「イタリア」カテゴリーアーカイブ

ベルガモ:丘の上の中世を観光する

北イタリアで中世の風情を味わえる街、ベルガモ(Bergamo)。
丘の上の城壁に囲まれた旧市街(ベルガモ・アルタ)には、12~17世紀に建てられた古い建物がたくさんあり、中世にタイムスリップした感を味わえます。

観光でもビジネスでも訪れる人は多いミラノから1時間ちょっとで行けます。中世の雰囲気に包まれての食事は、ミラノでは味わえない楽しみです。

☆ベルガモへのアクセス

ミラノ中央駅からの列車は毎時1本出ています。およそ1時間でベルガモ駅に到着します。

ベルガモは丘の上の旧市街と、丘の下の平地(ベルガモ・バッサ)の2つに分かれています。「バッサ」とは「低い土地」という意味で、19世紀に整備された近代的な街並みです。

鉄道駅はバッサにあって、駅前から乗ったアルタ行きのバスは、バッサの街並みを抜けて、坂道を登っていきます。10分くらいで城門のひとつサンタゴスティーノ門(Porta S. Agostino)をくぐります。cof

丘の上のベルガモ・アルタは城壁に囲まれており、バスは城壁沿いを登っていきます。ベルガモ 城壁沿いの大通り

壁の際は眺めの良い散歩道です。ベルガモ城壁からの眺め

終点(Piaaazale Colle Aperto)から坂道を200mほど下ると、

☆ヴェッキア広場(Piazza Vecchia)

地元の人も観光客も集まる、アルタの中心の広場です。「市の塔(Torre Civica)」と、その左は、かつては市庁舎だった「ラジョーネ宮(Palazzo della Regione)」。ベルガモ ヴェッキア広場

このような歴史的な建物に囲まれた広場に張り出したテラス席で、地元のおいしい料理を食べるのイタリア旅行の魅力のひとつです。

ラジョーネ宮の3つのアーチをくぐった先が、

☆ドゥオモ広場

広場と言うほどは広くなくて、高い教会建築の間の谷間みたいです。歴史が覆いかぶさってくる感じがします。

堂々とした外観のドゥオモ(Duomo)。ベルガモ ドゥオモ広場

ドゥオーモの内部は、イタリアにしては地味な感じです。ベルガモ ドゥオモ内部

正面に見える2つの大伽藍がベルガモの歴史的建造物の中の一番の目玉です。
左がサンタ・マリア・マッジョーレ教会
(Santa Maria Maggiore)。
右にコッレオーニ礼拝堂
(Cappela Colleoni)。ベルガモ サンタ・マリア・マッジョーレ教会

サンタ・マリア・マッジョーレ教会の外観は12世紀のロマネスク様式ですが、内部は17世紀にバロック様式に改装されています。天井の装飾画が見事です。ベルガモサンタマリアマッジョーレ教会内部

ここを見学するのは日の光が斜めから差し込む時間帯がお薦めです。絢爛豪華な装飾画が映えます。この写真は午後2時頃です。

ドゥオーモの正面には八角形の洗礼堂(Battistero)。ベルガモ 洗礼堂

☆ゴンビト通り(Via Gombito)

ヴェッキア広場につながる、ベルガモ・アルタのメインストリートで、石畳の緩い坂道の両側の風情ある建物の1階にバール、レストラン、小物屋などが並びます。ウィンドショッピングだけでも十分楽しめます。ベルガモ ゴンビト通り

☆サン・ヴィジリオの丘
(Colle San Vigilio)

丘の上のベルガモ・アルタのそのまた上がサン・ヴィジリオ。アルタからケーブルカーが出ています。

ケーブルカーを降りたところに見晴らしの良いレストランとカフェがあります。テラス席でワインを飲みながら、アルタとその向こうのロンバルディアの平原の絶景を味わう至福のひとときです。ベルガモ アルタ全景

展望台からは、丘の斜面に建つ瀟洒な住宅、その向こうのアルプスを眺められます。ベルガモ 展望台

こんなところに住んでみたい!ベルガモ 瀟洒な住宅

☆おしまいに

北イタリアの大都市ミラノは、観光でもビジネスでも訪れる人は多いですが、ここまで来てベルガモを見逃すのはもったいない。ミラノにもおいしいレストランは多いですが、1時間でベルガモに来て、中世の空気の中でのグルメも格別です。

