「ブルガリア」カテゴリーアーカイブ

ブルガリア個人旅行ガイド

ブルガリアと言えば日本ではヨーグルトの印象が強いですが、見て、歩いて、食べて、いろいろな魅力のある国です。日本ではあまり知られていないブルガリアの見どころと、個人で旅するコツをご紹介します。

☆ブルガリアはどこにある?

ブルガリアはヨーロッパの東南の端、バルカン半島にあります。トルコとギリシャの北に位置し、東は黒海に面しています。

☆バラの国、ブルガリア

ブルガリア中央部を走るバルカン山脈の南の谷は、バラの産地として有名で、バラの谷と呼ばれています。Kazanlakバラの花

バラ摘みの時期5,6月には、バラの谷ではバラの収穫を祝うバラ祭りが行われます。

その中でも大規模なのは、バラの谷の中心の街、カザンラク(Kazanlak)。郊外ではバラ摘みイベント、街の中心では。バラをたくさん積んだ車や、民族衣装を着た人々のパレードが行われます。Kazanlakばらふぶき

詳しくはこちらへ⇒ブルガリアのバラ祭り

☆ブルガリアの古代遺跡

今のブルガリア人の90%はロシアなどと同じスラブ系ですが、古代以来、様々な民族が往来し、支配体制も変遷してきました。

紀元前に今のブルガリアの地に住んでいたトラキア人が残したフレスコ画がカザンラクに残ります。世界遺産に登録されています。Kazanlakトラキア人

古都プロヴディフに残る古代ローマの劇場跡。 Plovdivローマ劇場

首都ソフィアでは、古代の遺跡が地下鉄工事の際に偶然見つかりました。駅の改札口と遺跡が隣り合ってます。Sofiaセルディカ遺跡

☆東方正教の宗教遺産

中世にはビザンチン帝国の支配下だった時代が長く、今もブルガリア人の宗教の9割は東方正教(ブルガリア正教)です。

ブルガリア1大きいソフィアの「アレクサンダー・ネフスキー寺院」は比較的新しい19世紀の建造です。 Sofiaアレクサンダー・ネフスキー

内部は荘厳な雰囲気で充ちています。Sofiaアレクサンダー・ネフスキー内部

ソフィアの南約65kmの山奥にひっそりたたずむ「リラの僧院」はブルガリアNo1の観光スポット です。Rila僧院

日本で言えば高野山みたいなところです。
修道院の外壁をうめつくすフレスコ画に目を奪われます。Rilaフレスコ画

ソフィアから日帰りで訪れる観光客がほとんどですが、朝夕の静けさの中で、ブルガリアの精神文化をじっくり味わうには、この中の僧院か近くに泊るのもいいでしょう。

リラの僧院については⇒こちらへ

東方正教は同じキリスト教でもカトリックやプロテスタントとはいろいろな点で異なります。ミサをのぞいてみるだけでも、同じ宗教とは思えないくらいです。

教会の内部装飾では、東方教会の特徴はイコンです。イコンはキリスト、聖母、聖者たちを描いた絵画です。

教会内部の正面の祭壇前に置かれ、信者が集う場所と聖職者だけが立ち入れる場所を分け隔てています。ほとんどの教会の内部は撮影禁止なので、プロヴディフの聖コンスタンティン・エレナ教会に併設のギャラリーにあるものをご紹介します。Plovdiv聖コンスタンティン・エレナのイコン

☆イスラムの宗教遺産

ブルガリアはオスマントルコの支配下にあった時代も長かったので、イスラム文化も色濃く残ります。

ソフィアのモスク、バーニャ・バシ・ジャーミア。Sofiaバーニャ・バシ・ジャーミ

☆古い街並みを歩く

ブルガリア第2の街、プロヴディフ(Plovdiv)の旧市街には、19世紀の民族復興期に建てられた邸宅がたくさん残ります。Plovdiv旧市街通り1

その多くはハウスミュージアムとして公開されています。 Plovdiv地域民族博物館

アートギャラリーになっていたり、建築当時の生活ぶりを再現していたりします。Plovdivハウスミュージアム

プロヴディフについては⇒こちらへ

蛇行する川の断崖の上に築かれた要塞都市、ヴェリコ・タルノヴォは12~14世紀の第2次ブルガリア帝国の首都だった街。Velikoツァレヴェッツの丘

崖の斜面にへばりつくように建てられた旧市街の散策を楽しめます。Veliko街

ヴェリコ・タルノヴォについては⇒こちらへ

古い街並みのあちこちが、夜になるとライトアップされて、昼間とは違った風情を見せるのも街歩きの楽しみです。
これはヴェリコ・タルノヴォの大聖堂。Veliko大聖堂夜

