高級ワインの産地として知られる
サンテミリオン(Saint-Emilion)
は、フランス南西部の中心都市ボルドーから約40km、小高い丘の上に広がる石造りの中世の村です。地平線まで続くブドウ畑に囲まれています。
ボルドーからの日帰りツアーで訪れる方が多いですが、泊らないで帰るにはもったいないくらいの魅力いっぱいの村です。
☆ボルドーからサンテミリオンへ
ボルドーから列車で35分でサンテミリオン駅に着きます。構内にも周囲にも飲食物の売店、自販機がない無人駅です。帰りの切符も買えませんので、ボルドーで往復を買っておくのがいいでしょう。
ボルドーからは直通バスもあり、村のすぐ近くに停車しますが、平日でも3本のみです。
☆駅からサンテミリオン村への道
駅前にはのどかなブドウ畑が広がります。村の入り口までは約1km。
ブドウ畑の真っただ中の一本道ですから迷うことはありません。歩いていくと、ブドウ畑の中にシャトーが見えてきます。内部を見学できるシャトーもあります。
大きな荷物を持って歩くのがつらい方はタクシーを呼べます。サンテミリオンのホテルは、宿泊者の無料送迎をしてくれるところもあります。
ここで道が二手に分かれます。まっすぐ行く道を登っていくと、村の中心、モノリス(Monolithe)教会の前の広場に出ます。 ここは村を見渡す展望台です。
観光案内所はこの広場に面してあります。モノリス教会の塔の反対側です。観光案内所で鍵を借りて、教会の塔に登ることができます。
塔の上からは、石造りの中世の村と彼方のブドウ畑の風景が一枚の絵画のような美しさで眺められます。感動のひとときです。
☆中世の村を歩く
サンテミリオンは丘の上の村。モノリス教会前の広場が最も高く、そこから四方に石造りの建物が並ぶ坂道が下っています。
石畳の坂を下りたところに、Collegiate教会と付属の修道院。
オープンテラスのカフェは夜遅くまでやっています。有名観光地にありがちな騒がしさがないのがうれしい。
中世のサンテミリオンには要塞が建てられ、12~13世紀の朽ちかけた城門が残っています。
プチトレインに乗って、ブドウ畑を巡ることもできます。
☆ワインを楽しむ
サンテミリオンにはワインショップがたくさんあり、地元産ワインをたくさん売っています。かなり安い! まとめ買いして日本に送ることもできます。
ワインバーやカフェもあって、気軽にワインを飲むことができます。ほとんどの店は夜10時までやってます。ショップは6~7時には閉まりますので、ホテルで飲む方は早めに調達しておきましょう。
サンテミリオンの地下には、かつて採石のために掘られた広大な空間が拡がっています。付近のシャトーが、この空間を絶好のワイン熟成用のカーヴとして利用しています。
カーブの売店でもワインを安く売っています。テイスティングできるところもあります。
村の周囲に広がるブドウ畑に点在するシャトーを訪ねるのもいいですね。どのシャトーがいつ開いているかは観光案内所でおしえてもらえます。テイスティング付のツアーもあります。作り手から、そのシャトーで栽培されているブドウの特徴や製造工程の話を聴くのはおもしろい。
ブドウ畑は場所によって土の構成や日当たりにかなりの違いがあり、サンテミリオン産と一言で呼べないほど多様な味のワインが作られるのです。
☆おしまいに
サンテミリオンという村の名は、8世紀頃にここに隠遁したエミリオン聖人に由来します。古い歴史を持つこの村は、今は高級ワインの産地として知られています。周囲のブドウ畑と合わせて、1999年、ユネスコの世界文化遺産に登録されました。
昼はボルドーからのツアーも来訪し、観光客で賑わいますが、夜と早朝は静けさの中で中世の世界をさまよい歩くことができます。村の中にホテルが十数軒ありますので、ここはぜひ1泊されることをお薦めします。
フランスのいなかの美しい村へのアクセスはわざと不便にしてあるように思えます。観光客で村がごったがえして、俗化するのを防ごうということでしょう。不便を忍んでまで来てくれたお客には最高の経験ができますよ、ということです。サンテミリオンは時間をかけて訪れる価値が十分にあります。