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趣味で27年間、ヨーロッパを中心に世界を旅してます。 数えてみたら約350日が旅の空の下でした。 2014年春、サラリーマンをやめて、 フリーランスの経営コンサルタントになり、 時間が自由になったのをいいことに、 半年で50日間、12か国を旅しました。 多くの人が自分だけのすてきな旅ができるように 情報をたくさん提供していきます。

奇跡の村:チヴィタ・ディ・バニョレージョ

地球上にこんなところがあるとは! チヴィタ・ディ・バニョレージョ(Civita di Bagnoregio)は、切り立った崖の上にちょこんとのっかった石造りの小さな村。

風雨によって崖の側面の浸食が進み、いずれはなくなってしまうので、チヴィタ・ディ・バニョレージョは「死にゆく村」と呼ばれています。

丘の上に村落が築かれるのはこの地方にはよくあります。約2500年前にできたチヴィタ・ディ・バニョレージョも、当初は丘の下から道をつたって登り着けたでしょう。しかし、今では隣の丘にあるバニョレージョ村から架かる約300mの橋が唯一のアクセス路です。

橋を歩いていくと村が眼前に迫ってきます。Bagoregio橋

ここから村に入ります。Bagnoregio門

門をくぐると、そこは中世の世界。Bagnoregio広場

入口の門からまっすぐ道が走っていて、3分も歩けば村の端に着いてしまいます。これがチヴィタ・ディ・バニョレージョのメインストリート。Bagnoregioメインストリート

その中間に村の中心の広場があります。広場に面した教会は黄褐色で地味な感じがします。Bagnoregio教会

メインストリートから横に小道を入って30~50mも歩くと、やはり村のはずれに達します。緑の丘が連なる、のどかな風景を見渡せます。Bagnoregio見晴し

チヴィタ・ディ・バニョレージョの住人は10人程度とのことですが、家々はきれいに飾られています。

Bagnoregio村の飾りつけ

昼間は観光客がいるので、「死にゆく村」と言っても、廃れた感は全くありません。

ホテル/民宿が2軒あるので、宿泊して、観光客の去った朝夕の村を歩いてみると、また違った印象になるかもしれません。

石造りの建物をそのまま利用したレストラン。道に張り出したテラス席もあって、中世の風情を感じながら地元産のワインを味わってみてはいかがでしょうか。Bagnoregioレストラン

☆チヴィタ・ディ・バニョレージョへの行き方

チヴィタ・ディ・バニョレージョはローマがあるラツィオ州とその北のウンブリア州の中間にあり、オルヴィエート(Orvieto)からバスでのアクセスになります。1日10本くらいあり、所要約1時間20分です。休日には本数が減ります。Civita Map©2018 Google

オルヴィエートはローマとフィレンツエを結ぶ主要幹線上にあって、ローマからは直通列車で1時間3~30分(ほぼ1時間1本)。フィレンツェからは直通列車で2時間11分(2時間に1本)です。

ローマから列車で2時間15分のヴィテルボ(Viterbo)からバスもあります。1日約10本、所要約50分です。

バニョレージョのバス停からチヴィタへの入り口までは、ほぼ平坦な道を約1km歩きます。入口近くにはかなり広い駐車場もあります。ここで入場料3€(2017年10月時点)を払って橋を渡ります。

橋を渡ったチヴィタの入り口から見るバニョレージョの村。Bagnoregio街

バニョレージョの村はイタリアのふつうのいなかの村で、宿泊施設が数軒あります。

チヴィタ・ディ・バニョレージョは現代から取り残された中世の世界。ローマを訪れたら、1日を割いて訪ねてみてはいかがでしょうか。一生忘れがたい思い出になりますよ。

(筆者が訪れた日:2017年10月20日)

 

 

 

ブルガリアの混沌の首都:ソフィア

ブルガリアの首都、ソフィア(Sofia)。
ブルガリアを訪れる際は、まず、ソフィアに到着します。

古代から、さまざまな民族、宗教が交錯したブルガリア国の首都だけあって、いろんな文化遺産が混然として残っています。”支離滅裂な街”と言っていいでしょう。それがまたソフィアのおもしろいところです。

☆近代的な大都市ソフィア

ブルガリアが社会主義から脱して20年以上たって、EUにも加盟し、ソフィアは近代的な都市の顔を見せています。

ソフィアの目抜き通り、ヴィトシャ大通りは歩行者天国になっています。両側のショップ、レストランなどを見ていると、西欧の都市と変わりません。Sofiaヴィトシャ大通り