☆おいしいブルガリア

「タラトール」:冷製のヨーグルトスープ。きゅうりなどの野菜が入っています。Bulgariaタラトール

「ショプスカ・サラダ」:チーズがかかったサラダ。どこのレストランでもメニューにあります。Bulgariaショプスカサラダ

「カヴァルマ」:豚肉や野菜などを土鍋で煮込んだもの。Bulgariaカヴァルマ

「バルレンカ」:味の付いたパン。主菜の付け合せで、日本のごはんのような食べられ方をする。インドのナンに似ています。Bulgariaパルレンカ

「ケバブチェ」:ブルガリア料理と言うよりバルカン料理。トルコのケバブと同系統で、中世オスマン帝国支配下にあった地域の庶民的な肉料理。
丸いのは「キュフテ」:ブルガリア風のハンバーグで、味はケバブチェとほぼ同じです。Bulgariaケバプチェ&キュフテ

ローズジャムとバラのリキュール。Kazanlakローズジャム

☆安いブルガリア

国内の移動、食事、宿泊など、物価が安いのがブルガリア旅行の魅力のひとつです。いくつか例を挙げます。
(レートは2017年6月)

ソフィアからプロウディフまでバス(144km、所要2時間)が14Lv(≒940円) *ほぼ同じ距離の名古屋-京都のJRバスは2500円

ソフィアの街の中心に位置する3つ星ホテルのシングルルームが65Lv(≒4,200円)

カザンラクのバラ祭りで売られていたローズ石鹸が2Lv(≒130円)

街のスタンドなどで売られているペットボトルの水500mlが30~60円

☆言葉はどうする

首都ソフィアや観光地では英語がよく通じます。レストラン、ショップ、ホテルはまず問題なし。街で道を尋ねても、2人に1人は英語で会話できる人に当たります。心配の種のキリル文字ですが、ほとんどの場合、アルファベット表記も併記されています。

ソフィアの地下鉄の案内標識。Sofia地下鉄表記

プロウディフの修道院の案内。Plovdiv修道院の表示

美術館、博物館の展示品の説明書きも英語併記が多いので助かります。

唯一苦労するのはバスです。バスに表示されている行先も、チケットの印字もキリル文字だけなので、ちょっと苦労します。

これは2017年6月2日17:15ソフィア発プロウディフ行きの6番線から出発するバスのチケットです。買う時に窓口係員が丸で囲って説明してくれたので迷わず乗車できましたが、説明がわかりにくい時は、行先だけでもガイド本のキリル文字と照らし合わせる必要があります。Bulgariaバスチケット

☆お金はどうする

ブルガリアの通貨は「レフ」です。ユーロとの交換比率は政策が変わらない限り固定されています。ホテルなど値段をきくと、ユーロ建てで答えてくれるところも多いです。支払もユーロでできることもあります。

クレジットカードも広く普及しており、国際カードで現金を引き出せるATMも数多くあります。旅行での支払いは西ヨーロッパ諸国と同様と言えます。

☆ブルガリアへのアクセス

ブルガリアと言うとヨーロッパの僻地のような印象はありますが、日本からの直行便が飛んでいる西ヨーロッパ主要都市(パリ、フランクフルト、ロンドンなど)からソフィアへのフライトは1日複数便あり、所要2~3時間ですので、乗継がうまくいけば、片道最短14時間半くらいで行けます。中東(ドーハ、イスタンブール)経由で行くこともできます。

