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ワルシャワで何を観る?

ポーランドの首都、ワルシャワ、と聞いて、なにを思い浮かべますか?
ピアノ好きな人はショパンでしょう。 古い世代の人は東西冷戦期の「ワルシャワ条約機構」を思い出されるでしょうか。 最近では、経済成長が著しく東欧の優等生と呼ばれていることか。

☆美しい旧市街!

ワルシャワ歴史地区として世界遺産にも指定されている旧市街。その中心の広場。 ワルシャワ旧市街広場

この広場を含む約1キロ四方の旧市街は、中世の美しい建築が建ち並び、楽しく街歩きできます。建築物として一番の見どころは、この広場から数分南へ行ったところの旧王宮です。

ワルシャワの街は、第二次世界大戦中によって灰燼に帰しましたが、ワルシャワ市民たちは、昔の絵画や町の破壊を予期して人々が描いた スケッチ、写真などをもとにして、レンガのひびに至るまで丹念に修復し、中世の町並みを復活させました。あまりに見事な復元で、造り物という感じが全くしません。

バルバカン門。 旧市街への南の入り口です。観光客を乗せた馬車が行き交います。ワルシャワ門1

このあたりで食べられるポーランド料理、ピエロギ。餃子みたいです。 これに限らずポーランド料理は美味しい。 ワルシャワピエロギ

☆旧市街以外では

訪ねてみてわかったのは、ワルシャワの街全般はかなり殺風景なこと。空港から街に向かうバスの車窓からは、社会主義特有の、機能的でのっぺりしたビルがたくさん見えます。街中に入ってからもです。
街中では最も高い展望台、文化科学宮殿からの眺め。ワルシャワ全景1

これは1950年代にソ連によって建てられ、スターリンの贈り物と呼ばれています。今もワルシャワのランドマークになっており、重々しいながら、風情のかけらも感じられない、周囲を威圧するような外観です。

旧市街は、殺風景な街にぽっかり浮かぶ島のような一角です。

旧市街から南方にバスで十数分行ったところにある、市民の憩いの場所、広大なワジェンキ公園にくじゃくが美しい羽根を広げていました。ワルシャワくじゃく1

ショパンの足跡を巡るとか、コンサート・オペラを聴くのでなければ、ワルシャワ観光は丸1日あれば十分でしょう。

☆ワルシャワへのアクセス

2016年からポーランド航空の直行便ができました。成田を午前中に出発し、夕方にはワルシャワに到着できます。ヨーロッパ主要都市で乗り継いで行くこともできます。最も短時間で行けるのが、ヘルシンキ経由。ヘルシンキからワルシャワへは、朝夕1便ずつあります。

ドイツから列車で行くこともできますが、かなり時間がかかります。

EURO2012観戦記

2012年6月、ポーランド、ウクライナ共同開催のユーロ2012の準々決勝3試合、準決勝1試合を観戦してきました。ユーロは2004、2008についで3大会連続の参戦です。

旅の計画、特にエアラインの選択

日本からポーランド、ウクライナへは直行便がありませんので、ヨーロッパのどこかを経由しなければなりません。

フライト料金は当該路線の需給によって決まりますので、出場国から開催国へのフライトは混み合い、値段は高くなります。そこで出場してない国、かつ、日本からの直行便のある国を経由することにしました。日本から1日2便あるうえに、東欧に最もアクセスの良いフィンエアを選びました。ワルシャワ往復で15万円くらいでした。

ワルシャワ→ドネツクは便数が少なく、予約が取れなかったために、ウィーン経由のオーストリア航空にしました。かなり高価で5万円ちょっとしました。

試合観戦以外の観光

ワルシャワ、キエフ、ドネツクで4試合観戦予定で旅行期間は12日ということで、移動する途中に観光を組み入れました。
・ヘルシンキ、タリン(ヘルシンキから船で1時間半)
・リヴィヴ(ウクライナ西部のカトリック圏の風情ある街)
・クラクフ(ポーランドの古都、京都みたいな街)