地下鉄の駅はこぎれいです。パリやロンドンの地下鉄の暗く荒んだ感じは全くありません。Sofia地下鉄

☆古代遺跡

ヴィトシャ大通りに面した、スヴェタ・ネデリャ広場がソフィアの街の中心で、周囲には百貨店、高級ホテル、高そうなレストランが並んでいますが、その下にあるセルディカ駅の改札脇に古代遺跡が同居しています。地下鉄工事の際に偶然発見されたものです。 Sofiaセルディカ遺跡

この遺跡は地下鉄駅から地下街のように広がっています。

☆社会主義の遺物

地下の古代遺跡から地上に上がると、目の前に旧共産党本部が迫ってきます。旧共産圏の街にはこのような威圧的な建物が残りますが、ソフィアのはとりわけ大仰な感じがします。 Sofia共産党

国立文化宮殿。劇場や会議場などが入った複合施設です。 Sofia国立文化宮殿

その前にある、労働者を讃えているような、いかにも社会主義っぽいモニュメント。Sofia労働者の像

 ☆イスラムの名残

ブルガリアは14世紀から19世紀までの約500年、オスマントルコの支配下にありました。ソフィアにも堂々としたモスクがあります。 バーニャ・バシ・ジャーミヤ。Sofiaバーニャ・バシ・ジャーミ

☆文化の支柱:ブルガリア正教

バーニャ・バシ・ジャーミヤの横で、小さな教会が屋根だけを突き出しています。聖ぺトカ地下教会は、入り口が狭く窓がありませんが、これはオスマントルコ時代に目立たぬよう、ひっとりと信仰を続けるためでした。Sofia聖ペトカ教会

遺跡とも隣合わせです。左には、のしかかるように高級ホテルの建物、その向こうには聖ネデリャ教会が見えます。ソフィアを象徴するような混沌のワンショットです。Sofia古代遺跡教会ホテル

ソフィアで一番の教会はアレクサンダー・ネフスキー寺院です。19世紀にブルガリア独立のきっかけになった露土戦争で戦死したロシア人兵士を慰霊するために建てられました。

Sofiaアレクサンダー・ネフスキー

外観は見上げるほどでかく、中は巨大な空間です。Sofiaアレクサンダー・ネフスキー内部

夜は昼間とはまた違った表情を見せます。Sofiaアレクサンダー・ネフスキー夜

このあたりは国会議事堂、美術館などライトアップされる建物が多く、夜のお散歩に最適なエリアです。

周囲をビルに囲まれた聖ゲオルギ教会は4世紀に建てられたソフィア最古の教会です。隣にはローマの浴場跡も残ります。Sofia聖ゲオルギ教会

☆ユダヤ教もある

ソフィア・シナゴーグは20世紀初頭の建築。内部の巨大なジャンデリアが印象的です。Sofiaシナゴーグ

☆その他

モスクの向かいに重厚な建物がありました。なにかと思って入ってみると、市場でした。セントラル・ハリは、広い空間にお店がずらりと並んでいます。観光客用のショップではなく、ソフィア市民の人たちが日常買いするお店ばかりです。Sofia市場

混沌としたソフィアを見下ろす標高2000m級の山々。これは筆者が泊ったソフィア中心部のホテル(Hotel Rila)10階バルコニーからの眺めです。Sofiaヴィトシャ山

ソフィアから山頂近くまでバスで行けます。

☆ソフィアで泊る

ソフィアは大都市だけあって、宿泊施設はたくさんあり、各人の予算に応じて選べます。

筆者のお薦めはホステル・モステル(Hostel Mostel)。地球の歩き方にも載っているドミトリーで、1泊2食付で10€(≒1,300円)という破格の値段です。宿泊者のほとんどは若者ですが、年齢制限は設けていません。男女混合相部屋ですが、ひとりずつ鍵付ロッカーはあります。
値段は上がりますが個室もあります。
街の中心ズヴェタ・ネデリャ広場とセルディカ駅まで歩いて10分ちょっとの便利なロケーションにあります。
Sofia Hostel Mostel
このホステルは、アクセスが不便なリラの僧院へ行くツアーを20€で主催しています。ほぼ毎日ありますが、ワゴン車がいっぱいになると締切(一定人数が集まれば2台めもある)になりますから、到着したらすぐに登録簿に名前を書き込みましょう。

ブルガリアは国中に魅力たっぷりの観光スポットがたくさんあります。行きと帰りに必ず立ち寄ることになるソフィアもユニークな街で歩きがいがあります。トラムやバス網も充実してますから、歩くのが苦手な方でも、さまざまな文化遺産を見て回れます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

プロブディフ:かわいい旧市街を歩く

ブルガリア第2の都市、プロヴディフ(Plovdiv)は「6つの丘の町」と言われ、起伏に富んだ、おもしろい地形の街です。

プロヴディフの丘の上の旧市街には、古いかわいい建物が建ち並びます。石畳の迷路のような小道をさまよい歩くのがとても愉快です。 建物の中はアートの世界!