西ヨーロッパからバスや鉄道を乗り継いでも行けますが、長時間かかります。

☆ブルガリアの国内移動

ソフィア⇔ヴァルナ(黒海沿岸のビーチリゾート)にフライトがある以外は鉄道かバスです。同じ区間では鉄道よりバスのほうが所要時間は短く、本数は多い。

バスの乗り心地は路線により便によって異なりますが、最近の日本の高速バスのような快適さは期待できません。マイクロバスみたいなのもあります。

プロヴディフからカザンラクへの所要2時間半のバス。かなり狭苦しかったです。Bulgariaバスの中

日本と違って、長距離移動のための鉄道駅、バスターミナルは街の中心からはずれたところにあります。バスターミナルは行き先によって複数あることもありますので要注意です。

☆ブルガリアのどこを観光するか

筆者の主観で優先順位をつけてみました。

リラの僧院
ヴェリコ・タルノヴォ
プロヴディフ
ソフィア

バラ祭りの時期であれば、カザンラクとその周辺のバラの谷の村々もお薦めです。

筆者が訪れたのは以上ですが、他には、黒海沿岸のビーチリゾート、ピリン山脈のアルペンリゾート、中央部の古い街(コプリフシティツァなど)があります。

ブルガリアの情報は、西ヨーロッパのメジャー観光国に比べるとかなり少ないです。まだ日本のメディアでは紹介されていない穴場があるかもしれません。マニアックではありますが、ネットや歴史書を調べて、”私だけが知っている”街や村を訪ねてみるのもいいでしょう。

では、皆さん、良い旅を!

 

 

リラの僧院:ブルガリアの山奥にたたずむ祈りの世界

ブルガリア正教の総本山、
リラの僧院(Rila Monastery)は
首都ソフィアから南へ約65kmの山奥にひっそりたたずんでいます。うっそうとした森林の曲がりくねった道の先に突然現れる不思議な世界です。Rila周囲の山々

4階建ての外陣に囲まれた敷地の真ん中に建つのが「聖母誕生教会」。Rila外陣

Rila聖母誕生教会

アーチをくぐると外壁の壁面と天井は極彩色のフレスコ画でいっぱいです。Rilaフレスコ画

教会内は上下左右、宗教画に囲まれた荘厳な世界です。東方正教会の教会の常で、正面にはイコノスタス。イコン(キリスト、聖母、聖者たちを描いた絵画)が埋め込まれた壁です。ここのイコノスタスは黄金に輝いています。Rila僧院内部

 

内部は撮影禁止なので、外から望遠で撮りました。

リラの僧院の建物は19世紀に火災で焼失し再建されたものですが、唯一、焼失を免れたのが「フレリョの塔」で、1階がみやげ物屋になっています。Rilaフレリョの塔

敷地を取り巻く外陣にはたくさんの部屋があります。多くには修道士が住んでいて入れません。ここまで来る観光客は少ないのでひっそりしています。Rila外陣回廊

歴史博物館になっているところだけは入れます。Rila博物館

リラの僧院に入るのはタダですが、ここだけは有料です。

☆リラの僧院への行き方

ブルガリアの首都ソフィアからリラの僧院への直通バスは1日1往復、発着時刻はときどき変わります。所要3時間でリラの僧院には1時間半~2時間滞在できます。

僧院近くのリラ村までは、ブラゴエフグラッドなどからバスがたくさんありますが、村から僧院までは1日数本のみです。

つまり、公共交通機関を使ってリラの僧院に行くのはかなり不便です。そこで、ソフィアの旅行会社が主催するツアーで行くのが便利ですが、現地の物価からするとかなり高めの料金設定です。行って帰るだけでも50€以上、少人数だとさらに高い。食事付になると100€以上になります。

ツアーを選ぶ際には、リラの僧院での滞在時間を確認しましょう。往復5時間かかり、行きの道路事情などで到着が遅れることもありますので、食事時間を除いて最低でも2時間は確保したいところです。