2020年、ベルガモは、イタリアでコロナ感染爆発が最初に起きたところとして名前をよく聞くようになりました。現地で起きていことには心を痛めずにはいられません。早く感染がおさまって、ベルガモに行けるようになってほしいです。

 

 

 

 

ヴェルディ音楽祭

ジュゼッペ・ヴェルディ(Giuseppe Verdi)は、「アイーダ」「椿姫」「オテロ」などのオペラなどで知られる、19世紀イタリアの大作曲家です。

このヴェルディを記念する音楽祭が、生地の村近くのブッセート(Busseto)とパルマ(Parma)で、毎年9月下旬から10月中旬にかけて開かれ、ヴェルディの作品が数多く上演されます。

この時期のイタリアは、暑くもなく寒くもない快適な気候で、美味しい料理、ワインとともに、ゴージャスな劇場で極上のヴェルディ音楽が楽しめます。

☆ヴェルディ音楽祭の中心、パルマ

最も多くの演目が上演されるのが、パルマのテアトロ・レッジョ(Teatro Reggio)です。パルマレッジョ劇場外観

イタリアではミラノスカラ座と並んでオペラの殿堂と言われています。ヨーロッパの古い劇場に典型的なボックス席を配した馬蹄形の造りです。パルマテアトロレッジョ内部

細かく席のランクが分かれていますが、最も高価なのが、1階の平土間席中央です。1階は舞台を正面から観れるのですが、傾斜がほとんどないので、前の席に背の高い人が座ると舞台が見えなくなることがあります。

4層あるボックス席の1列目は高価ですが、ホール全体の空気を味わいながら、障害物なしに舞台がよく見えます。2,3列目は安価ですが、狭い空間で圧迫感があって、音がこもるうえに、舞台も観にくいのでお薦めできません。パルマテアトロレッジョボックス席

ボックス席の上のガレリア席は最も安価ですが、買う時には柱の位置に注意しましょう。自分の席の前に柱があると、舞台を観るじゃまになります。柱が前になくても、場所によっては舞台の一部が視野に入りません。

パルマはイタリア北部、ミラノとボローニャの中間にあり、中世には自治都市として栄えた美しい街です。パルマ広場

美食の街としても知られ、特にパルマの生ハムは有名です。注文してからスライスしてくれ、地元産ワインとともに食べられるお店が街中にたくさんあります。nfd

☆ブッセートはヴェルディづくしの街

ヴェルディはブッセート近くの小さな村レ・ロンコーレで生まれ、ブッセートで学び、この街の有力者の支援で作曲家としてステップアップしました。

ブッセートはヴェルディづくしの街です。街の中心ヴェルディ広場に面して銅像が建ってます。その後ろにある城郭の一角にヴェルディの名を冠した劇場が19世紀に造られました。

ブッセート Rocca Pallavicino

ブッセート Rocca Pallavicino夜

筆者はこの隣にあるホテルに泊まりましたが、ホテルの名称「I Due Foscari」はヴェルディの初期のオペラ、経営者はヴェルディを得意とした往年の名歌手カルロ・ベルゴンツィの息子さん、WiFiのパスワードもVerdi・・・・・でした。

☆ヴェルディ劇場

席数300と小さく、100人近くが出演するオペラをここで鑑賞できるのは贅沢と言うしかありません。ブッセートヴェルディ劇場内部

パルマのテアトロ・レッジョと同じ構造ですが、小さいので、上部のガレリア席からでも、舞台がとても近くに感じられます。

天井の内装も豪華です。sdr

筆者が訪れた日の開演前には、劇場前で無料の室内楽コンサートが開かれていました。cof

☆ヴェルディ博物館

16世紀に建てられたヴィラが、ヴェルディのオペラの舞台セットや衣装などを展示した博物館になっています。ブッセートヴェルディ博物館外観

建物自体に風情があり、ヴェルディのオペラの名場面が小さなボリュームで流れる中、舞台を想像しながら、作品ゆかりの品々を見て歩くのが楽しいです。ブッセートヴェルディ博物館内部

ブッセートは小さな街で、ヴェルディの他には観光スポットもなく、劇場のキャパも小さいので、公演が行われる日でも、街の中心部は、いなかの静かな街の風情が保たれています。

☆ヴェルディ音楽祭のチケット

音楽祭のサイトで買うのが基本です。
パルマ、ブッセートの劇場にあるボックスオフィスでも買えます。HPで完売になっていても、諦めないでHPをチェックしていると、キャンセル券の戻りが出てくることもあります。