☆古代を感じる

プロヴディフ旧市街の丘の断崖に古代ローマ劇場の跡が残ります。舞台の背後に新市街を見下ろし、その向こうにロドピ山脈の絶景です。Plovdivローマ劇場

ローマ時代より前の紀元前4世紀に築かれた要塞の跡、ネベット・テペ。眼下にプロヴディフの繁華街、その向こうに街を囲む3つの丘を見渡せます。夕暮れ時のこの景色は特に美しいとのことです。Plovdivネベット・テペ

☆19世紀の民族復興期の邸宅巡り

プロヴディフの丘の上の旧市街はまるでアップダウン付の迷路。石畳の道を歩くと、おもしろい建物が次から次へと現われ、旧市街まるごと博物館のようです。

上層階が道に張り出している建物が多い。Plovdiv旧市街通り2

19世紀、オスマントルコの支配下にあったブルガリアでは、民族主義が高まり、ついには独立に至るのですが、その頃に建てられたお金持ちの邸宅がプロヴディフの旧市街にはたくさん残っています。その多くはハウスミュージアムとして内部が公開されています。

地域民族博物館。元はギリシャ商人の邸宅でした。Plovdiv地域民族博物館

ボヤジノフの家。元は19世紀のお医者さんのお宅でしたが、今は、ブルガリア現代画家ボヤジノフの絵画が展示されています。Plovdivボヤジノフの家

バラバノフの家。Plovdivバラバノフの家

ギャラリーもありますが、19世紀当時の住居の様子を知るにはここが一番でしょう。2階の広間で室内楽のコンサートが開かれることもあります。Plovdivバラバノフの家内部

アップダウンの激しいプロヴディフの旧市街ですが、歩き疲れたら、こんなかわいい中庭でひと休み。

Plovdiv中庭

☆教会でアートを味わう

旧市街の真ん中にある聖コンスタンティン・エレナ教会。外壁いっぱいにフレスコ画が描かれています。Plovdiv聖コンスタンティン・エレナ

併設の美術館は黄金に輝くイコンが観られます。Plovdiv聖コンスタンティン・エレナのイコン

聖処女教会は、旧市街に登っていく坂の途中にあります。Plovdiv聖処女教会

建物はかわいい感じですが、内部は荘厳。Plovdiv聖処女教会内部

☆イスラムもある

街の中心、リムスキ・スタディオン広場には、ローマ時代の競技場の跡が一部残っています。その横にある、ジュマイヤ・ジャーミアは、14世紀のオスマン朝初期の建物です。Plovdivジュマヤ・ジャーミヤ

Plovdivジュマヤ・ジャーミヤ内部

☆現代のプロヴディフ

プロヴディフはブルガリア第2の都市だけあって、新市街は広く賑やかです。見本市も開かれることもあり、観光だけでなく、ビジネスでの訪問客も多い街です。

街の中心であり、旧市街への入り口にあたるリムスキ・スタディオン広場と南の中央広場を結ぶ約600mの歩行者天国のアレクサンデル・バテンベルク通りが街の目抜き通りです。Plovdivアレクサンデル・バテンベルク通り

多くのショップ、レストランなどが建ち並び、夜遅くまで人通りが絶えません。

☆プロヴディフで泊る

宿泊施設はたくさんありますが、丘の上の旧市街か、なるべく旧市街近くに泊るのがお薦めです。ライトアップされた歴史的建造物を観ながらの夜のお散歩も楽しいです。

☆プロヴディフへのアクセス

首都ソフィアからバスまたは列車です。バスのほうが所要時間が短く(約2時間)、頻発しているので便利です。

ソフィアからのバスのほとんどはプロヴディフ中央駅近くのバスターミナル(アフトガーラ・ユク)に発着します。旧市街入口のリムスキ・スタディオン広場までは歩いて20分くらいです。

プロヴディフのバスターミナルは他に2つあり、そのうちのひとつアフトガーラ・セヴェルは旧市街を挟んでアフトガーラ・ユクとは反対の北側にあります。歩いては行けない距離なので、中央広場の横からバスになります。

自分の乗るバスがどのターミナルかを確認するようにしてください。

☆歴史的建造物、美術館内部の写真撮影

プロヴディフに限らずブルガリア全般ですが、歴史的建造物、美術館内部の写真撮影は原則禁止です。但し、場所によっては入場料に加えて別途料金を支払うことで、撮影が許されることがあります。その別途料金というのが、なんでも安いブルガリアの物価からするとちょっと高額です。入場料の倍額くらいが多いです。

では、皆さん、良い旅を!