リラの僧院の門の前は観光バスがずらりと並びます。Rila観光バス

敷地の中は多くの観光客で賑わいます。静かな祈りの世界を期待して行くとがっかりしますが、ブルガリア随一の観光スポットですから仕方ありません。

☆リラの僧院で泊る

僧院の宿坊で泊れます。リラ村から僧院までの道すがらにも数軒の宿泊施設が点在します。観光客が去って、修道士だけが残る静寂の中で祈りの世界を味わえます。

☆お食事処

駐車場近くにレストランが2軒あります。ソフィアからのツアーは似たような時間に着いて出発するので混み合います。飲み物だけなら敷地の中でも売っているところがあります。

滞在時間が短い場合は、軽食を持参することをお薦めします。

☆ご注意

リラの僧院は観光地である前に祈りの世界ですから、着るものには気をつけてください。Rila禁止物

リラの僧院はブルガリアの精神文化の故郷とも言える重要なところです。オスマン帝国支配下にあった長い時期にも、山奥のここだけは、キリスト教の宗教活動が黙認されていました。1983年にはユネスコの世界遺産に登録されました。

アクセスは不便ですが訪れる価値は十分です。

ブルガリアのバラ祭り

日本ではヨーグルトのイメージが強いブルガリアですが、国を代表する産物は「バラ」です。そして、バラ祭りはブルガリアの一大イベントです。Kazanlakバラの花

ブルガリアの中央部を走るバルカン山脈とスレドナ・ゴラ山脈の間の谷は、バラの産地として有名で、バラの谷と呼ばれています。バラ摘みの時期5,6月には、バラの収穫を祝うフェスティバルが行われます。

その中でも大規模なのは、バラの谷の中心の街、カザンラク(Kazanlak)のバラ祭り。6月第1週末の金土日の3日間、さまざまなイベントが開かれ、世界中から観光客が訪れます。

☆バラ摘み

カザンラクから北に約5kmのバラ園で、バラ摘みイベントが最終日の午前中に行われます。

☆国際フォークロア・フェスティバル

バラ祭りに合わせて、ブルガリア国内および近郊諸国から招かれた舞踊団が、それぞれの民族衣装を着て、伝統舞踊や演奏を披露します。

街の中心、セヴトポリス広場の真ん中に特設ステージが設けられ、バラ祭りの3日間に渡って開催されます。Kazanlak民俗舞踊2

無料で観れ、ステージの周りに人垣ができます。Kazanlak民俗舞踊1

☆バラと民族舞踊のパレード

バラ祭りが最高潮に達するのが3日目のお昼すぎ。カザンラクの中心の通りで、バラをたくさん積んだ車や、民族衣装を着た国際フォークロア・フェスティバルの参加者たちがパレードします。

臨時の観覧席が設けられます。Kazanlak大通り仮設スタンド

招待席や有料席かと思いましたが、一部を除いては早い者勝ちで座れます。

パレードの主役になるのは、バラ祭り初日に(おそらく地元から)選出されるバラの女王。ミスXXXと同じですね。Kazanlakバラの行進

Kazanlakばらふぶき

民族舞踊団も自分たちの民族音楽に合わせ、さまざまな伝統衣装で現れます。これはお隣のルーマニアから。Kazanlak民俗舞踊団行進1

これはどこかな? キリル文字だけでアルファベット表記がないこともあります。Kazanlak民俗舞踊団行進2

☆バラ物産展

民俗舞踊が披露されるセヴトポリス広場から北東に延びるイスクラ通りは人でごったがえします。この通りを中心に、バラを使った様々な雑貨、コスメ、お酒などを販売する屋台が出ます。Kazanlakイスクラ通り

広場からこの通りを20mほど行った左側にバラ祭りのインフォメーションセンターがあります。ここで全体のプログラムを入手できます。(ネットからもダウンロードできます。)Kazanlakバラ祭りプログラム

バラ祭りはバラ物産展でもあります。
ここではローズワインのテイスティング&販売をしていました。ブルガリアのローズオイルの世界シェアは7割とのこと。
Kazanlakローズワイン

 ☆バラ祭り以外のカザンラクの楽しみ

街の北東の公園内にある「トラキア人の墳墓」は世界遺産になっています。この地にスラブ族が定住するはるか以前に住んでいたトラキア人たちが描いたフレスコ画が残っています。セヴトポリス広場から徒歩約10分です。Kazanlakトラキア人