代理店に頼むと、ホテル予約と抱き合わせにされることが多く、券面とほぼ同額の手数料を取られることもあります。

☆パルマ、ブッセートへの行き方

日本からの直行便のあるミラノ経由が便利です。ミラノからパルマへは直通列車で1時間9~34分で、昼間はほぼ1時間に1本あります。

パルマからブッセートへは列車で直通で34分ですが、乗り換えがあると1時間近くかかります。

ミラノからクレモナ経由でブッセートに行くこともできます。

ブッセート駅は小さく、利用客が少ない時間帯はバスによる代替輸送になることもあります。バス停は駅前にあります。ホームで待っているうちにバスが出発してしまうことがないよう時刻表の表示を確認しましょう。

☆泊る

パルマはこの地方の中心都市だけあって、宿泊施設は数多くありますが、ブッセートでは、劇場から歩いて行ける範囲のホテルは2軒だけです。休日は昼間の上演ですが、平日は終演時間が遅いので、終演後に他の街に移動することは難しいので、早めのホテル予約が必須です。

音楽&美食の良い旅を!

(訪問日:2017年10月16~19日)

 

 

 

 

 

 

チンクエテッレを個人で観光するガイド

イタリアの北西部リグーリア海岸沿いに、海に迫る険しい崖にへばりつくような5つの集落が総称して「チンクエテッレ(Cinque Terre)」と呼ばれています。

北から
・モンテロッソ・アル・マーレ (Monterosso al Mare)
・ヴェルナッツァ (Vernazza)
・コルニリア (Corniglia)
・マナローラ (Manarola)
・リオマッジョーレ (Riomaggiore)

チンクエテッレの魅力とともに、ツアーに入らず個人でチンクエテッレへ行く方法、楽しみ方をご紹介します。

☆チンクエテッレの魅力

狭い土地に色とりどりの家屋が密集し、青い海、緑の山と絶妙のコントラストをなしています。ユネスコの世界遺産に登録されています。

リオマッジョーレ。こんな急斜面によくぞ家を建てたものだと驚くばかりです。Riomaggiore

時間がない時にチンクエテッレの5つの村の中でどれかひとつと言われたら、ヴェルナッツァがお薦め。

駅を降りて、多くのみやげ物屋やレストランが密集する通りを数分歩くと、海辺に出ます。テラス席のレストランがあって、潮風を感じながら、地元であがる新鮮な魚を使った料理などを楽しめます。 varnazza海辺

海辺の高台には、中世の時代、人さらいにやってくるイスラムの海賊の襲来を見張った塔が今も残っています。

☆チンクエテッレへの行き方

フィレンツェやローマからの日帰りツアーに参加してもいいですが、往復にかなりの時間がかかり、チンクエテッレで過ごせる時間はわずかです。

そこでチンクエテッレで泊って、列車や船でまわるのがお薦めです。

崖を縫うように鉄道路線が走っており、列車は、海岸沿いのトンネルをくぐっては顔を出し、再びくぐるを繰り返します。5つの集落それぞれに駅があります。 コルニリアだけは、駅から集落まで徒歩20~25分くらいの登り道または階段になりますが(路線バスあり)、その他の集落は駅の近くです。

最も近いIC(特急)停車駅はチンクエテッレの南にあるラ・スペツィアです。そこからリオマッジョーレまで8分です。ICのなかにはチンクエテッレの村のいくつかに停車するものもあります。

フィレンツェからは、直通またはピサ乗り換えで1時間10分~30分、ローマからは、直通で3時間20分~4時間でラ・スペツィアに到着します。 ミラノからは、直通で約3時間、ジェノバ乗り換えで3時間40分~4時間でラ・スペツィアに着きます。

ラ・スペツィアからチンクエテッレへの船もありますが、便数は少なくリオマッジョーレまで約1時間半かかります。海が荒れたら運休です。

☆チンクエテッレで泊まる

宿泊施設、土産屋、スーパー、レストラン、カフェ、金融機関などが最も整っているモンテロッソがお薦めです。モンテロッソ通り3

駅近くには観光案内所があって、地図、列車や船の時刻表などが無料でもらえます。お得な「チンクエテッレ・カード」も買っておきましょう。チンクエテッレ内の列車が乗り放題、トレッキングコースの入場料、博物館入場料が無料になるなどの特典があります。トレッキングコースの入り口の券売所などでも買えます。