 

 

 

 

 

崖の上の中世:ヴェリコ・タルノヴォ

ヴェリコ・タルノヴォはブルガリアで最も中世の雰囲気を感じられる街です。12世紀から14世紀にかけてタルノヴォと呼ばれ、強盛を誇った第2次ブルガリア帝国の首都でした。

☆特異な地形の立体的な街

ヴェリコ・タルノヴォは、蛇行して流れるヤントラ川に囲まれた3つの丘から成ります。Veliko Map

ヤントラ川から切り立った崖の斜面にへばりつくように建てられた家並みが印象的です。Veliko街

Veliko崖にへばりつく家々

街歩きには かなりのアップダウンがありますが、自然と中世の古い街並みがミックスされた中を歩くのは味わい深いものです。

☆ツァレヴェッツの丘の城跡

3つの丘のひとつ、ヤントラ川に囲まれた切り立った崖の上に建てられた、第2次ブルガリア帝国時代の城跡です。Velikoツァレヴェッツの丘

全盛時は丘全体が宮殿だったとのこと。歩いてみると、”兵どもが夢の跡”という感じがします。今、残るのは城壁と頂上に建つ大主教区教会だけ。 Veliko大主教区教会

内部はブルガリア現代画家によるモダンな装飾で、ふつうの教会とは趣が違います。Veliko大主教区教会内部

ここから起伏に富んだヴェリコ・タルノヴォの街の全景が眺められます。手前が旧市街。奥に広がるのが新市街。Veliko街全体

夏の間、この丘全体をライトアップするショーが行われています。所要30分くらいです。Velikoツァレヴェッツの丘夜

開催日時は不定期ですので、観光案内所のサイトで要確認です。観るだけならツァレヴェッツの丘の入り口近くの広場から楽しめますが、25Lv払うと大聖堂近くのテラスから迫力ある音響付きで座って観られます。25Lvはブルガリアの物価からすると高めで、雨の日、寒い日以外は立って観るだけで十分かと思います。

☆旧市街の中世の街並みを歩く

新市街と旧市街のちょうど間にある「ブルガリアの母広場」が街の中心で、路線バスの多くがここに集まります。Velikoブルガリアの母広場

ここからツァレヴェッツの丘までの旧市街は見どころたっぷりです。

職人街サモヴォドスカタ・チャルシャ。チャルシャは市場を意味します。Velikoサモヴォドスカ・チャルシャ

ヴェリコ・タルノヴォは昔から工芸美術が盛んで、この通りには、陶器、金銀細工、木彫り、透かし彫り、ビーズ細工、伝統菓子、イコンなど、手作りの工芸品を製作する工房が、今も軒を連ねています。

旧市街からツァレヴェッツの丘に行く途中にある大聖堂。昼よりもライトアップされた夜のほうが風情あります。Veliko大聖堂

サラフキナの家。19世紀のお金持ちの邸宅がハウスミュージアムになっています。Velikoサラフキナの家 Velikoサラフキナの家内部

☆谷底の教会を訪ね歩く

ツァレヴェッツの丘から下った谷底のアセノフ地区。古くからの教会がいくつも残ります。Veliko丘を見上げる

聖ペテロ・聖パウロ教会。Veliko聖ペテロ聖パウロ

内部のフレスコ画がみごとです。Veliko聖ペテロ聖パウロ内部

聖ゲオルギ教会。Veliko聖ディミタル教会

40人教会。Veliko40人教会

☆ヴェリコ・タルノヴォで泊る

ブルガリアではメジャな観光地だけあって、高級ホテルから民宿まで宿泊施設は豊富にあります。ここはぜひ旧市街に泊ることをお薦めします。「ブルガリアの母広場」から東、大聖堂までの間にたくさんあります。

筆者が泊った「Meridian Hotel Bolyarski」はヤントラ川の渓谷を見下ろす崖の斜面に建っており、部屋からは、スヴェタ・ゴラの丘に立つアッセン王のモニュメントとヴェリコ・タルノヴォ美術館を眺められました。Veliko美術館とアッセン王