入口は狭く、一度に入場できるのは数人なので、団体と重なるとかなり待つことになります。Kazanlakトラキア人入口

トラキア人の墳墓の隣にある民俗博物館では、19世紀のブルガリア農村の家屋とその中での生活が再現されています。Kazanlak民俗博物館

ローズジャムとローズリキュールも味わえます。 Kazanlakローズジャム

 ☆カザンラクへのアクセス

ソフィアから電車、バスで3時間半~4時間ですが、1日3本ずつしかありません。

プロウディフから1日1便、ヴェリコ・タルノヴォからの1日3便のバスもあります。

以上2017年6月の情報で、2017年のバラ祭りの週末にも増発はありませんでした。

バスターミナルと駅は街の中心セヴトポリス広場から南へ歩いて10分ほどにあります。

カザンラクのバラ祭りは、年一回きりの一大イベントで、小さな街に多くの観光客が押し寄せます。しかし、カザンラクとその近郊の宿泊施設の数は多くないので、寝る場所を確保するのが難題です。早期の予約が必須です。もしくは、料金は高いですが、ソフィア発のツアーでカザンラクまでの移動とホテルをセットで確保するのもいいでしょう。

皆さん、良い旅を!

ブルガリアの混沌の首都:ソフィア

ブルガリアの首都、ソフィア(Sofia)。
ブルガリアを訪れる際は、まず、ソフィアに到着します。

古代から、さまざまな民族、宗教が交錯したブルガリア国の首都だけあって、いろんな文化遺産が混然として残っています。”支離滅裂な街”と言っていいでしょう。それがまたソフィアのおもしろいところです。

☆近代的な大都市ソフィア

ブルガリアが社会主義から脱して20年以上たって、EUにも加盟し、ソフィアは近代的な都市の顔を見せています。

ソフィアの目抜き通り、ヴィトシャ大通りは歩行者天国になっています。両側のショップ、レストランなどを見ていると、西欧の都市と変わりません。Sofiaヴィトシャ大通り

地下鉄の駅はこぎれいです。パリやロンドンの地下鉄の暗く荒んだ感じは全くありません。Sofia地下鉄

☆古代遺跡

ヴィトシャ大通りに面した、スヴェタ・ネデリャ広場がソフィアの街の中心で、周囲には百貨店、高級ホテル、高そうなレストランが並んでいますが、その下にあるセルディカ駅の改札脇に古代遺跡が同居しています。地下鉄工事の際に偶然発見されたものです。 Sofiaセルディカ遺跡

この遺跡は地下鉄駅から地下街のように広がっています。

☆社会主義の遺物

地下の古代遺跡から地上に上がると、目の前に旧共産党本部が迫ってきます。旧共産圏の街にはこのような威圧的な建物が残りますが、ソフィアのはとりわけ大仰な感じがします。 Sofia共産党

国立文化宮殿。劇場や会議場などが入った複合施設です。 Sofia国立文化宮殿

その前にある、労働者を讃えているような、いかにも社会主義っぽいモニュメント。Sofia労働者の像

 ☆イスラムの名残

ブルガリアは14世紀から19世紀までの約500年、オスマントルコの支配下にありました。ソフィアにも堂々としたモスクがあります。 バーニャ・バシ・ジャーミヤ。Sofiaバーニャ・バシ・ジャーミ

☆文化の支柱:ブルガリア正教

バーニャ・バシ・ジャーミヤの横で、小さな教会が屋根だけを突き出しています。聖ぺトカ地下教会は、入り口が狭く窓がありませんが、これはオスマントルコ時代に目立たぬよう、ひっとりと信仰を続けるためでした。Sofia聖ペトカ教会

遺跡とも隣合わせです。左には、のしかかるように高級ホテルの建物、その向こうには聖ネデリャ教会が見えます。ソフィアを象徴するような混沌のワンショットです。Sofia古代遺跡教会ホテル

ソフィアで一番の教会はアレクサンダー・ネフスキー寺院です。19世紀にブルガリア独立のきっかけになった露土戦争で戦死したロシア人兵士を慰霊するために建てられました。

