夏のヨーロッパを彩る音楽祭。
風光明媚なリゾート地、ふだんは訪れる人の少ない辺鄙な小都市など、通常とは違う場所で、せわしない日常を忘れて、リラックスして音楽を楽しめます。コンサートホールだけなく、教会、古代の円形劇場など、珍しい雰囲気を味わえる会場で行われることもあります。
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まず、代表的な音楽祭を3つご紹介しましょう。
☆超メジャーなザルツブルク(オーストリア)
世界中のセレブが集まります。男性は暑いのに上着を着ている人がほとんど。ファッションショーと間違えているのではという女性も多い。スノッブな感じが鼻につくけど、モーツァルトの生地で終日音楽漬けの極楽気分が味わえます。メジャーなアーティストや楽団のコンサートは、ヨーロッパの音楽祭で最も高額ですが、教会や小劇場で行われるコンサートの中には¥5,000以下もしくは無料のものも数多くあります。
☆ヴェローナの古代劇場で野外オペラ
by Alan
9時/9時半開演のころはまだ明るく、徐々に暗くなるにつれて雰囲気が盛り上がっていきます。周囲はひんやりしていくのに反比例して、気分が熱くなっていくのは、なんとも言い難い不思議な体験です。
☆スイスの山岳リゾートで大自然&音楽に浸れるヴェルビエ音楽祭
by Olivier Bruchez
若手演奏家の育成目的で始まった音楽祭ですが、その趣旨に賛同する著名演奏家の出演が増え、かなりの高水準です。コンサートの休憩時間に、谷にせり出した屋外テラスでワイン片手に夕闇迫るアルプスを眺めるのは至福のひとときでした。昼間は演奏家の卵たちの安価なコンサート聴くもよし、天気が良ければトレッキングに出かけるのもよし。
続いて、夏の音楽祭にお出かけになる方のためのティップスです。
☆通常のシーズン公演よりお値段は高め
ヨーロッパの舞台芸術には日本以上に公的な助成がされていますが、夏の音楽祭にはほとんどありません。したがって、同じ演奏者、楽団でも値段は通常より高くなります。
☆チケットより宿の心配をしたほうがいい所もある
ザルツブルクのような、いつも観光客であふれている街であればホテルのベッド数は十分にあります。ところが、訪れる観光客と宿泊キャパが著しくアンバランスになるところもあるのです。
例えば、野外オペラで有名なヴェローナでは、古代円形劇場のキャパは18,000くらいあり、訪れる客のほとんどは市外からの観光客ですが、歩いて帰れるホテルのベッド数はその10分の1以下です。タクシーを使って行けるところも含めても、到底足りません。終演は24時をすぎますから、電車やバスで他の街に行くこともできません。
席の位置を気にしなければチケットは容易に入手できますが、ホテルの確保は至難です。市内のホテルのほとんどは旅行業者が抑えているため、よほど早くに予約を入れないと取れません。ヴェローナ駅で寝転がっている人が相当数いるらしいです。こうなると、業者を頼るしかありません。チケット&ホテルのセットで元値の2倍くらい払うのは致し方ありません。
音楽祭が行われる街のホテル料金は高騰しますので、終演時間が電車やバスがある時刻であれば、他の街に宿を取ることもできます。
☆ドレスコードが厳しいところもある
本場でクラシック音楽を聴くときは上着&ネクタイが必須などと思っている人は多いようですが、通常はそうでもありません。ところが、夏の音楽祭の中には、暑くても上着&ネクタイでないと、居づらい雰囲気のところがあります。ザルツブルクはその代表です。事前にネットなどでドレスコードを調べてお出かけください。
ヨーロッパの夏の音楽祭には、ザルツブルク、ルツェルン、ヴェローナのようなメジャーなところから、バイロイトのようなマニアが集うところ、知る人ぞ知る無名ながら高水準を誇るものなど様々あります。夏のヨーロッパ旅行に組み込んでみられてはいかがでしょうか。