モンテロッソには整備された海水浴場もあって、チンクエテッレのなかでは唯一リゾート地の雰囲気がしますが、いかにも観光地という喧噪はなく、落ち着いた佇まいの美しい街です。 モンテロッソの駅から街に続くビーチは気持ち良く歩けます。モンテロッソ海岸jpg

海岸線の景色を眺めながらのワインが美味しい。
チンクエテッレWine

 

宿泊は高級ホテルから民宿まで20軒くらいあります。

☆鉄道でまわる

朝4時台から夜11時すぎまで運行され、昼間は毎時2,3本です。 ラ・スペツィア→(8分)→リオマッジョーレ→(3分)→マナローラ→(4分)→コルニリア→(4分)→ヴェルナッツァ→(4分)→モンテロッソ というわずかな所要時間ですが、列車遅延が頻発し、なかなか思った通りにはいきません。イタリアですからね。

☆歩いてまわる

チンクエテッレの集落と集落の間には山道を歩きながら移動できる有料のトレッキングコースが複数ありますが、落石の危険ありとのことで閉鎖されていることがあります。

筆者が訪れた時(2014年5月)は、最も歩きやすい「愛の小道」も閉鎖中でした。2019年5月時点でも一部を除いて閉鎖が続いています。愛の小道

訪れる前に、現地観光案内のHPで確認しましょう。

筆者はモンテロッソからヴェルナッツァまでを歩きました。海に面した断崖絶壁や急斜面にひろがるぶどう畑など絶景の連続ですが、アップダウンが激しく、脚力に自慢の筆者でも2時間近くかかりました。ちょっとした登山なので、トレッキング用のシューズを用意したほうがいいです。チンクエテッレ崖の上のブドウ畑

汗びっしょりになったところで、眼下にヴェルナッツァの街が見えてきます 。ヴェルナッツァ全景

☆船でまわる

唯一、海に面していないコルニリア以外は定期船が運行されています。季節によって本数が違います。海が荒れる日は運休です。

☆おしまいに

チンクエテッレを訪れる観光客は増加の一途で、観光客数を規制しようという動きが始まりました。一定の条件でチンクエテッレに向かう道路が閉鎖されるとのことです。観光客の波に飲み込まれないように賢くプランニングする必要があります。

チンクエテッレには日帰する観光客が多いですが、主要都市からの移動時間を考えると、1泊することをお薦めします。

おいしそうなレストランが多数あります。 観光客の去った夕方や早朝の静寂を楽しむのもよし、暗くなってから、村から少し離れたビュースポットから薄明りのきらめく村の風景を眺めるのもロマンチックです。 チンクエテッレにはいろいろな楽しみがあります。

マントヴァ:湖のほとりの世界遺産

マントヴァ(Mantova)は北イタリアのロンバルディア平原の東端に位置するルネッサンスの街です。湖の対岸から見る印象から、「湖に浮かぶ中世の都」と言われています。

街の中心には広場が3つ連なり、その周りに教会、宮殿などの歴史的建造物が建ち並びます。

サンタンドレア教会(Sant’ Andrea)は15世紀のルネッサンス建築。前のマンテーニャ広場がさほど広くないせいか、隣の鐘楼とともに見上げます。Mantovaサンタンドレア教会

内部の巨大な空間はきらびやかではなく、質実剛健という印象です。 sdr

中世の建物の間にクーポラがそびえ立ちます。Mantovaサンタンドレア教会クーポラ

隣のエルベ広場(Piazza delle Erbe)に建つ
ラジョーネ宮(Palazzo della Ragione)と、
ずんぐりした円形のサン・ロレンツォ聖堂(Rotonda San Lorenzo)。Mantovaエルベ広場

サン・ロレンツォ聖堂は11世紀に建てられたロマネスク様式で、内部は中世の教会というより古代遺跡の雰囲気です。Mantovaロトンダ内部

もうひとつの広場、ソルデッロ広場(Piazza Sordello)の先にはドゥオーモ(Duomo)。右側にはドゥカーレ宮殿(Palazzo Ducale)。Mantovaソルデッロ広場

ドゥカーレ宮殿はこの地を支配したゴンザーガ家の居城でした。ヨーロッパ屈指の豪華な宮殿とのことで、内部を見学してまわることができますが、残念ながら筆者の訪れた月曜はクローズでした。

この広場のテラス席で食べたマントヴァ風リゾットが美味しく、赤ワインとベストマッチでした。スープで煮込んだリゾットと違い、パラパラと乾燥したリゾットです。サルシッチャ(生サラミ)が入っていて、仕上げにはおろしたチーズ(パルミジャーノ・レジャーノ)が使われています。Mantovaリゾット