旅程

東京→(フライト)→ヘルシンキ→(フライト)→ワルシャワ→(フライト)→ドネツク→(列車)→キエフ→(フライト)→リヴィヴ→(列車)→クラクフ→(列車)→ワルシャワ→(フライト)→ヘルシンキ→(船)→タリン→(船)→ヘルシンキ(フライト)→東京

宿泊予約

宿泊施設が少ないドネツクと、ドイツ人が大勢押しかけそうな準決勝の日のワルシャワの2泊だけを、出発前にUEFAの公式サイトで予約し、その他は当日現地に着いてから探すことにしました。

事前予約では値段が高騰していたからです。通常料金の5倍というウワサもありました。この種の大会の決勝トーナメントでは、宿泊予約のキャンセルは必ず出るもので、当日探せば、通常料金近くで泊れると判断しました。

観戦した試合

6月21日 準々決勝
ポルトガル VS チェコ (ワルシャワ)

チケットなしホテル予約なしで当日朝9時にワルシャワ空港に到着。 まずは、ワルシャワ全景を見渡せるビルの展望台へ。川向こうにスタジアムが見えます。WarsawLandscape

ツーリストインフォで予約してもらったホテルは、中心街からは若干歩くものの、部屋から川の向こうにスタジアムが見えるという絶好のロケーション。試合終了後、赤白にきらめくスタジアムを振り返りながらの徒歩15分は楽しいものでした。☆ひとつながらバス・トイレ付のきれいなシングルルームで219z(¥5,700)

試合開始の約5時間前にスタジアムに行くと、チケットを売っている人が大勢。完全に買い手市場で、複数人から券面を見せてもらってどれを買うかを選べました。

WarsawStadium

メインスタンド2階の放送席のすぐ横、150€の1stカテ。WarsawMatch

試合終了後、ポルトガルが赴くドネツクの準決勝のチケットを売る人もたくさんいました。 試合前の街中でサポーターたちが騒ぐ様子はあまりなく、両国ともに来援人数は少なかったようです。当然、衝突もなし。一度、両国のユニフォームを着た集団どうしが互いの国名を連呼し合ってエールを交わすのに出会いました。

スタンドはポーランド代表のユニフォームを着た人たちもけっこういて、試合途中に「ポルスカ」コールが沸き起こっていました。自国代表が敗退した後もユーロを楽しもうという人たちが多いということです。

6月23日 準々決勝
スペイン VS フランス (ドネツク)

準々決勝を全部観たかったのですが、グダンスク→ドネツクの当日異動のフライトが全く取れずドイツvsギリシャは断念。ウィーン経由のオーストリア航空で試合当日2時にドネツク空港着。

いきなり30℃。暑い! 観光ガイド本は全くなく、グーグルマップで予習はしておいたが、不安だらけ。空港で街の地図をもらってほっとしました。

ターミナルビルはぴかぴかだけど、明日、キエフに移動する航空券を買うために航空会社のカウンターを探しましたがどこにもありません。聞くと、徒歩5分の旧ターミナルとのこと。薄暗い旧ターミナルはけっこう汚い。急普請の馬脚がすぐ見えるのがほほえましい。翌日にキエフに向かう便はすべて満席で空席待ちも受け付けないとのこと。困りました。

市内に向かうバスは無料でした。所要およそ15分ほど。到着後すぐにスタジアムへ。ここも大勢チケットを売る人がいて150€の1stカテ、バックスタンドの前から20列目、フランス側近くを券面額で買いました。ピッチのプレーヤーたちの顔が識別できる距離でした。Donetsk

数日前にUEFAの公式サイトから予約した宿は、スタジアムから街の外に向かって徒歩30分くらいの学生寮。夏休みで学生がいない間、ホテルに転用されていました。バスもトイレもエアコンもないツイン部屋で63€(¥6,300)。観光都市でもなくホテルの部屋がスタジアムのキャパに比べて圧倒的に不足しているのだから仕方ない。

試合前に街をぐるっと歩きました。緑が多くて広々とした街でした。バスやタクシーの運ちゃん、店の店員、駅員など英語がほとんど通じず、表示のほとんどがキリル文字でアルファベット併記のないところが多くて困りました。