Sofiaアレクサンダー・ネフスキー

外観は見上げるほどでかく、中は巨大な空間です。Sofiaアレクサンダー・ネフスキー内部

夜は昼間とはまた違った表情を見せます。Sofiaアレクサンダー・ネフスキー夜

このあたりは国会議事堂、美術館などライトアップされる建物が多く、夜のお散歩に最適なエリアです。

周囲をビルに囲まれた聖ゲオルギ教会は4世紀に建てられたソフィア最古の教会です。隣にはローマの浴場跡も残ります。Sofia聖ゲオルギ教会

☆ユダヤ教もある

ソフィア・シナゴーグは20世紀初頭の建築。内部の巨大なジャンデリアが印象的です。Sofiaシナゴーグ

☆その他

モスクの向かいに重厚な建物がありました。なにかと思って入ってみると、市場でした。セントラル・ハリは、広い空間にお店がずらりと並んでいます。観光客用のショップではなく、ソフィア市民の人たちが日常買いするお店ばかりです。Sofia市場

混沌としたソフィアを見下ろす標高2000m級の山々。これは筆者が泊ったソフィア中心部のホテル(Hotel Rila)10階バルコニーからの眺めです。Sofiaヴィトシャ山

ソフィアから山頂近くまでバスで行けます。

☆ソフィアで泊る

ソフィアは大都市だけあって、宿泊施設はたくさんあり、各人の予算に応じて選べます。

筆者のお薦めはホステル・モステル(Hostel Mostel)。地球の歩き方にも載っているドミトリーで、1泊2食付で10€(≒1,300円)という破格の値段です。宿泊者のほとんどは若者ですが、年齢制限は設けていません。男女混合相部屋ですが、ひとりずつ鍵付ロッカーはあります。
値段は上がりますが個室もあります。
街の中心ズヴェタ・ネデリャ広場とセルディカ駅まで歩いて10分ちょっとの便利なロケーションにあります。
Sofia Hostel Mostel
このホステルは、アクセスが不便なリラの僧院へ行くツアーを20€で主催しています。ほぼ毎日ありますが、ワゴン車がいっぱいになると締切(一定人数が集まれば2台めもある)になりますから、到着したらすぐに登録簿に名前を書き込みましょう。

ブルガリアは国中に魅力たっぷりの観光スポットがたくさんあります。行きと帰りに必ず立ち寄ることになるソフィアもユニークな街で歩きがいがあります。トラムやバス網も充実してますから、歩くのが苦手な方でも、さまざまな文化遺産を見て回れます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

プロブディフ:かわいい旧市街を歩く

ブルガリア第2の都市、プロヴディフ(Plovdiv)は「6つの丘の町」と言われ、起伏に富んだ、おもしろい地形の街です。

プロヴディフの丘の上の旧市街には、古いかわいい建物が建ち並びます。石畳の迷路のような小道をさまよい歩くのがとても愉快です。 建物の中はアートの世界!

☆古代を感じる

プロヴディフ旧市街の丘の断崖に古代ローマ劇場の跡が残ります。舞台の背後に新市街を見下ろし、その向こうにロドピ山脈の絶景です。Plovdivローマ劇場

ローマ時代より前の紀元前4世紀に築かれた要塞の跡、ネベット・テペ。眼下にプロヴディフの繁華街、その向こうに街を囲む3つの丘を見渡せます。夕暮れ時のこの景色は特に美しいとのことです。Plovdivネベット・テペ

☆19世紀の民族復興期の邸宅巡り

プロヴディフの丘の上の旧市街はまるでアップダウン付の迷路。石畳の道を歩くと、おもしろい建物が次から次へと現われ、旧市街まるごと博物館のようです。

上層階が道に張り出している建物が多い。Plovdiv旧市街通り2

19世紀、オスマントルコの支配下にあったブルガリアでは、民族主義が高まり、ついには独立に至るのですが、その頃に建てられたお金持ちの邸宅がプロヴディフの旧市街にはたくさん残っています。その多くはハウスミュージアムとして内部が公開されています。