古い歴史的建造物に囲まれたテラス席で地元の名物料理をワインとともに食するのがイタリア観光の最大の醍醐味だと思います。

ドゥカーレ宮殿に隣接してサンジョルジョ城(Castello di San Giorgio)があります。湖に面して、中世には街の防衛拠点だったのでしょう。Mantovaサンジョルジョ城外側

マントヴァを三方から囲む湖のほとりには遊歩道が整備され、地元の人たちがくつろいでいます。最高の散歩道、ランニングコースですね。Mantova湖畔の遊歩道

湖のクルージングもできます。Mantova湖畔の遊覧船

マントヴァは19世紀のオペラ作曲家ヴェルディの代表作リゴレットの舞台でもあります。3つ連なる広場から湖畔に出る途中に、マントヴァの宮廷付の道化師だったとされる「リゴレットの家」があります。15世紀に今日の姿になった建物で、中庭に像があります。Mantovaリゴレット

☆マントヴァへのアクセス

北イタリアの主要都市を結ぶ幹線からはずれているので、距離のわりに時間がかかりますが、ミラノから直通列車があります。所要1時間50分、2時間ごとにあります。

主要都市を移動する途中に立ち寄る場合、駅にはロッカー、荷物預かり所がありませんのでご注意を。筆者は「リゴレットの家」の隣のツーリストインフォメーションに短時間だけ置かせてもらいましたが、いつもOKとは限りません。

マントヴァ駅から、3つ連なる広場のうち駅に最も近いマンテーニャ広場まで約900mです。駅前は車の通りが多く騒々しいですが、しばらく歩くと中世の風情ある街並みが現れます。
マントヴァ小川2

湖から流れ込んで街を横切る小川のほとりに、古い石造りの家屋が建ち並びます。マントヴァは水辺の街なのです。観光都市として有名ではありませんので、静かにじっくり古いイタリアの風情を味わえます。

(訪問日:2017年10月16日)

 

 

 

 

ローマ法王の街:ヴィテルボ

ヴィテルボ(Viterbo)はローマの北70kmに位置し、イタリアで中世の雰囲気を最も満喫できる街のひとつです。

ヴィテルボの城壁に囲まれた旧市街には石造りの歴史的な建物がぎっしり。保存状態の良さはイタリア、あるいは、ヨーロッパ全体でも屈指で、タイムスリップ感いっぱいの街歩きが楽しめます。Viterbo地図

☆ローマ法王の街ヴィテルボ

ヴィテルボは「法王の街」と呼ばれています。中世には多くの法王がローマを離れてこの町に移り、法王選出会議(コンクラーベ)もヴィテルボで行われました。

法王の館(Palazzo dei Papi)は13世紀に建てられたゴシック様式。円柱で飾られた回廊が美しい。Viterbo法王の館

法王選出会議が行われた部屋。ガラス越しにのぞかせてもらいました。cof

法王の館の横に建つサン・ロレンツォ大聖堂。16世紀の建築です。この広場が街の中心です。Viterboサン・ロレンツォ大聖堂

☆ヴィテルボの中世を歩く

ヴィテルボ旧市街をぐるっと取り囲む城壁は、ほぼ造られた時の姿をとどめています。石造りの建物が城壁にぴたっとくっついているので、内部から城壁をはっきり見られる場所は限られています。Viterbo城壁

こんな泉が街のあちこちで見られます。Viterbo泉

ヴィテルボの中でも最も中世の雰囲気を満喫できるのがサン・ペッレグリーノ通り(Via San Pellegrino)。Viterboペッレグリーノ通り1

タイムスリップ感満点です。テーマパークみたいですけど、今も人が住んでいる街なのです。時々、洗濯物が干してあるのを見かけます。Viterboペッレグリーノ通り2

通りに面している、と言うか、通りの上にあるアレッサンドリ宮(Palazzo degle Alessandri)。花で飾られた外階段とバルコニーが美しい。Viterboアレッサンドリ宮

サン・ロレンツォ広場と並んで街の中心だったプレビシート広場(Piazza Plebiscito)。13世紀の時計台が見下ろしています。左が15世紀に建てられたプリオーリ宮(Palazzo dei Priori)。Viterboプレビシート広場