夏休みシーズンではなかったせいか(6月初旬)、4つ星ながら¥5,000弱という安さでした。

☆ヴェリコ・タルノヴォへのアクセス

首都ソフィアからバスが1時間に1,2本、複数会社によって運行されています。所要約3時間。鉄道もありますが、乗り換えが必要で、所要時間も長いのでやめたほうがいいでしょう。

ヴェリコ・タルノヴォのバスターミナル(アフトガーラ)は2つありますが、ソフィアからのバスはブルガリアの母広場から南へ歩いて約15分のアフトガーラ・ユクに発着します。

もうひとつのバスターミナル、アフトガーラ・ザパッドはブルガリアの母広場から西に約3km。路線バスでのアクセスになります。

ソフィアから日帰りで来る人もいますが、ヴェリコ・タルノヴォはソフィア以上に見どころが多いので、1泊以上されることをお薦めします。

 

 

知られざる湖畔のリゾート:オフリド

日本では知られていなくても、
ヨーロッパではメジャーなリゾート地が
東ヨーロッパにはいくつかあります。
マケドニアのオフリド(Ohrid)もそのひとつ。

☆オフリド湖畔のリゾート

オフリド湖はマケドニアとアルバニアにまたがり、山々に囲まれた美しい風景に包まれています。 「オフリド地域の自然遺産及び文化遺産」として世界遺産になっています。Ohurid湖

湖畔の美しい街、オフリドは、東欧では名だたるリゾート地です。Ohrid街の全景

新市街のメインストリート、スヴェティ・クリメント・オフリドスキ通りはみやげ物屋、カフェ、レストランなどが集まり、夜遅くまで賑やかです。湖に突き当たった先に港があり、ここから遊覧船が出ています。⇒地図はこちらへOhurid港

湖畔の時間はゆったりと流れます。Ohrid水鳥

湖畔の散策が気持ちいい。崖が迫るところでは、遊歩道は湖上に架けられています。Ohrid湖畔の遊歩道

湖近くに迫る丘が旧市街です。城門をくぐって入ります。Ohrid城門

急坂の両側に古い住宅がぎっしり建ち並びます。Ohrid旧市街坂道

☆宗教都市オフリド

オフリドは10~11世紀にはブルガリア帝国の首都で、市内に365の教会があったと伝えられています。今も旧市街にはいくつか残っています。

最も有名なのが、岬の先端に建つ「聖ヨハネ・カネオ教会(Church St. John Theologian at Kneo)」Ohurid教会

ここからのオフリド湖の眺めは絶品です。

聖パンテレモン修道院(St. Panteleimon )の周囲では、古代遺跡の発掘調査中(2017年5月時点)。聖パンテレモン

教会内部の装飾が最も残っているのが、聖クリメント教会(St. Kliment)。Ohrid聖クリメント教会

内壁を覆うフレスコ画。Ohrid聖クリメントフレスコ画

隣接するのはイコン博物館。Ohrid聖クリメント&イコン博物館

近くには古代の劇場跡があります。Ohrid古代劇場

湖畔近くの聖ソフィア大聖堂は、オスマントルコ支配の時代にはモスクに転用され、内装のフレスコ画はすべて塗りつぶされてしまいましたが、20世紀になって復元されました。Ohrid聖ソフィア大聖堂Ohrid聖ソフィア内部

☆城塞都市オフリド

オフリド旧市街の上にそびえるサミュエル要塞は、オフリドがブルガリア帝国の首都だった10世紀に築かれたものです。Ohrid城塞

城壁の上は、階段の昇り降りはあるものの、気持ちいい散歩道です。Ohrid城塞を一周

街全体と湖が見渡せます。Ohrid街の全景

☆スヴェティ・ナウム(Saint Naum)

オフリドから南へ約30km、アルバニアとの国境近くにあるスヴェティ・ナウムは、10世紀にこの地で布教を行った聖ナウムの記念の地。彼の遺骸が納められ、フレスコ画が美しい教会、緑の湖など、オフリドよりさらに自然の奥深くに分け入った感が味わえます。スヴェティナウム緑の湖jpg

オフリドからバスで40~50分、1日6,7本です。夏は遊覧船も出ており、所要1時間半。午前中に出航し、スヴェティ・ナウムに4時間くらい滞在して夕方、オフリドに戻れるようになっています。

詳しくは⇒こちらへ

☆オフリドへのアクセス

マケドニアの首都、スコピエ(Skopje)からバスで約3時間。1日8便ほどあります。片道450~520DEN(2017年5月のレートで¥920~¥1100)。

始発/終点となるバスターミナルは、街の中心(港のあたり)から徒歩20分です。バスは新市街のトゥリスティチカ通りのバス停にも停車しますが、バス停の表示はキリル文字で、どこがスコピエ行きのバス停なのかわかりにくいです。

