多くのホテルがありますので、青の迷宮の中で泊って、日が暮れてところどこがライトアップされる中を歩いてみると、昼間とは違った美しさが感じられます。観光客がおらず、店が閉まっている朝早くに繁華街を歩いてみるのもおもしろい。

シャウエンへのアクセスは便利とは言えませんが、訪れる価値の街です。

良い旅を!

 

 

 

 

 

サハラ砂漠でラクダに乗る

アフリカの3分の1を占めるサハラ砂漠。
日本にはない世界で、
大自然の雄大さに感動します。 Moroccoサハラ砂漠の夕暮前

どこまでも続く砂の小山が、日が傾くにつれて、その色合いを変えていきます。Moroccoサハラ砂漠の夕暮れ

☆ラクダに乗るMoroccoサハラ砂漠ラクダの列

ラクダは数頭が連結されていて、ラクダ使いが先頭を歩きます。サハラ砂漠は意外とアップダウンがあり、下りでは落ちないように手すりを強く握ります。平坦な箇所と時々停まる時がシャッターチャンスですが、手を滑らせて落とさないように要注意です。

自分たちのラクダの隊列のシルエットが映ります。まるで映画のワンシーンです。Moroccoサハラ砂漠ラクダに列の影

約1時間歩いて砂漠のど真ん中でいったんラクダを降りて、20分くらい、日の入りを眺めます。その後、再びラクダに乗って、暗くなる中をキャンプに向かいます。

☆サハラ砂漠のテントで泊る

サハラ砂漠の中には観光客向けのキャンプ地がいくつもあって、そのテントで泊ります。Moroccoサハラ砂漠テント村

いちば大きなテントでディナーです。メインメニューはモロッコ料理の定番、タジンかクスクスです。Moroccoテントで食事

ディナーの後は、たきぎを囲んで、地元ベルベル人の奏でる地元の音楽を聴きます。Moroccoサハラ砂漠のベルベル人

テントには寝るだけでベッドが3つ置かれています。筆者が訪れたのは11月末で、毛布をかぶって寝ましたがかなり冷えました。トイレ、水洗い場は別のテントにありました。Moroccoサハラ砂漠のテント

☆ラクダたちは夜、どこにいる?

昼間はラクダ使いに率いられて観光客を乗せているラクダたちですが、夜はどこにいるのか?不思議に思いました。 砂漠の中ですから牛舎や馬小屋みたいなものはありそうにありません。

朝、見つけました。
駐車場ならぬ駐ラクダ場。Moroccoサハラ砂漠駐ラクダ場

砂漠の真ん中に放置されていました。ラクダ使いのベルベル人は近くにいませんでしたから、きっとお家に帰ったのでしょう。Moroccoサハラ休むラクダ

放置されたら、砂漠の中をどっかに逃げちゃいそうですが、逃げないしくみがありました。Moroccoサハラ縛られるラクダ

ラクダの片足の膝をヒモで縛ってあるんですね。
夜のサハラ砂漠は冷えますから、かわいそうに。

☆サハラ砂漠への行き方

サハラ砂漠の入り口メルズーガ(Merzouga)までバスやタクシーを乗り継いで行き、ホテルに泊まって、さまざまなアクティビティに参加することはできますが、最も手軽なのが、マラケシュ(Marrakech)、フェズ(Fez)、ワルザザート(Ouarzazate)からのツアーに参加すること。

筆者は、サハラ砂漠観光で最もよく使われるマラケシュ発の2泊3日のツアーで行きました。移動は十数人乗りのバンです。参加人数によってバンの大きさが変わります。Moroccoサハラ砂漠へ行くバン

ほとんどのツアーが、サハラ砂漠までの観光スポットに寄りつつ、2日目の日の入り直前に砂漠の入り口に到着し、ラクダに乗って日の入りか日ノ出、またはその両方を観て、3日目はひたすら帰るというパタンです。

サハラ砂漠ツアー:1日目

早朝にマラケシュを出発し、つづら折りの山道を走ってアトラス山脈を越えます。 この山脈を境に景色は一変します。Moroccoアトラスつづら折りの道

世界遺産のクサル(要塞化された村)、アイト・ベン・ハッドゥ(Ait Ben Haddou)を訪れます。 Moroccoアイトベンハッドゥ遠景

カスバ(城壁で囲まれた要塞)が点在する道を進み、タデス渓谷の崖が迫るホテルで宿泊します。Moroccoタデス渓谷ホテル

ツアーによっては、ワルザザートやその近辺の街で泊ることもあります。

サハラ砂漠ツアー:2日目

荒涼とした景色の中を進みます。だんだんと緑が少なくなっていき、サハラ砂漠に近づいていることが実感されます。Moroccoサハラ砂漠への道

トドラ渓谷の中のオアシスのような場所を散策し、ベルベル人の絨毯工房を訪れます。ミントティを飲みながらの実演販売になります。Moroccoトドラ渓谷の絨毯工房

トドラ渓谷の奥まったところで休憩&ランチします。 Moroccoトドラ渓谷

日の入り直前にサハラ砂漠の入り口に到着します。ここでラクダに乗って、砂漠の中のキャンプ地のテントで泊るのに必要な物だけを持って、4WD車に乗り換えます。しばらく走ったところにラクダが待っています。Moroccoラクダ乗り場