プリオーリ宮の奥の中庭からの眺めは、ヴィテルボで一番でしょう。Viterboプリオーリ宮中庭

夜はロマンティックな雰囲気です。 Viterboプリオーリ宮中庭夜

イタリアの他の城塞都市では、城壁の中に建物が密集しているのに対して、ヴィテルボは緑に覆われた谷間が旧市街にあります。プリオーリ宮と法王の館はこの谷間を見下ろす崖の上に建っています。

谷の向こうはサンタマリア・トリニタ教会(Santa Maria della Trinita)。Viterboサンタマリア・トリニタ教会

サンタマリア・トリニタ教会の中庭。宗教画が描かれた回廊が見事です。Viterboサンタマリア・トリニタ教会中庭

☆ヴィテルボへの行き方

ローマから直通列車で最短で1時間40分。ほぼ1時間ごとにあります。テルミニ駅発はわずかで、ほとんどはオスティエンセ駅発です。

ヴィテルボ旧市街には駅は2つあり、いずれも城壁から徒歩数分ですが、ローマからはViterbo Porta Romana 駅のほうが便利です。

バスは列車以上に頻繁にありますが、ローマでの乗り場が辺鄙なところなのでお薦めできません。ヴィテルボの終点のバスターミナルは旧市街から離れていますので、途中の城壁近くで降りましょう。

☆ヴィテルボで泊る

ローマから日帰りできるのですが、城壁内の旧市街に泊ると、薄黄色の電灯の明かりに灯された夜の街歩きも楽しめます。ただ、旧市街にはいくつもホテルはあるのですが、B&B、民宿、アパルトメントなど小規模なものばかりです。

旧市街の中ではホテルの看板がほとんど目立ちません。石造りの建物にひっそりと宿泊施設があります。風情たっぷりなのですが、探すのに一苦労です。Viterbo B&B

イタリアの古い街では、景観の美しさを保つために、ホテルに限らず、商業施設が建ち並ぶ比較的広い通りでも、通りに少しでもはみだすような看板はほとんどありませんが、ヴィテルボでは特に徹底されているように思いました。

(訪問日:2017年10月20/21日)

 

トスカーナの休日:コルトーナ

コルトーナ(Cortona)はイタリア中部、トスカーナ地方の緑の丘の上の古い街。2003年のアメリカ映画「トスカーナの休日」で、主人公のアメリカ人女性が築300年の家を衝動買いするのが、ここコルトーナです。

この地方の中心地フィレンツェは年中、観光客でごったがえしてますが、コルトーナは訪れる人も少なく、のんびりと「トスカーナの休日」を過ごせます。

コルトーナの起源は、古代ローマ以前のエトルリア人の時代まで遡ります。今も中世の建物が数多く残り、タイムスリップ感いっぱいの街歩きが楽しめます。

☆中世のコルトーナを歩く

ヨーロッパの中世の街には、街の中心となる広場が必ずあります。役所、教会、劇場などがあり、レストランやカフェのテラス席でのんびるできるというパタンが多いです。コルトーナではレプッブリカ広場(Piazza della Repubblica)です。Cortonaレプッブリカ広場

その一角をなすコムナーレ宮殿(Palazzo Comunale)は市庁舎(市役所)です。Cortonaコムナーレ宮殿

隣接するシニョレッリ広場(Piazza Luca Signorelli )も、プレトーリオ宮(Palazzo Pretorio)、シニョレッリ劇場(Teatro Signorelli)などに囲まれて、歴史を感じさせる風情です。

プレトーリオ宮の入口には観光案内所、奥にはエトルリア・アカデミー博物館があります。Cortonaシニョレッリ広場

レプッブリカ広場に通じる、街で一番にぎやかな通りには、レストランやさまざまなショップが建ち並びます。入口とショウウィンドウがきれいに飾られているので、左右をきょろきょろ見ながらの散策が楽しいです。Cortona通り

脇道の先には何があるのかな?Cortona脇道

コルトーナは小さな街ですが、平坦なところより坂や階段のほうが多く、地図で見るより、歩いて回るのに時間と体力を使います。

建物の真ん中をくり抜いた階段。くぐった先に何があるのか、気になりますよね。Cortonaトンネル道

2階以上が通りに張り出した中世の建物。教区博物館の横のジェズ通りを下って行ったところにあります。この地方特有の造りとのことですが、ここくらいしか残ってないそうです。Cortona中世の家