スコピエからの往路は、バスのドライバーに「センター」「old town」と言っておけば、街の中心に最も近いバス停で降ろしてくれますが、スコピエ行きのバスに乗る時はバスターミナルまで行くのが無難でしょう。

空路ではスコピエからのフライトはありませんが、夏期を中心にヨーロッパ各地からのフライトがあります。ほとんどがLCC(Wizz Air)です。

☆おしまいに

オフリドはまだ日本では知られていないので、日本人はほとんど訪れません。今、訪れると、”私だけのリゾート感”が味わえますよ。

古代と現代が同居する不思議な街:スプリット

クロアチアの不思議な街をご紹介します。
アドリア海沿岸の街、スプリット。

☆一見ふつうなスプリット

スプリットはアドリア海沿いにたくさん連なる港町のひとつです。 いかにもマリンリゾートの風情の港の向こうに大聖堂の鐘楼が見えます。Split港と大聖堂

街の中心にある大聖堂の鐘楼からの風景。 SPLIT塔の上から

☆古代遺跡に人が住んでる!

スプリットが珍しいのは、古代ローマ宮殿遺跡がそのまま街になっていること。イタリアのローマにあるフォロローマに行ったことある人はけっこういるでしょう。古代ローマの遺跡ですが、入場料を払って観光する遺跡です。ところが、スプリットは遺跡の中に今生きている人の営みがあるのです。 SPLIT遺跡1

遺跡の中にホテルも飲食店もあります。このあたりは夜遅くまで観光客で賑わっています。SPLIT遺跡2

ふつうの人の住居もあります。洗濯物が干してある下を歩くと、おばさんが迷惑そうに見下ろしてきます。観光地ですが、おばさんの家の庭先でもあります。SPLIT遺跡3

旧市街の中心ペリスティル(Peristil)。列柱に囲まれた広場です。Split Peristil

隣接する前庭はかつて宮殿の玄関の位置にあったものです。ときおりコンサートが開かれます。この日は男性合唱。

Split前庭

遺跡としての規模はフォロローマより大きく、宮殿の城壁に囲まれた旧市街の中は狭い路地が迷路のように通っています。歩きまわるとアドベンチャー気分です。Split狭い路地

☆地下宮殿

スプリット旧市街の下の地下宮殿はけっこう広くて、ひんやりします。ここは有料。この中で室内楽のコンサートが開かれることもあります。筆者が行った日はマンドリン合奏で、石の壁に反響する音がなんともいえない不思議な雰囲気を醸し出していました。SPLIT地下宮殿

地下宮殿の一部が観光客向けのみやげ物店になっています。 SPLIT地下モール

☆スプリットへのアクセス

ぜひ訪れたい街なのですが、交通の便がよくないのが難点です。

ヨーロッパ主要都市からの直行便がありますが数は少ない。首都ザグレブからバスで5-7時間。クロアチアNo.1の観光地ドブロヴニクからもバスで4-5時間。イタリアから船でアクセスできるが一晩かかります。でも、時間かけてでも行く価値大です。こんな街は世界に二つとありませんからね。(⇒クロアチア観光のガイド

クイーンズタウン:滞在型リゾートのお手本

風光明媚なニュージーランド南島の中でも随一の観光地、クイーンズタウンに行ってきました。(2017年1月)

クイーンズタウン(Queenstown)は、最近、日本のインバウンド観光で求められている、滞在型リゾートのお手本のような街です。観光客が長期間のんびり滞在して、さまざまなレジャーを楽しむための多種多様な施設、イベントが整っています。

☆湖畔の美しい街、クイーンズタウン

クイーンズタウン(Queenstown)はサザンアルプスの麓、長さ約77kmの細長いワカティブ(Wakatipu)湖畔にあります。

滞在型リゾートの第一の条件は、長期間滞在しても見飽きない美しい風景と街並みです。

クイーンズタウンは緑に囲まれた小さな街で、木々の間に瀟洒な邸宅が点在しています。Queenstown緑の中の邸宅

クイーンズタウンのメインストリート、モールの両側にはカフェ、レストラン、みやげ物屋、ブティックなどが建ち並びます。Queenstown Mall

街のはずれにたたずむ小さな教会。Queenstown教会

ワカティプ湖畔の遊歩道を散歩しながら、湖と雄大な山々の風景を楽しめます。Queenstown湖畔

バーベキューしている人もいます。Queenstown遊歩道

☆豊富なアクティビティ

滞在型リゾートの第二の条件は、毎日、さまざまな種類のアクティビティが準備されていることです。

クイーンズタウンの中心「ザ・ステーション(The Station)」。Queenstownステーション
観光案内所アイサイト(i-Site)や多くの旅行会社がこのあたりに集まっており、滞在中のさまざまなアクティビティの予約ができます。
アイサイト

