アドリア海沿いの美しい街をめぐる旅

アドリア海は地中海の一部でイタリア半島とバルカン半島に挟まれたエリアです。(⇒地図

アドリア海のイタリア半島側はまっすぐで平坦な海岸線が続くのに対して、バルカン半島側は湾や入り江が続き、大小の島々が陸近くに点在している複雑な地形をしています。
↓こんなのが典型的な海岸線です。海の先に見えるのは島です。クロアチア海岸線2

ここでは、湾や入り江のなかにたたずむ美しい街の数々をご紹介します。

☆ドブロヴニク(Dubrovnik)

アドリア海沿いで最もメジャーな観光地はドブロヴニクです。アドリア海の真珠と呼ばれ、ヨーロッパ有数のリゾート地として有名です。

青いアドリア海と赤茶色の屋根のコントラストが鮮やかです。街を取り巻く城壁が遊歩道になっていて、ゆっくり歩いて約1時間で1周できます。ドブロヴニーク全景

アドリア海を巡る旅の東の端になります。旅の始めか終点をここにするのがいいでしょう。ここにフライトで来て、西向きに旅する、もしくは、西のほうからここまで来て、ここからフライトして帰る。

夏場は観光客でごったがえします。ドブロヴニク大通り2

メジャーな観光地だけあって、案内サイトも複数あります。
ひとつ紹介しておきます
城塞、博物館などの入場無料、バスのフリーパスもついたドブロヴニクカードはぜひ購入されることをお薦めします。案内冊子も内容盛りだくさんです。

☆コルチュラ(Korčula)

半島に沿うように浮かぶ島の先端にあるコルチュラは、歴史的建造物でいっぱいの美しい街です。(⇒地図

アクセスはドブロヴニクからバスで約3時間半。1日1~2便。途中でバスごと船に積み込まれて海を渡ります。直通の高速船もあります。

スプリットからは船で2時間半~3時間。港は街の両側にあって、行先ごと便ごとに発着場所が異なります。

バスを降りて5分くらい歩くと旧市街。狭い路地に古い建物がぎっしり。わずかに開けた空間に街の中心、聖マルコ大聖堂が見えます。
コルチュラ細い路地

旧市街は端から端まで500m弱ですが、街の中心が丘になっていて、そこから三方の海に向かってなだらかな坂になっています。

聖マルコ大聖堂を眺めながら食事できるレストランがいくつもあります。コルチュラ大聖堂

塔の上からは歴史的建造物の赤茶色の屋根と青い海の眺めがすばらしい。コルチュラ屋根と海

海辺に城塞があるのはこの地方の海辺の街の特徴です。コルチュラ城壁

コルチュラに滞在の折は、旧市街の中に泊ることをお薦めします。 旧市街にただ一つだけのホテル(Hotel Korcula)は海辺にあって、旧市街の散策に便利です。

☆フヴァール(Hvar)

クロアチア国内ではリゾートアンランドと呼ばれているフヴァール島は、ハワイ、カプリなどと比べてリゾートっぽくない印象です。鄙びているのです。逆にいかにも観光地っていう派手な感じがないのが好ましく思えます。
⇒(地図

港から街の中心、聖ステパノ聖堂までがメインストリート。フヴァール街

街を見下ろす小高い丘には城塞があり、街と港を見下ろせます。

アクセスはコルチュラから船で2時間弱。
スプリットから島のスターリ・グラードまで船で1時間ちょっと。フヴァールまでは船の発着に合わせてバスが出ています。

☆スプリット(Split)

ドブロヴニク、プリトゥヴィツェと並ぶクロアチア観光の目玉です。 古代遺跡の中に現代人がふつうに暮らしている不思議な街です。SPLIT遺跡4
詳しくは⇒ こちらへ

☆トロギール(Trogir)

アドリア海沿いの街で中世の街並みが最もよく残るのがトロギール。世界遺産になっています。トロギール1

詳しくは⇒ こちらへ

☆シベニク(Šibenik)

クロアチアのアドリア海岸のほぼ中央に位置する古い街です。 その中心、聖ヤコブ大聖堂は世界遺産に指定されています。DownloadSamp(© 2015 クロアチア政府観光局) [Author] : Damir Fabijanić

ヴェネツィアが建てた聖ミカエル要塞からの絶景。なだらかな斜面に古い建物が密集しています。シベニク1

アクセスはスプリットからバスで2時間弱。

☆ザダル(Zadar)

アドリア海に沈む夕陽が美しい街として知られています。日没時刻には大勢の人たちが集まります。Zadarの夕陽

ローマ時代の円柱が残る広場の向こうに、9世紀のロマネスクの大聖堂と塔。Zadarフォーラム

シベニクからバスで1時間半くらいです。リエカからは5時間くらいかかりますが、入り組んだ入り江の変化に富んだ景色が楽しめます。

☆リエカ(Rijeka)

クロアチア最大の港町。イタリアとの国境から30kmくらいで、クロアチアの首都ザグレブよりイタリアの西端の街トリエステのほうが近くて、バスで2時間くらいです。Rijeka全景2
詳しくは⇒ こちらへ

☆アドリア海沿いを巡る交通手段

クロアチア国内の主要な交通手段はバスです。各街にバスターミナルがあり、簡単な食事がとれる店、荷物預けもあります。車両、乗り心地は日本の高速バスとほぼ同じです。長距離路線では休憩時間もあり、景色が良いところだとラッキーです。車内でWiFiが使えるバスもあります。
バスのタイムテーブル

船で心地よいアドリア海の風を感じながらの旅もいいです。アドリア海を渡る船

船のタイムテーブル

☆アドリア海沿いを巡るモデルプラン

ここでご紹介した街は離れているので、ひとつの街に滞在して日帰りで複数まわると移動時間ばかりになってしまいます。荷物を小さくして、移動しながら観光するのがお薦めです。

時間の制約がある方には、まずはずせないのがドブロヴニクとスプリットです。もうひとつ訪れる時間があるなら、トロギール、シベニク、ザダルのどれかひとつでしょう。

空路ドブロヴニクに降り立ち、スプリットともうひとつの街を巡って、イタリアに抜け、ヴェネチアから帰るというのがベストではないかと思います。またはその逆方向です。

☆アドリア海沿岸の歴史

このあたりはダルマチア地方と呼ばれ、中世の長い期間に渡って勢力下においていたのがヴェネチア共和国でした。

ヴェネチアはアドリア海沿岸の諸都市を勢力圏に置いておくためにあらゆる手を尽くし、特に、東から攻めてくるオスマントルコとは長い間、対峙しました。

トルコがバルカン半島の内陸部を領していたのに対して、沿岸部ダルマチア地方はヴェネチアの勢力圏、というのが中世の大部分の時期におけるバルカン半島の勢力分布でした。今、旅してみると、街の風景が内陸部と沿岸部では明らかに違うのがわかります。沿岸部にはイスラムの匂いが全くしないのです。

そんな歴史を感じなからの旅を楽しんでみてはいかがでしょうか。