ツアーによって、ホテルに荷物を置いておける場合とバンに荷物を残す場合とがあります。

サハラ砂漠ツアー:3日目

3日目の朝はツアーによって、また、季節によって異なります。

砂漠の中のキャンプ地のテント泊ですから、朝、近くの小山に登って日ノ出を観ることはできます。但し、11月~1月は日の出時刻が8時の朝食時間と重なってしまいます。

朝食後、バンが待っている駐車場まで再度ラクダに乗っていくツアーもありますが、筆者のツアーは4WDの車でした。ツアーによっては各自で選べることもあります。

その後、1日かけて約700kmに道をマラケシュに戻ります。追加料金を払ってフェズに行くオプションもあります。筆者がフェズに着いたのは夜7時頃。途中ランチを挟んで約10時間の長旅でした。

バンの運転手さんにもよりますが、景色の良いところで止めてもらい、写真タイムにすることもできます。

☆サハラ砂漠ツアーの申込方法と費用

マラケシュのフナ広場周辺、フェズのメディナにはたくさんの旅行会社があって、サハラ砂漠ツアーの看板を掲げています。

筆者が使った「Sabaku Tours」は日本語を話せる人がいて、フェースブック上に自社ページを開設しており、メッセンジャーでの日本語のやりとりで申込みが完結しました。ツアーの確認書は英語でした。

基本が950DH(≒¥11,000)で、フェズに行くオプションが350DH(≒¥4,000)でした。これで移動のすべて、2泊2食、キャメルライド、砂漠までに立ち寄る観光地のガイド(チップは別途)も含まれていました。

ツアー会社によって同じ2泊3日でも値段にはかなりの幅があります。1万円以下のもあれば、「地球の歩き方」に載っている「Ksour Voyages」は2人参加で約5万円します。

ツアー当日の朝、ツアー会社の人が宿泊先ホテルまで迎えに来てくれて、バンが集まっている場所に向かい、そこで料金を支払います。

バンに乗っている時間は長く、食事の時は同じテーブルですから、世界各地から来ている人たちと旅情報の交換などいろんな話をするのは楽しいものです。

道路は基本的に舗装されていて、バンはエアコン付ですので、景色を眺めながらの快適な旅が楽しめますが、ところどころに埃のまうデコボコ道もあります。Morocco埃まう道

☆サハラ砂漠ツアーの持ち物

バンの収納スペースは十分で、スーツケースを持ち込んでもOKでしたが、申し込む時に念のために確認したほうがいいでしょう。

バンでアトラス山脈を越える時に、つづら折れの道を登り降りしますので、乗り物酔いしやすい方は酔い止め薬

きれいなトイレは少ないと聞いていましたが、休憩場所も砂漠のテントも水洗トイレで、慣れないアラブ式はごく一部でした。但し、トイレットペーパーがないところもありますので、ティッシュは多めに持っておくほうがいいでしょう。

サハラ砂漠では強風で砂嵐になることもありますので、マスクリップクリームカメラやスマホ用の防塵ケースもあったほうがいいでしょう。

サハラ砂漠では、マラケシュやフェズ以上に昼夜の寒暖差は大きいので、暑い季節でも1枚余計に羽織るものを持っておくほうがいいでしょう。

☆注意点

休憩場所の売店でペットボトルのをこまめに買いましょう。ランチも夕食の時も水は基本的に出ません。特にサハラ砂漠に入ってからは水を買うところはありませんので、夕方から翌日の昼頃までもつように多めに買い込みましょう。

モロッコでは、観光客から金を巻き上げようとあの手この手で近づく輩が多く、ぼったくりに遭った話をよく聞きます。ツアーに入っていれば基本的に問題ないのですが、3日目にフェズに行く方は、ツアーに関係ない人(現地ガイドなど)にフェズに行くと言わないほうがいいでしょう。ツアーとは関係ない車に誘導されてしまうことがあるそうです。

☆おしまいに

サハラ砂漠は雄大というのに尽きます。

モロッコは観光に力を入れている国で、サハラ砂漠をラクダに乗って楽しめるよう、さまざまなツアーが用意されています。砂漠の中のテント泊も、水が出にくい以外は快適です。

驚くことに砂漠の中でも、モロッコの(おそらく特定キャリアのでしょうが)SIMをスマホにさしておけば、ネット接続できます。ツアーでいっしょだったドイツ人が、砂漠の真ん中で、国に残してきた家族に動画生中継してました。

モロッコはサハラ砂漠の入り口で、秘境感はそんなにありませんが、大自然を手軽に楽しめることができるわけです。

では、良い旅を!