*湖上クルーズQueenstown船
*フィヨルドランドへのツアー
(ミルフォードサウンド、ダウトフルサウンドなど)Milfordミルフォードサウンドクルーズ
*遊覧飛行
*トレッキング
*バンジージャンプ
*乗馬
*ラフティング
*ゴルフ
*牧場訪問
*ワイナリー巡り
などなど。

6~9月の冬にはスキーリゾートになります。

一か所にこれだけ揃った観光地は日本にはないですよね。

☆ワインを楽しむ

滞在型リゾートの第三の条件はおいしい食べ物、飲み物です。クイーンズタウンにはローカル料理のみならず、さまざまな国の料理を提供するレストランが豊富にあります。そして、クイーンズタウンのなによりの魅力はおいしいワインに恵まれていることです。

クイーンズタウン近くのギブストンバレーは有数のワイン生産地です。のどかなぶどう畑が広がります。Queenstownブドウ畑

地下のワインカーブを見学できます。Queenstownワインカーブ

内部はひんやりしています。テイスティングもできます。Queenstownワインテイスティング

クイーンズタウンの街中でもワインを味わえます。
珍しいワイン自動テイスティング機。Queenstownワインテイスティング機

受付でクレジットカードなどのID証と引き換えにカードとグラスを受け取り、飲みたいワインのところにカードを差し込みます。量は3種類から選べます。帰る時にまとめて精算です。

移動できるのもあります。Queenstownワイン車

☆クイーンズタウンへの行き方

ニュージーランド各地からのフライトがあります。日本からの直行便があるオークランドからは2時間弱、南島の中心クライストチャーチからは約1時間。オーストラリアからのフライトもあります。

クイーンズタウンの空港は街から9km西にあります。15分ごとにバスがあって、街の中心まで30分弱です。

バスで来ることもできますが、かなり時間がかかります。クライストチャーチからは約8時間です。ダニーデンからはバスまたは鉄道とバスを乗り継いで来ることもできます。いずれも所要約6時間です。

☆クイーンズタウンで泊る

滞在型リゾートの条件として、長期間滞在できる設備の整った宿泊施設があります。

クイーンズタウンには高級ホテルから安いドミトリーまで、いろいろなタイプの宿泊施設が整っています。

カフェ、レストラン、様々なショップは街の中心にぎゅっと集中していますので、歩いて行けるところがよいでしょう。但し、車で移動できる方には、郊外のモーテルが割安です。

そして、予約する時には部屋の向きを確認しましょう。部屋から湖と、その向こうに、夕暮れ/朝焼けに輝く山々が見れたら最高ですね。Queenstown夕焼け

日々の喧騒から離れ、しばし命の洗濯ができる街、それがクイーンズタウンです。

最近、日本でインバウンドによる地方創生が言われていて、多くの自治体が試行錯誤で、外国人観光客誘致に知恵を絞っています。クイーンズタウンは滞在型リゾートのすべての条件を満たす街です。実例として学んでみるのはいかがでしょうか。

奇跡の泉の街:ルルド

フランス、カトリックの聖地、ルルド(Lourdes)。
「病を治す」と言われる奇跡の泉の水を求めて、毎年世界中から500万人もの人たちがルルドにやってきます。

ルルドはフランス南西部、スペインとの国境のピレネー山脈の麓にあります。%e3%83%ab%e3%83%ab%e3%83%89%e3%83%94%e3%83%ac%e3%83%8d%e3%83%bc%e5%b1%b1%e8%84%88

☆奇跡の泉が湧く洞窟

1858 年、この地の貧しい14才の少女の前に聖母マリアが出現し、マリアのお告げによって少女が手を触れた地面から泉が湧き出し、その水を飲んだ人は病気が治るという奇蹟が起こりました。その話はすぐにフランス中に広が り、鉄道の開通に伴って、ヨーロッパ各地から奇蹟を求める人々がルルドを訪れるようになりました。%e3%83%ab%e3%83%ab%e3%83%89%e6%b3%89%e3%81%ae%e3%81%be%e3%82%8f%e3%82%8a
洞窟の奥に建てられたマリア像の下には、湧き続ける泉があり、熱心に祈っている人が大勢います。泉の水は、水汲み場の水道から自由に汲むことができます。