地域民族博物館。元はギリシャ商人の邸宅でした。Plovdiv地域民族博物館

ボヤジノフの家。元は19世紀のお医者さんのお宅でしたが、今は、ブルガリア現代画家ボヤジノフの絵画が展示されています。Plovdivボヤジノフの家

バラバノフの家。Plovdivバラバノフの家

ギャラリーもありますが、19世紀当時の住居の様子を知るにはここが一番でしょう。2階の広間で室内楽のコンサートが開かれることもあります。Plovdivバラバノフの家内部

アップダウンの激しいプロヴディフの旧市街ですが、歩き疲れたら、こんなかわいい中庭でひと休み。

Plovdiv中庭

☆教会でアートを味わう

旧市街の真ん中にある聖コンスタンティン・エレナ教会。外壁いっぱいにフレスコ画が描かれています。Plovdiv聖コンスタンティン・エレナ

併設の美術館は黄金に輝くイコンが観られます。Plovdiv聖コンスタンティン・エレナのイコン

聖処女教会は、旧市街に登っていく坂の途中にあります。Plovdiv聖処女教会

建物はかわいい感じですが、内部は荘厳。Plovdiv聖処女教会内部

☆イスラムもある

街の中心、リムスキ・スタディオン広場には、ローマ時代の競技場の跡が一部残っています。その横にある、ジュマイヤ・ジャーミアは、14世紀のオスマン朝初期の建物です。Plovdivジュマヤ・ジャーミヤ

Plovdivジュマヤ・ジャーミヤ内部

☆現代のプロヴディフ

プロヴディフはブルガリア第2の都市だけあって、新市街は広く賑やかです。見本市も開かれることもあり、観光だけでなく、ビジネスでの訪問客も多い街です。

街の中心であり、旧市街への入り口にあたるリムスキ・スタディオン広場と南の中央広場を結ぶ約600mの歩行者天国のアレクサンデル・バテンベルク通りが街の目抜き通りです。Plovdivアレクサンデル・バテンベルク通り

多くのショップ、レストランなどが建ち並び、夜遅くまで人通りが絶えません。

☆プロヴディフで泊る

宿泊施設はたくさんありますが、丘の上の旧市街か、なるべく旧市街近くに泊るのがお薦めです。ライトアップされた歴史的建造物を観ながらの夜のお散歩も楽しいです。

☆プロヴディフへのアクセス

首都ソフィアからバスまたは列車です。バスのほうが所要時間が短く(約2時間)、頻発しているので便利です。

ソフィアからのバスのほとんどはプロヴディフ中央駅近くのバスターミナル(アフトガーラ・ユク)に発着します。旧市街入口のリムスキ・スタディオン広場までは歩いて20分くらいです。

プロヴディフのバスターミナルは他に2つあり、そのうちのひとつアフトガーラ・セヴェルは旧市街を挟んでアフトガーラ・ユクとは反対の北側にあります。歩いては行けない距離なので、中央広場の横からバスになります。

自分の乗るバスがどのターミナルかを確認するようにしてください。

☆歴史的建造物、美術館内部の写真撮影

プロヴディフに限らずブルガリア全般ですが、歴史的建造物、美術館内部の写真撮影は原則禁止です。但し、場所によっては入場料に加えて別途料金を支払うことで、撮影が許されることがあります。その別途料金というのが、なんでも安いブルガリアの物価からするとちょっと高額です。入場料の倍額くらいが多いです。

では、皆さん、良い旅を!

 

 

 

 

 

崖の上の中世:ヴェリコ・タルノヴォ

ヴェリコ・タルノヴォはブルガリアで最も中世の雰囲気を感じられる街です。12世紀から14世紀にかけてタルノヴォと呼ばれ、強盛を誇った第2次ブルガリア帝国の首都でした。