細い路地を抜けたら、トスカーナの野原の風景が目の前に広がるのも、コルトーナの魅力です。コルトーナ門からの登り道

☆コルトーナのパノラマスポット

中世の城壁に沿ったサンタ・マルゲリータ通りは、のどかなトスカーナの風景が眺められる散歩道。Cortona平原

遊歩道がせり出しています。Cortona展望遊歩道

☆コルトーナの美術館、博物館

古代ローマ以前の美術品、発掘品を集めたエトルリア・アカデミー博物館の他に、この街出身のルネサンス期の画家、ルカ・シニョレッリの作品を集めた教区博物館(Museo Diocesano del Capitolo)があります。

美術品も魅力的なのですが、筆者には、ここの地下にある、フレスコ画で飾られた教会が見ものでした。Cortona教区博物館地下教会

 ☆コルトナへの行き方

鉄道の最寄駅はカムッチャ・コルトーナ
(Camucia-Cortuna)。
フィレンツェから直通列車で1時間23~30分。2時間に1本くらいの運行です。駅前から丘を登ってコルトーナの城壁そばまでのバスはありますが、列車到着時刻に合わせているわけでもなく使いにくい。歩くと3km近くありますので、タクシーを使うことになります。筆者の場合は相乗りして12€でした。

駅からの道の先に中世の街が近づいてきます。Cortona全景

フィレンツェとコルトーナの間にあるアレッツォ(Arezzo)からのバスもあります。バスはいずれも休日には大幅に本数が減ります。

バスの終点メルカート広場(Piazza Mercato)の横のサンタゴスティーノ門(Porta Sant’Agostino)をくぐって、坂道を登って行くと、街の中心レプッブリカ広場に着きます。

コルトーナはフィレンツェとローマの中間にあり、両都市を移動する途中に立ち寄ることもできます。

(訪問日:2017年10月20日)

 

 

パヴィア修道院

パヴィア修道院(Certosa di Pavia)は、北イタリアのロンバルディア平野の田園地帯に忽然とそびえる大伽藍。

北イタリアの大都市ミラノは、観光でも仕事でも訪れる人が多いですが、ドゥオモなどの観光スポットは、年がら年中、観光客でごったがえしているので、少々疲れます。せっかくカトリックの長い歴史のあるイタリアに来たのだから、静かで厳かな場所で宗教的な気分に浸ってみたくなったら、パヴィア修道院がお薦めです。

パヴィア修道院は、ミラノの街の中心ドゥオモ広場から1時間足らずで行けます。

☆パヴィア修道院への行き方

ミラノの地下鉄3線またはFSのロゴレド駅(Milano Rogoredo)からパヴィア修道院の裏にある駅(Certosa di Pavia)まで所要19分です。30分ごとの運行です。

駅を降りると、のどかな平原の真っただ中。駅を出て左側に軽食が取れるバー以外、ショップもレストランもありません。パヴィア修道院周囲

この平原に浮かぶ島のような修道院が正面に見えます。駅から見て修道院の右側にまわりこみ、修道院の塀に沿って歩きます。パヴィア修道院への道

地球の歩き方には徒歩10分と記載がありますが、修道院の入り口まで、ふつうに歩いて20分はかかります。cof

ミラノ、パヴィアからバスで来ることもできます。

☆壮麗な大伽藍

入口をはいると中庭の向こうに巨大なファサードが現れます。パヴィア修道院ファサード

16世紀初めに完成した、ロンバルディア・ゴシック建築の代表作です。横からはこう見えます。パヴィア修道院ファサード横から

パヴィア修道院を訪れる楽しみのひとつは、この建築を愛でることにあります。

☆祈りの世界

ファサードを入ると内部は厳かな空気が充満する巨大な空間です。祭壇前の門までは自由に見学できます。門から先は、修道士のガイドに付いていきます。筆者が訪れた土曜の15時頃は30分くらいに1回の入場でした。パヴィア修道院祭壇

イタリア語の説明を聞きながら、祭壇、小回廊、大回廊を順に1時間弱の見学です。見学の最後にお礼の意味で寸志を渡します。5ユーロ札を渡している人が多いようでした。

庭を囲む小回廊。パヴィア修道院小回廊

広々とした大回廊。たくさん並ぶ個室は、修道僧の人たちの生活の場です。 パヴィア修道院大回廊

☆ご注意

パヴィア修道院に暮らす修道士たちは、今でも自給自足で戒律を守りながら神々へ祈りをささげる生活を送っています。祈りの世界の見学には、服装に気を使う必要があります。短パン、ミニスカート、ノースリーブは避けるべきかと思います。