洞窟に入るのに行列です。車椅子やストレッチャーに乗せられた人は優先的に入れてもらえます。ペットボトルを持っている人がたくさんいます。%e3%83%ab%e3%83%ab%e3%83%89%e9%95%b7%e8%9b%87%e3%81%ae%e5%88%97
マリア様が洞窟を見下ろしています。
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洞窟の上には聖堂が建てられ、その周囲が聖域(Sanctuaires)となりました。
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☆大聖堂と聖域

おとぎの国のお城のような大聖堂。 ルルド大聖堂2
珍しい3層構造です。それぞれ別の建築様式で建てられています。最上部のカテドラルは上に向かって開放的です。%e3%83%ab%e3%83%ab%e3%83%89%e5%a4%a7%e8%81%96%e5%a0%82%e5%86%85%e9%83%a81
これは最下層。%e3%83%ab%e3%83%ab%e3%83%89%e5%a4%a7%e8%81%96%e5%a0%82%e5%86%85%e9%83%a82
高台から見た聖域。%e3%83%ab%e3%83%ab%e3%83%89%e5%9f%8e%e5%a1%9e%e3%81%8b%e3%82%89%e8%a6%8b%e3%81%9f%e8%81%96%e5%9f%9f
大聖堂の手前の楕円形に盛り上がった芝生の下には25,000人収容の巨大地下カテドラルがあり、ミサが行われます。お祈りの声と讃美歌は拡声器で外にも流されます。%e3%83%ab%e3%83%ab%e3%83%89%e5%a4%a7%e8%81%96%e5%a0%82%e5%9c%b0%e4%b8%8b%e3%81%a7%e3%83%9f%e3%82%b5

☆夜のロウソク行進

4~10月の夜9時から、ロウソクを手にした大勢の人たちが聖域に集まってきます。お祈りと賛美の合唱が繰り返されます。%e3%83%ab%e3%83%ab%e3%83%89%e5%a4%9c%e3%81%ae%e8%9d%8b%e7%87%ad%e8%a1%8c%e5%88%97
車椅子を押された人、ストレッチャーに横たわったままの人もいます。付添いの看護婦さん、シスターさんも。神聖な空気と参加者の熱気に圧倒されます。

☆街と聖域を見下ろす城塞

ルルドは中世の時代に軍事的拠点が置かれた街でもありました。%e3%83%ab%e3%83%ab%e3%83%89%e5%9f%8e%e5%a1%9e
高台に築かれた城塞からは街と聖域が一望できます。ルルドで一番の観光スポットです。%e3%83%ab%e3%83%ab%e3%83%89%e8%a1%97%e4%b8%a6%e3%81%bf
夜は城塞がライトアップされて、闇の中に浮かび上がります。聖域から聞こえる讃美歌とあいまって、なんとも言えない厳かな気分になります。%e3%83%ab%e3%83%ab%e3%83%89%e5%a4%9c%e3%81%ae%e5%9f%8e%e5%a1%9e

城塞へは歩いて登れますが、聖域とは反対側にあるエレベータが便利です。城塞の内部は博物館になっていて、農具、家具、食器、衣装、靴など、ピレネー地方の民族文化が幅広く展示されています。

☆ルルドへの行き方

最も近くの大都市トゥールーズ(Toulouse)から列車で最速1時間50分。
ボルドー(Bordeaux)からは最速2時間40分。
この2都市へは、パリや日本からの直行便が飛んでいるヨーロッパの都市から乗り継いで行けます。
パリから直通TGV(所要6時間10分)も1日数本あります。

ルルド駅から聖域の入り口までは歩いて約10分。途中、ホテル、レストラン、みやげ物店がぎっしり並ぶ洞窟通り(Bd. de la Grotte)を通ります。%e3%83%ab%e3%83%ab%e3%83%89%e6%b4%9e%e7%aa%9f%e9%80%9a%e3%82%8a

☆ルルドで泊る

ルルドは小さな街ですが、ホテルの数はパリに次いで2番目とのこと。夜のロウソク行列を観るためには、なるべく聖域に近い場所に泊ることをお薦めします。

多くの国には、その国を代表する、祈りの街があります。観光客としてであっても、フランスを代表する祈りの街、ルルドで、フランス文化の重要な要素であるカトリックの精神にちょっとだけ触れてみるのはいかがでしょうか。

(訪問日:2016年9月6日)