☆特異な地形の立体的な街

ヴェリコ・タルノヴォは、蛇行して流れるヤントラ川に囲まれた3つの丘から成ります。Veliko Map

ヤントラ川から切り立った崖の斜面にへばりつくように建てられた家並みが印象的です。Veliko街

Veliko崖にへばりつく家々

街歩きには かなりのアップダウンがありますが、自然と中世の古い街並みがミックスされた中を歩くのは味わい深いものです。

☆ツァレヴェッツの丘の城跡

3つの丘のひとつ、ヤントラ川に囲まれた切り立った崖の上に建てられた、第2次ブルガリア帝国時代の城跡です。Velikoツァレヴェッツの丘

全盛時は丘全体が宮殿だったとのこと。歩いてみると、”兵どもが夢の跡”という感じがします。今、残るのは城壁と頂上に建つ大主教区教会だけ。 Veliko大主教区教会

内部はブルガリア現代画家によるモダンな装飾で、ふつうの教会とは趣が違います。Veliko大主教区教会内部

ここから起伏に富んだヴェリコ・タルノヴォの街の全景が眺められます。手前が旧市街。奥に広がるのが新市街。Veliko街全体

夏の間、この丘全体をライトアップするショーが行われています。所要30分くらいです。Velikoツァレヴェッツの丘夜

開催日時は不定期ですので、観光案内所のサイトで要確認です。観るだけならツァレヴェッツの丘の入り口近くの広場から楽しめますが、25Lv払うと大聖堂近くのテラスから迫力ある音響付きで座って観られます。25Lvはブルガリアの物価からすると高めで、雨の日、寒い日以外は立って観るだけで十分かと思います。

☆旧市街の中世の街並みを歩く

新市街と旧市街のちょうど間にある「ブルガリアの母広場」が街の中心で、路線バスの多くがここに集まります。Velikoブルガリアの母広場

ここからツァレヴェッツの丘までの旧市街は見どころたっぷりです。

職人街サモヴォドスカタ・チャルシャ。チャルシャは市場を意味します。Velikoサモヴォドスカ・チャルシャ

ヴェリコ・タルノヴォは昔から工芸美術が盛んで、この通りには、陶器、金銀細工、木彫り、透かし彫り、ビーズ細工、伝統菓子、イコンなど、手作りの工芸品を製作する工房が、今も軒を連ねています。

旧市街からツァレヴェッツの丘に行く途中にある大聖堂。昼よりもライトアップされた夜のほうが風情あります。Veliko大聖堂

サラフキナの家。19世紀のお金持ちの邸宅がハウスミュージアムになっています。Velikoサラフキナの家 Velikoサラフキナの家内部

☆谷底の教会を訪ね歩く

ツァレヴェッツの丘から下った谷底のアセノフ地区。古くからの教会がいくつも残ります。Veliko丘を見上げる

聖ペテロ・聖パウロ教会。Veliko聖ペテロ聖パウロ

内部のフレスコ画がみごとです。Veliko聖ペテロ聖パウロ内部

聖ゲオルギ教会。Veliko聖ディミタル教会

40人教会。Veliko40人教会

☆ヴェリコ・タルノヴォで泊る

ブルガリアではメジャな観光地だけあって、高級ホテルから民宿まで宿泊施設は豊富にあります。ここはぜひ旧市街に泊ることをお薦めします。「ブルガリアの母広場」から東、大聖堂までの間にたくさんあります。

筆者が泊った「Meridian Hotel Bolyarski」はヤントラ川の渓谷を見下ろす崖の斜面に建っており、部屋からは、スヴェタ・ゴラの丘に立つアッセン王のモニュメントとヴェリコ・タルノヴォ美術館を眺められました。Veliko美術館とアッセン王

夏休みシーズンではなかったせいか(6月初旬)、4つ星ながら¥5,000弱という安さでした。

☆ヴェリコ・タルノヴォへのアクセス

首都ソフィアからバスが1時間に1,2本、複数会社によって運行されています。所要約3時間。鉄道もありますが、乗り換えが必要で、所要時間も長いのでやめたほうがいいでしょう。

ヴェリコ・タルノヴォのバスターミナル(アフトガーラ)は2つありますが、ソフィアからのバスはブルガリアの母広場から南へ歩いて約15分のアフトガーラ・ユクに発着します。

もうひとつのバスターミナル、アフトガーラ・ザパッドはブルガリアの母広場から西に約3km。路線バスでのアクセスになります。

ソフィアから日帰りで来る人もいますが、ヴェリコ・タルノヴォはソフィア以上に見どころが多いので、1泊以上されることをお薦めします。