教会に入れる時間は季節によって決まっています。HPであらかじめ確認しておきましょう。入場は閉館の30分前までとなっています。駅にロッカー、荷物預かりはありませんので、軽装でお出かけください。

(訪問日:2017年10月14日)

 

 

ミラノダービーを現地観戦する

イタリアサッカー1部リーグ(セリエA)でも屈指の名物カードがミラノダービーです。イタリア北部の大都市ミラノを本拠地とする2つの名門クラブ、ACミランとインテルの対戦です。

スポーツ観戦で「ダービー」とは、同じ都市、または、近隣の都市を本拠地とするクラブチームどうしの対戦で、近くに住んでいるファンがたくさんスタジアムにつめかけて、いつも以上に盛り上がります。

ヨーロッパ各地に「ダービー」はありますが、ミラノダービーは、長らくヨーロッパのサッカー界に君臨してきた名門2チームの対戦だけあって、おおいに盛り上がります。

ここでは、筆者が観戦してきた2017年10月15日のミラノダービーの様子をご紹介するととともに、これから個人でチケットを手配して観戦に行かれる皆さんのお役に立つ情報をお伝えします。

☆ミラノダービー2017観戦記

9月に発売後すぐに完売したチケットですが、10月になってキャンセル戻りと思われるチケットを、ホームチームのインテルのサイトで買うことができました。

地下鉄の駅から出ると、すぐ目の前がジュゼッペ・メアッツァスタジアム(Stadio Giuseppe Meazza) 。通称サンシーロ。hdr

スタジアムのまわりはチームグッズ、軽食&飲み物の屋台が並びます。スタジアム内にも飲食できるところはいくつもあります。hdr

最近は警戒が厳しく、入場の際はチケットと身分証明書を突合せチェックされました。
ジュゼッペメアッツァスタジアムゲート

2、3階席へは、螺旋状の登り道(真ん中に階段もあり)を通っていきます。10年くらい前のミラノダービーで、試合中にピッチに自転車を投げ込んだ輩がいましたが、スタンドまで自転車を引いて持ち込めるわけです。ジュゼッペメアッツァスタジアムらせん階段

両ゴール裏のサポーター席は試合前から盛り上がります。みごとなコレオグラフィーですが、この下にいる観客は何も見えないでしょうね。

インテル側dav

ミラン側dav

かつては、スタンドからピッチにモノが投げ込まれて、大荒れになったことがあったミラノダービーです。その対策にこのような柵が2,3階席の前に設置されています。ジュゼッペメアッツァスタジアム柵

さあ、キックオフ。振っている小旗は、各席にあらかじめ置かれています。ミラノダービーキックオフ

☆チケットを買う

チケットは主催チームのサイトで、クレジットカード払いで買います。事前にメンバー登録(無料)が必要です。

チケットは登録したメールアドレスに電子ファイルで送られてきます。印刷していくか、スマホの画面に表示させるだけでも入場できます。

通常の試合であれば、ミラノ市内のファンショップでもチケットを買えますが、ミラノダービーでは望み薄です。

ゴール裏の1、2階席は、主催チームの公式サポータークラブ(有料)のメンバーIDを持っている人のみ買えます。ここはクルバと呼ばれて、熱心なサポータが集まり、旗が振られたり、発煙筒が焚かれたり、モノが投げ込まれるなどして、無法地帯と化すこともあります。

↓ミランの同点ゴール直後のミランサポーター席。危険な雰囲気が漂っていました。ミラノダービー無法地帯

☆ジュゼッペ・メアッツァスタジアムへの行き方

複数ありますが、最も便利なのが地下鉄M5線SAN CIRO Stadio駅。地上に出ると目の前がスタジアムです。

入場ゲートのセキュリティチェックが厳しく、行列が長くなりますので、余裕をもって出かけましょう。

帰りは大勢の観客が集中するので、かなり混み合います。あらかじめ帰りの切符は買っておきましょう。ジュゼッペメアッツェスタジアム帰りの混雑

混雑を避けるには早めに席を立つ必要があります。

☆ミラノで泊る

地元の観客が大部分なので、ミラノ市内のホテルが、ミラノダービーのために逼迫、値上がりすることはありません。但し、ミラノでは頻繁にメッセが開かれますから、メッセと重なる時はホテル確保がたいへんになります。

SAN CIRO Stadio駅から乗り換え1回で帰れる中央駅(Milano Centrale)付近が便利です。ホテルが数多く集まっています。

では、みなさん、気をつけてミラノダービー観戦にお出かけください。