この組み合わせでスタンドに空席があるのは驚きでした。アナウンスでは観客は47000人と、きりのいい数字。実際はもっと少なかったんでしょう。この街はアクセスが不便だから自国から応援に来にくい。ウクライナの人たちはポーランドと違って、自国代表チーム以外にはあまり興味がないみたいでした。DontskStand

深夜近い試合終了後は幹線道路まで歩き、そこからは時刻表にないバスが運行されていて、すし詰め状態ながら乗ることができました。

6月23日準々決勝
イングランド VS イタリア (キエフ)

この日もチケットなし、ホテル予約なし。そもそも、現地到着まで、この日のドネツクからキエフへの移動手段すら確保してませんでした。フライトは満席、ふつうの列車では所要12時間かかる距離。

前日、ドネツク駅の窓口で、朝1便だけある高速列車(所要約7時間)も満席。立ち席でも、と食い下がったが断られて困っていたところ、余り券を売ってくれる人があらわれ450グリブナ(¥4,500)で買いました。上乗せを取られていたかもしれないが、これしかないのだから仕方ありません。

朝6時半初の、ウクライナ国鉄自慢のHUNDAI製高速列車は快適。Train

わが新幹線やドイツ、イタリア、フランスの高速列車と遜色ない。現地の人たちは高速列車をHUNDAIと呼んでいました。

キエフ到着後、ツーリストインフォで紹介してもらったホテルは、街の中心の広場(UEFAのファンゾーンになっていました)を見下ろす高層ビル、13階で街中を眺められる部屋が 2690グリブナ(¥27,000) 試合の翌日も連泊しましたが、料金はノーマルになり¥11,000。これくらいなら、大会前に聞いていたぼったくり価格とは言えません。部屋からの眺めは最高でした。

Kiev2

試合開始の約2時間前にスタジアムに行くと、やはり、ここも完全買い手市場。数人から選んで、コーナーフラグ上の2階最前列の2ndカテ、80€。陸上トラックがある分、若干ピッチが遠くに感じられます。この日も空席多し。

KievSta

特にイタリア側。ウクライナではポーランドと違って、自国のユニ着て来場する人が少ない。自国敗退後の熱の残り具合がかなり違います。イングランド側は空席はほとんど見当たりませんでしたが、サポーターたちが街中で騒ぐ、いつものイングランド戦当日の風景はほとんど見られませんでした。

このスタジアムは街中にあって、アクセスがすごく便利。帰りもホテルまでファンゾーンを通って徒歩20分くらいで帰れました。

キエフ大通り2

6月27日 準決勝
ドイツ VS イタリア (ワルシャワ)

前日泊ったクラクフから昼過ぎ列車で移動。この日はホテル予約済み。試合まで市内の歴史地区を歩きました。

この日は満員。出だしは両チームとも好パフォーマンスでしたが、バロテッリの2ゴールの後、ドイツがしゅんとなってしまいました。イタリアはピルロの存在感が抜群。ピルロがタクトを振っているというのがスタンドで観ているとよくわかります。Warsaw Match2

総括

①この2国で大会を共催するというのは無理がありました。距離的に離れているうえに、開催都市間の交通の便が悪い。フライトは席数が少なく、値段が高騰しました。列車、バスは時間がかかりすぎです。

②試合当日の観客誘導、スタジアム周辺の交通、スタジアム内の警備などの現場マネジメントは問題なしでした。さすがは元国民総監視国家。

③試合する国からウクライナまで応援に出かける人が少なかったようです。特に東部のドネツク。交通が不便ですからね。開催決定時の親西欧政権から親ロシア政権に代わって、イギリス、フランスの観に行くな!というネガティヴキャンペーンが効いたようです。

④両国ともGリーグで自国代表チームは敗退しましたが、その後の大会の盛り上がり方が異なりました。ウクライナ人は自国代表以外にはあまり興味がなかったみたいなのに対して、ポーランド人たちは自国以外の試合を楽しもうという様子がありありでした。2002年の日韓の違いと同じですね。